102 筋書
これってシナリオど真ん中じゃないのかよ。
なんでこんな物が。
《斉藤さん、ちょっと引っ張って良い?……唐突じゃが、今しばらく待たれよ……あれ、来てくれる?……バレておるようじゃしの……ま、まあね》
微かな波の変動でバレちまったか、さすがは熟練者だけの事はある。
しばらくするとオレの横に斉藤さんが現れる。
「凄いね、歪みが殆ど発生してない」
「世界内じゃからの」
「ああそうそう、これ見てくれる? 」
「うぬ……ううむ、これは、しかし、いや、ううむ」
「まさか根幹とは言わないよね」
「そのまさかじゃ」
「ふぇぇぇ」
「確かに殆どのシナリオは迂回させておるがの、これを抜く訳にはいかぬのじゃ」
「でも、家柄から言うと石田の長男じゃないの? 」
「それがの、あの交代劇でどうにも先が危うくなっての、どうしてもあやつではやれそうにないのじゃ」
「だからって何でオレに。次男は? 」
「それも同じじゃて。実はの、既に2人は廃嫡寸前なのじゃ」
「え、どうして」
「横暴と言うての、密かに反逆の牙を研ぐような者達になってしまうての、修正が効かぬのじゃ」
「漂白しちまいなよ」
「さすがにそれは。少なくともワシの権限を越えるからの」
「なら、超越者が勝手に洗脳しちゃったと」
「おぬしが見合いをすれば終わる話じゃ」
「だからさ、オレはシナリオとか嫌なんだって」
「本来はおぬしも世界内存在でもある訳じゃから、これを話すのは拙いのじゃが」
【対精対物】
「うぬぬ、このような事まで成すとはの」
「これで内緒話も安心」
「なれば話すがの、本来なれば桜崎家と石田家の結び付きによって、桜崎家は財政的に、石田家は名誉的に双方に益のある話になっての、それによってシルフは上流階級の賛同者を得る事になっての、劣勢を押し返してこの国を守護する位置取りにようやっと立てるようになるのじゃ」
「じゃあ今はあれなの? 私設支援隊みたいに勝手にやってると」
「どうにも上流階級には話がなかなか通じぬようでの、国家権力を味方に付けるには、これしかないと思い余っての結婚なのじゃ」
「じゃあ今は敵なんだ」
「少なくとも味方ではないの。あれらはあれらで国を護ろうとしてはおるが、いわばライバルに近い位置取りじゃ」
「何で長男はダメなの? 」
「どうにもの、婚外子がおるようでの」
「独身なのに隠し子? 」
「長男じゃからの、勝手に結婚出来ぬと言われての、愛人のような位置取りで子を設けておるのじゃ」
「ああ、汚れているからダメだと」
「さすがに相手もそれぐらいは調べるのでの」
「次男は? 」
「あれは趣味がダメじゃ」
「何、ロリコンとか」
「兄貴に懸想しておるのじゃ」
「うわぁぁぁ、同性かつ近親かよ」
「あのような者、到底シナリオには乗せられぬ。早々に破綻しようぞ」
「ミツヤを省くのは何か理由があるのか」
「おぬしがそれで良いなら構わぬがの。乗せれば外す訳にはいかぬぞぃ」
「卒業まで待てないのか。卒業と共に存在離脱も可能だぞ」
「ううむ、なればの、おぬしが婚約までに留めるが良かろうて」
「ミツヤじゃ足りないのか」
「確かに今は平穏じゃがの、将来的に色々と波乱万丈じゃからの、能力が足りねば万が一もある話なのじゃ。確かにサポートはしようが、それとて万全では無い。どうにもまともな管理が来ぬようでの、そこらの調整も今ひとつなのじゃ」
「ああ、新米だから巧く調整がやれないと」
「じゃからおぬしがそれを補佐するのが一番なのじゃ」
酷い話もあったもんだ。
管理がヘタレだからそれを補佐しろと言われてもな。
普通、超越者がそんなの聞かねぇぞ。
やれやれ、どうにも便利屋扱いされているような。
「実質的にはオレも汚れてるぞ」
「それはあっちの身体じゃろ」
「うげ、見てたのかよ」
「婚外子が数千人とは派手じゃの」
「うえっ、オレ、寝ている間にそんなにも」
「条件反射で流し込んでおったのじゃろうが、幼子も参加しておったの」
「孫の事は言うなぁぁ」
「ほっほっほっ」
オート発動はヤバいな。
まさかそんなにだったとは。
あれから1ヶ月チョイか。
40日として4千日、そろそろ11年が経ったんだろうな。
あのままの速度だと、1年で100年か、昔の人になりそうだな。
「良いの」
「致し方無いか」
「なれば進めるのでの、連絡を待つのじゃ」
「はふうっ」
「ほっほっほっ」
やれやれ参ったな。
そりゃオレなら例えこの身を粉砕されても問題は無いが、だからと言ってなぁ。
しっかりしろよ、管理。
てか、あれ? 今、俯瞰が暫定管理をしてなかったか? あれ?
斉藤さーーーーん、まさか、まさかぁぁぁぁ。
(巧く乗ってくれたわい。迂回の果ての事じゃからの、それを迂回させるのはいささか面倒なのじゃ。じゃから諦めるのじゃ、ほっほっほっ)




