16 融資
改訂)どうにも計算がおかしいですね(汗
流れる汗をシャワーで洗い流し、ベッドに横になればすぐに眠気がやって来る。
そのままぐっすりと眠り、目覚めたのが7時過ぎ。
寝たのが4時頃だから、3時間睡眠か。
それにしては妙にスッキリしているな。
はぁぁ、しっかし参ったな。
1時過ぎに拉致して2時に殺し、3時前に証拠品の処分だろ。
だからあいつ、朝の3時半に屋上にいたんだよな。
そんな朝早くから何をしていたのかは知らんが、もう終わった事と忘れないとな。
朝食を食べた後、部屋でのんびりする。
ううむ、何となく気分がイマイチと言うか……食事以外の殺しが響いているのかな。
爽快は爽快なんだけど、気分的に少し……参ったなぁ。
それから少し眠ったようで、昼に起こされて飯を食い、また部屋でぼんやり。
夕食前にサイトで事件関連を調べていると、変な記事を発見した。
『女子寮で首吊り自殺の下着ドロ、女装のまま発見される。彼には刑事殺害容疑が……遺体の捜索難航』
うえっ? あいつって下着ドロだったのかよ。
女の子じゃなくて女装かよ、何だよそれ。
じゃあ屋上へは忍び込む為の準備か何かだったのかよ。
首を吊る為のあのロープって、忍び込む為の道具だったのかよ。
道理で都合良くロープがあると思ったんだ。
まああれで捜査があっちに行ってくれれば、こっちは安泰になるな。
結果オーライかなぁ……とばっちりみたいだけど、済まんな。
同じ犯罪者同士、運が無かったと思ってくれ。
さて、飯を食いに降りるか。
この時間帯だと父親と時間が合うようで、進捗状況を聞きながら朝食を共に食べる。
どうやら繁華街の片隅の小さな店が借りられるようで、親父の人脈も大したものだと感心する。
ただし、リース料はあんまり負けてくれないらしく、月額25万と敷金半年、礼金3ヶ月をクリアするのが大変なので、どうするかを考えている途中らしい。
後は隣のパーキングを借りるのに初期費用で100万必要になるとか。
仕入れの為にも必要なので、これもネックのひとつらしい。
ふむ、最初に駐車場に100万と礼金と家賃で100万と敷金の家賃半年分で150万、合わせて350万が初期費用か。
後は仕入れに100万、店内改装に150万を見込めば、何とか600万あれば開業出来るのか。
親父の退職金が400万、蓄えが250万。650万だから足りる計算だが、そうするとオレの高校が怪しくなる。
だからそれがネックなのだと言われれば、高校ぐらいは自力で行ってやると息巻いてみる。
「おいおい、お前、勉強しながら働くつもりか」
「実はねぇ、宝くじが当たってね」
「おいおい、いつ当たったんだ」
「中1の頃」
「お前よく誰にも言わずに過ごしたな」
「そんな訳で、貸してあげようか、クククッ」
「おいおい、いくら当たったんだ」
「へっへっへっ、実は何と」
「コーちゃん、そんなに当たったの? 」
「母さんもパートを止めてさ、父さんと一緒に店をやりなよ」
「そんなにあるのね」
「貸そうか600万」
「本気なのか、お前」
「3000万は伊達じゃないよ」
「うおお、そんなにもか」
「当てにされると困るけど、600万ならいいよ」
「そうよ、お父さん。それはあくまでもコーちゃんのお金。借りるのはいいけど当てにしたらダメよ」
「ああ、判っているとも」
「それで今はいくらになってるの」
「他にも貸したから2000万ぐらいかな」
「おいっ、誰に貸したんだ」
「自分の甲斐性、父さんには関係無い」
「はは、参ったな」
「残りは高校の授業料な」
「それで無駄遣いしなかったのね、偉いわ」
部分でバラしたが、これでもう小遣いもお年玉も期待出来なくなった。
仕方が無いが、父親の仕事の都合だから諦めようと思っている。
とりあえず600万貸し出し、父親は店をやると決めたようだ。
オレからの600万を開業資金とし、650万をそっくり蓄えに回し、母さんもパートを止めて父親の事業に協力する。
仕入れと通勤に軽トラックが必要だと、中古で安い車を買うらしく、蓄えから100万を抜いて全て込みで購入したとか。
残り550万、無くなるまでに何とか繁盛してくれればいいんだけど。600万引いて2000万。
毎月の小遣いを自分で設定し、その額は5万円と決めた。
札入れに4万と千円札10枚、後は小銭の類。
毎月とは言うが、月初めに減った万札を補充するだけだ。
そもそもそこまでは金遣いも荒くないので、帰り道の買い食いぐらいしか使い道は無い。
本は本屋の立ち読みか、図書館で朝から晩まで読みふけるぐらい。
他に買うものと言えば文房具かトレーニングの道具ぐらいなのだから。
まあ、ハンカチは大量に買ったな。