表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「結婚しよう。」  作者: まひる
第七章
352/516

10.契約を破棄している【3】

「そうだよ、ブルーべ家の雇われ人の息子さ。でも、キュアの幼馴染みである事は変わらないだろ?」


「そんなの、言い訳にしかならないわよっ。」


「じゃあ、結婚を申し込んだ一人とでも言えば良いかい?」


 離れた距離をものともせず、ユーニキュアさんと幼馴染みというドガさん?が言い合っています。音の精霊さん、凄いですね。いえ、魔力はヴォルのですけどね。


「そ、そんなのっ…そんな男性はいっぱいいるわよっ!」


「でもキュアは誰の求婚も、一度だって受けてはいないだろ?」


「あ、当たり前よっ。お父様がお認めにならないわっ。地位も権力も、全てブルーべ家の(イシズエ)にならなくてはダメなんですもの!」


「そんなの、俺が認めさせるから。い、いや…何年かかるか分からないけどっ。でもだから、俺と結婚してくれっ。」


「ば…、バカ…。こんな風になった私へ、まだ求婚をするなんて…本当にドガはバカなんだから…。」


 泣き崩れたユーニキュアさんは、先程までの攻撃的な感情も苦しそうな感情も見えませんでした。何だか、嬉しそうに涙しているのですから。


「何、結局父親に逆らえなかった娘の末路?しかもそこの男と恋仲とか、俺達が完全ピエロじゃん。って言うか、まだ魔物も残ってるしさ。どうすんのよ、アレ。」


 ベンダーツさんが呟きます。確かに足を固定された町の人の向こうに、大型の魔物の群れがいるのです。


「消せば良い。」


「えっ?!」


 思わず驚いて振り向いてしまいましたが、何だか簡単に答えたヴォルです。


「まぁ、元々俺達は魔物を討伐に来てるんだけどな。だけどまた戦うのぉ?」


「問題ない。マークは見ていろ。俺の魔法を使う。」


「そりゃ、その方が手っ取り早いけど…。力を残しておいてくれよ?まだ事態の終息には早いんだからさぁ。」


「承知した。」


 ヴォルとベンダーツさんの話が終了したようです。って言うかですね、私には頭をポンポン撫でるだけですか?


「い、行ってらっしゃい…ですっ。」


「…行ってくる。」


 何だか二人に交ざりたくて、既に背を向きかけたヴォルに声を掛けました。不安でしたが、ヴォルが振り返って応えてくれた時はとても嬉しかったです。自然と笑みが浮かびました。


「ぅわ~、笑顔で見送りとかって…。本当にヴォルの心を鷲掴みするのが上手だねぇ。そりゃ、サッサと帰って来たくなるわなぁ。」


 呆れる様な口振りのベンダーツさんですが、だって私にはやれる事がないですもの。いつも待つだけなのです。


 ヴォルの表情はいつもあまり変わらないですが、(ワズ)かに眉を寄せたりだとか気にしていると分かるのです。でも内緒ですけど、一番瞳が感情を浮かべますよね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ