表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「結婚しよう。」  作者: まひる
第七章
306/516

1.鎮まるまで待つか【2】

「どうしてもか?」


 首を傾げた私に、再度ヴォルが問い掛けます。そ、そんな念を押されると…困ってしまいますが。


「まぁ…平和育ちのメルシャ様には少々刺激がキツいかも知れませんが、世の中の敵は魔物だけではありませんからね。宜しいのではありませんか?」


「…仕方ない。」


 な、何でしょう。二人が視線を合わせ、意気投合してしまっている感じがしますけど。しかも、良い感じのしない雰囲気です。


「Eizou wo Miseyo.」


 ヴォルの声が響きました。魔力を乗せた音です。そして、それが起こりました。


「っ?!」


 まず始めに映ったのは町長さんの部屋の壁でした。次に、扉…があった筈の場所。けれども既に扉はなく、知らない男の人達がいました。五人くらい?しかも、手には棍棒や包丁を持っています。


「な…っ。」


 そして反対側に視線を移した私は、そこで信じがたい光景を目にしてしまいました。窓ガラス…ガラス自体高価なのでお金持ちのお屋敷にしかないのですが、それを粉々に打ち破って侵入して来ている町民です。数え切れない程…手には斧や(クワ)(ナタ)等を持っていました。


 これ、何の暴動ですか?


「これくらいで良いでしょう。分かりましたか、メルシャ様?」


 ベンダーツさんの言葉と共に、映像が一瞬の内に途切れます。ヴォルが再び結界を強めてくれたようでした。でも私にはその心の余裕がありませんでした。カタカタと小刻みに震え、ヴォルの服にしがみついていたのです。


「メル。」


 耳元でヴォルの声がします。ゆっくりと彼に視線を向けると、ボヤボヤと顔が歪んで見えました。あ…れ…?私、泣いてます?


「あちらには結界の中は見えないようですね。それでも、私達がここにいる事を分かっての行動なのです。」


「ど…して…っ。」


 震えて言葉に出来ませんが、言いたい事はベンダーツさんが読み取ってくれました。


「何者かがあらぬ事を吹き込んだのでしょうね。私たちに対する明らかな憎悪が感じられましたから。どうされますか、ヴォルティ様。」


「…首謀者を捜す。」


「そうですね。しかしながらそれなりの力を持つ者でしょうから、これもまた面倒な事になりそうですね。」


 ヴォルとベンダーツさんが黒幕についての推理を話始めました。も、もしかして。


「町長…さん?」


「いいえ。」


 うわ…、即否定されました。


「彼は違います。ただの小心者でしょう。現にヴォルティ様とメルシャ様の待遇は変わらなかったようですし。そのくせ私を己の屋敷地下に監禁とか、支離滅裂すぎです。」


 あぁ、根に持っていますね。…当たり前でしょうけど。傷は癒えましたが、痛みの記憶がなくなった訳ではありませんから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ