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resce person  作者: kazuki
6/10

第6話 初恋!?

 電車に揺られ約1時間30分。平均通勤時間の2時間にくらべてはずいぶんましだ。

 「まもなく琴羽〜〜今日は、琴羽快速にご乗車いただいてまことにありがとうございました」

 やっと到着駅に着く。やけに頭が痛い。慣れないことをしてしまった。

  車内から降りるとずいぶん田舎的な景色が広がっていた。

 おもわず深呼吸してしまう。

 「はぁ……毎日ここに来るには、精神的にも体力的にも辛い」

 駅から降りると静寂さがいっそうに増す。

 集合時間まであと3時間あるらしい。

 「3時間!?」

 私は思わず叫んでしまった。通行人からしばらくの間冷たい視線をあびることになった。

 私の心の中では、台風が発生した。

 今までのテンションが全て廃棄物化した。

 それより問題は、あと3時間どうするかだ。

 しょぼい商店街を歩くのもありだし、地域の写真を撮りに行くのもありだ。

 しばらくすると………

 「なにしてんの、室井!」

 振り返ると結衣が立っていた。私は手に持っていた水筒を落としてしまった。

 「ばーか」

 お前に言われたくない。それが今の内心。

 「第一なんでお前がここにいる!?」

 「ついてきてやったの、なんか文句でもある?」

 大ありだ。お袋に買ってもらった年代物の水筒にひびがはいてしまった。

 「さっ、ついてきなよ。室井!」

 「何処にいくんだ?」

 「それを考えるのがあんたのかかりでしょ!」

 「はぁ?」

 しばしばこいつには、怒りがこみ上げる。

 自己中としかいいようない。

 「よし、じゃぁ商店街だ!!」

 私の切り出し。

 「前、しょぼい言ってたんじゃないの」

 「じゃぁない………」

 こういう場面には困る。

 「よし、適当に行ってみよ」

 今度は、結衣の切り出しだ。こいつに対しては、主従関係ぽいものがつかのまに結ばれている。

 「おまえ、aboutだな」

 「気にしない」

 こいつの場合、自分に甘い。まぁ私もだが。

 てきとうに歩いてついたのが、淀川の河川だった。

 そこらは整備されていて、うちに近くにある西公園の8倍ぐらいはあるだろうと思われるテニスコートがあった。

 ただ、テニスをしている人らは、一組もいない。

 市役所は、多分赤字経営だろう。

 とりあず私たちは、公園に行った。

 「グキっ」

 私の足がぐねった。バランスがとれなくなり、私の体は地面に叩きつけられた。

 「ばーか」

 このセリフを聞くのは、本日2回目。自分が少し悲しくなった。

 「あぁ〜無残……」

 私は、独りごとのように言った。

 「はい、これ」

 結衣が差し出してきてくれたものは、ハンカチだった。

 「ありがたいね」

 「もうちょっとありがたく思ってよ」

 「すまんね」

 「それより、大丈夫なの?今16時だよ」

 たしか、集合時間が17時なのであと1時間はある。

 普通の状態ならば間に合うが、今はそんな状況じゃない。いわゆる非常事態だ。

 琴羽警察署までおよそ2km。およそ1時間15分かかる。

 あきらかヤバい。

 しばらく私が迷っていると結衣が笑顔で手を差し伸べてくれた。

 「つかまんなよ。やばいんでしょ」

 少し恥ずかしかったが、なにげなくうれしかった。

 私はなんで恥ずかしくなっているんだろう?

 しばらくするとその謎は解けた。

 「もしかしてこいつのこと好きなのかもな」私は一瞬、小さな声で呟いた。

 でも、このマイペースな奴が本当に好きなのか?

 そんな訳……ないよな。

 かってにうなずく。

 「大丈夫?」

 結衣にいきなり話しかけられた。私はしゃべりにくかった。

 「う・うん」

 「そんなこと言ってるから馬鹿になっちゃうのよ」

 「そうかもな」

 私はなぜか笑った。不思議な気持ちだ。

 絶対こいつのことが好きとは限らないけど、少し気があるような気がする。

 よく考えると、いつのまにか同棲していた。

 そのことについては、運命的なものを感じる。

 「顔、赤いよ。熱あるんじゃない?」

 「・・・大丈夫、大丈夫。それより早く行かないと、うちの内定取り消しに

  なってしまうんだが・・・」

 「あぁ、ゴメン。気にしない、気にしない」

 欠点は、マイ−ペースというところだな、やっぱり。

 時計を見るともう16時45分になっていた。

 私は、ため息をついた。

 「あっ、あれじゃない?」

 結衣が指差したところをみると、琴羽警察署だった。

 時計を見ると、17時前だった。

 「ありがとうな」

 私は少し言葉に詰まりながら言った。

 「…………さぁ行くよ!!」


    彼女は、優しく背中を起こしてくれた。

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