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「結婚しよう。」  作者: まひる
第二章
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≪Ⅴ≫俺と一緒なら【1】

≪Ⅴ≫俺と一緒なら


 あの後、片付けを終えたヴォルと共に宿に戻りました。私は酷く恥ずかしかったですけど、何故かヴォルの肩に頭を乗せて寝ていたのです。起こして下されば良いのに…って、勝手に寝ておいてなんですけど。


「少し出てくる。夕食は宿の食堂だ。先に食べていてくれ。」


「はい。行ってらっしゃい、ヴォル。」


 お仕事が終わって戻ってきた訳ではなかったのですね。何日か滞在するって言われてましたから、お仕事の合間に私の事を気に掛けてくださったのでしょう。やはり冒険者として旅をしているのですから、ギルドに登録しない訳にはいかないですものね。どんなお仕事をしているかは分かりませんが、ヴォルは強いですから何でも出来そうな気がします。


 さて、私はまた記録でも続けましょう。あの湖、本当に綺麗でした。私は思い出しながら、メタリニ湖の事を書き記します。透明度や空の青が映し出されているかのような青が、瞳を閉じてもまだはっきりと思い浮かびます。と同時に、あの時の恥ずかしさを思い出してしまいました。う~、下着が透けてるって…。


 (シバラ)く机に伏せていた私でしたが、いつまでもクヨクヨなんてしていられません。ヴォルは夕食を先に食べていても良いと言われていましたが、朝食も一人で食べました。ずっとヴォルと共に食事をしていたので、一人でのご飯はとても味気ないものだと気付いてしまったのです。


「村にいた時は、一人が当たり前だったのに…。」


 思わず口から出てしまいました。でもこれって、私の我が儘ですよね。ヴォルはお仕事をしているのに、私が一人は嫌だからってねだるのはおかしいですね。最近見なかった過去の夢を見た事で、私の中の罪悪感が大きく目覚めてしまいました。


「もっと…一人で何でも出来るようにならなくてはなりませんね。」


 誰に言うでもなく呟きます。寂しいとか、思ってはいけません。これは私の罪なのですから。




「…メル?」


 机に伏せるように眠っているメル。ギルドから戻ってきてすぐ宿の主人に問い掛けたが、メルがまだ食事をとっていないとの事だった。あれから随分時間が経っている。そう思って部屋に来てみれば、書き物の途中のまま机で寝ていた。


「過去?…罪…。」


 メルは考え事をそのまま書き記してしまうようだ。だがしかし、これは何だ。大きく何度も丸で囲まれた“罪”。そして頬に残る流した涙の跡。


「メルシャ。」


 起きるかと思いながらも、メルの頬に触れてみた。起きない。俺は装備を解き、眠っているメルを抱き上げてベッドに移動させる。そしていつものように、自分の腕に抱き留めて眠った。



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