表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「結婚しよう。」  作者: まひる
第九章
407/516

≪Ⅰ≫手が省(ハブ)ける【1】

≪Ⅰ≫手が(ハブ)ける


 ケストニアの町から再び北上し始めた私達は、その馬車の中に詰め込めるだけの食料等を乗せていました。


 出来るだけ足を止めず、最短で港町に到着する為です。


「魔物の姿もあまり見なくなったねぇ。うん、平和だ~。」


 御者台の上からベンダーツさんが呟いています。


 そうなのです。あれ程たくさん、溢れんばかりにいた魔物に出会いません。通常運転に戻ったと言うか、ケストニアを離れてから特にその傾向がありました。


「ヴォルが討伐しすぎて、魔物が全滅でもしたかなぁ?」


「それならば手が(ハブ)ける。お前も(ホロ)びたいか。」


「嫌だなぁ、冗談に決まってるじゃないかぁ。」


 ふざけて食って掛かるベンダーツさんへ、不穏(フオン)な言葉を返しているヴォルでした。


 でも、彼等もこれが通常運転なのです。大分慣れましたよ。


 馬車の中では相変わらずヴォルに抱き締められている私ですが、魔物遭遇率が低いのでかなりの運動不足気味です。


 あ、私が討伐する訳ではないのですよ?勿論。それでも全く動かないという今よりは、避難の為の行動も運動の一種であったと感じるのでした。


 お肉が気になります。特に、お腹や背中の…。大丈夫でしょうか。


「俺達は魔法石から離れた。それだけだ。魔力流出がなくなった今、魔物の興味は純粋に魔力を喰らう事だからな。」


「でも教会だけじゃなくて、ケストニアの町にも結界を張ったんだろう?それも、奉仕で。まぁ…あれだけの大きな魔法石があれば、どうしたって周囲の魔物を呼ぶから仕方がないんだけどさぁ。…で、魔力の継続は何にしたの?」


「教会内の魔法石だ。あの大きさの魔法石なら問題ない。」


「まぁ、教会と町全体の結界を依託したんじゃなぁ。小さな魔法石だと数年しか持たないだろうから、あって良かったってところだよねぇ。」


 ケストニアの事情を、ヴォルとベンダーツさんが真面目な顔で話し合っています。


 二人の話を聞いていて、私は不思議に思いました。


「お二人はいつ、教会の魔法石を見られたのですか?」


 ずっと一緒にいましたよね。


「あれ?メルは気が付かなかったんだ。…あ~、大きすぎると逆に分からないってやつかな?木を隠すなら森の中、って本当だよね。…教会内の祭壇に見なかったかな、石像。」


「教会の、石像ですか?…もしかしてあの、精霊さんの形のですか?」


「あ、メル的には精霊だったんだ。あれ、魔法石だよ?あの大きさから言って、大型の魔物だろうね。それを切り削って加工してある、結構な代物だったんだけど。」


 ベンダーツさんがさらりと告げる言葉です。


 でも私は、ただ驚くばかりでした。あの大きな石像が魔法石だった事も、人為的に加工してある事にもです。


 魔法石って、必ず命のそのままの形で使われる訳ではないのですね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ