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さすらいの魔皇子2   作者: 黒田明人
中3 2学期
19/119

19 莫大

 

 

週明けの全力売りの結果は、学校が終わってから見れば良いと、日課を終わってシャワーを浴びながら思う。

どのみちもう手は離れたんだし、いくらになるかは知らんが、中抜きになったのは確実だろう。

それにしても、どうにも母親の色が黄色いな。

何かあったのかな……後で聞いてみるか。


「ねぇ、何かあったの? 」

「えっ、えっとね、あのね」


どうやら商売の件で、小さなトラブルがあったらしい。

宝くじが当たったなどと、余計な事を吹聴したせいか、家賃の割引が消えたらしい。


全く、口の軽い両親だ。


「それで、どれぐらい足りないの? 」

「蓄えを減らせば問題無いのよ。だから気にしなくて良いわよ」

「追加で400万。1千万あれば余裕じゃない? 」

「え、でもそれは、コーちゃんの学校の……」

「どうせ県立なんだし、そこまで高くないよ」

「じゃあ、出してくれるの? 」

「うん」

「ありがとう、コーちゃん。しっかり稼いで返すからね」


引き出しの中の金を渡しても良いが、そんなのを部屋に置いてあるってのも不自然だろう。

だから下ろして来ると、後日の手渡しを約束し、そのまま学校に行く。

昼休みに近くの銀行で500万下ろし、無造作にカバンに入れておく。

あんまり赤い奴らと絡みたくは無いが、どうして死にたい奴が多いのかね。


チンピラは声も立てずに昏倒し、そのまま学校に戻る。

ちょっと腹筋破壊になったかも知れんが、頼むから内蔵破壊になってくれるなよ。

軽く叩いたら倒れたんだけどさ、そのまま死ぬんじゃないぞ。

大体さ、過剰防衛の定義は良いが、攻撃をしなかったら反撃も無い訳だ。

つまり、一種の自業自得って訳なんだし、そこに罪を持って来るのは違くないかよ。

どうにも法律の定義はよく理解出来ないが、うっかりがあるんだから絡むなよな。


やれやれ、他人のカバンを勝手に開けて、大金を盗んだ金と騒ぐのは止めてくれんかな。


「返せよ」

「どっから盗ったんだよ、この盗人野郎」

「盗人はお前だろ。おら、返せよ」

「通報してやるからよ、ケケケ」

「そいつは犯罪と分かっているのか? 他人を罪に貶める行為は犯罪だぞ」

「何が貶めるだ。この盗人が」

「親のすねかじりに言われたくないな。オレはちゃんと稼いでいるんだからよ」

「何を、この野郎……痛ぇぇ」

「おいおい、殴ったほうが痛がってどんなつもりだよ」

「くそ、石頭かよ、くぅぅぅ」

「やれやれ」


柏崎か、こいつも殺すか。

全く、他人が気になる奴が多いな。

そんな奴らは皆、オレの食事にしたいもんだがな。

全く、法治国家は良いが、こういう場合は対処に困るよな。


恒例の買い食いの後、家に帰って親に400万。

残りの100万を引き出しに入れ、サイトで値動きを……うげ、マジかよ。

週明けに824倍だと?

じゃあ、思いっ切り中抜きした事になるじゃねぇかよ。

ネトギン、いくらになってんだ。


うっく……4兆、5兆、4兆、6兆、5兆って……冗談だろ。


計算したら26兆7855億2522万って……どうすんだ、こんな金。

いかん、これはもうオレの範疇を越えている。


弁護士に相談するしかない。


電話帳で青っぽい相手に電話し、予約を取ってそのまま直行する。

引き出しの中の通帳とカードと印鑑と、持ち金全てをカバンに入れて。

巷のタクシーで事務所まで直行し、そのまま相談に入る。


「ううむ、本当かね」

「ネットバンク5社合わせて26兆7855億2522万」

「何ともとんでもない額だのぅ。確かに中学生が持てる金ではないな」

「だからお願いします、専属料100億円で」

「ううむ、まさかそこまでの大金は必要ないが、極秘でやるなら……そうさのぅ」

「親にバレたらきっと、性格が変わると思うんです」

「まあそうだろうの。大金を持てば誰でも変わるものだが、君は変わらぬのかな」

「変わりましたよ。今では小遣い5万円にしてあるぐらいです」

「いやいや、そう言うのは変わったとは言わん。夜遊びなどはしておらんのだろ」

「はい、いつもと同じです」

「ううむ、実に大したものだ。ワシとてそのような大金、平常心を保てるか判らんぞ」

「ネットバンクなのでただの数字に近いです」

「ふむ、そういう理由ならまだ判らんでもないな」

「それでどうでしょう」

「1つだけワシと約束してくれるかの」

「はい」

「良いか、このまま当たり前に過ごすのじゃ。誰にも言わずにの」

「はい、頑張ります」

「うむ、ならば税金の事はワシに全て任せるがいい」

「ありがとうございます」

「それでじゃ。その金、国債にでもしておかんかの」

「その手もありますね」

「むろん、全額とは言わぬが、あらかた長期の国債にでもしておいて、大人になった頃に満期を迎えれば、それからなれば何とかなろう」

「手続きもお願いします」

「なれば入金するだけで良いようにしておくのでな、証書は郵送で良いかの」

「ここにですか」

「ううむ、そこまで信じられるとは心地良いの」

「お願いします」

「うむ、確実にやり遂げようぞ」

「なら、専属1兆円で」

「いやいや、当初の100億もあれば充分じゃて」

「税金は節税しなくていいので、たっぷり抜いてください」

「はっはっはっ、そうさのぅ。まあ、良いようにするのでな、心配は要らぬ」

「お願いします」



そうしてあの弁護士も薄い青のオーラを纏っていたから正直に打ち明けたのだ。

依頼が終わってもその色は変わらず、だから安心して任せている。

そうじゃなければ最初に訪ねた弁護士事務所で、そんなに正直に話せるかよ。

とりあえず、15兆は国債にするとして、残りの兆は税金対策に、億の単位もあらかた税金になるらしい。

実質的に4つの口座には4桁の億を残し、残りの口座は端数口座として、2桁の億に留める感じにするとか。

それと言うのも都市銀の関連もあると言った後、万単位を都市銀に流し、億の分は保険にしたいと言ったらそんな感じになった。

もちろん、税引き後の事だけど。


そして国債の証書も親にバレるのも拙いので、そのまま弁護士さん預かりにしてもらう。



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