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勿忘草の花言葉 : 私を忘れないで
【俺は君のことがーーー…】
少し開いていた窓の隙間から強い風が入り込み、それと共に部屋に迷い込んできた桜の花弁が一枚、窓の近くに置いてあった植木鉢に舞い落ちた。
薄紫色の花が唄うように揺れている。
「あっ…咲いた」
二つほど、申し訳なさそうに咲いている花に向けて私は微笑みかけた。
またこの季節が巡ってきた。
冬の厳しい寒さを越えて、毎年小さな花を綺麗に咲かせる植木鉢を見て、安堵と共に切ない気持ちが込み上げ私の目尻が僅かに熱くなる。
「……ヤエ」
今にも消え入りそうな声音で呟き、左耳に光るピアスに触れる。
瞼を閉じると頬を一筋の泪が伝った。
勿忘草が大好きだった貴方。
その花言葉の本当の意味を教えてくれたのも貴方だったね。
こんにちは。陽向 零です。
また物書き生活始めたいと思います。
またまた花言葉のお話しです。
相変わらずの遅筆ですが、よろしくお願いします。