7.心配だ【4】
「あっ、ごめんなさいっ。」
さすがに苦しかったのでしょう。気付いた私は慌てて力を緩めました。でも落ちるのが怖いので、ホンの少しですけど。
「問題ない。メルの力では死なない。」
いえ、死んでもらったら困るのですが。でも、確かに丈夫そうな…ハッ。私ったら、何をジロジロ見てしまっているのでしょう。恥ずかしくて顔を隠したいです。でもこの状況では、両手を放す事も出来ません。
「お、下ろして下さい。」
「駄目だ。」
即否定ですか。
「怪我をしている。」
と思ったら、私を気遣っての言葉でした。あぁ、確かに両膝を擦りむいていますが…。
「だ、大丈夫ですから。」
「駄目だ。」
聞く耳持たずってやつですかっ?あ、何か怒ってます?ヴォルは私を姫抱きしたまま階段を器用に上っていきます。良く足元が見えますね、私なら躓いてしまいますよ。あ、ところでここが領主様のお屋敷って言ってませんでした?
「ヴォル?あの、ここが領主様のお屋敷って言うのは…。」
「あぁ。」
間違いなかったみたいです。でもでも、どうして?
「あの、聞いても良いですか?」
「……。」
駄目なのですね。あからさまにガッカリしてみます。と、その私の様子に少しだけヴォルがフッと息を漏らします。溜め息ですか?
「領主は人身売買をしていた。」
ヴォルの続けられた言葉に息を呑みます。えっと、つまりは私も商品だったと言う事ですか?
「あの…。」
「勝手にうろちょろするな。」
「はい…。」
「心配だ。」
「え?」
初めてキチンと言葉にして貰ったような気がします。ヴォルが、私を心配だと…今、そう言いましたよね?な、何か嬉しいです。面倒臭いとか思われていなくて、本当に良かったですっ。
「すみませんでした。」
ヴォルの首にしがみついたまま、謝罪します。でも私、男の子に誘われて来ました。ではあの子も、仲間と言う事ですか?まだ子供だったのにですよ?
「あの…男の子を見ませんでしたか?」
「……。」
あ、見たのですね。そしてどうこうしてしまった訳ですか?
「話をしただけだ。」
ヴォルの無表情相手に物事を追及されたら、やってなくてもやったって言ってしまいそうです。




