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「結婚しよう。」  作者: まひる
第一章
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1.俺と来い【3】

「あの…、おっしゃる意味が分からないんですけど?」


 お酒かしら?料理の追加かしらって思っていた私です。


「Sou ka.gengo ga chigau no ka.」


 何やら呟いていましたが、私にはサッパリです。思い切り首を傾げてしまいました。この人、初めの注文はどうしたのでしょう。あ、マスターはこの人の言葉が分かったのですね。初めの注文は確か、この食事処のマスターが聞いていたのを思い出しました。あの人は色々な場所を旅するのが趣味だと何度かお客様達と話していましたから、きっと彼の言葉も理解出来たのです。それならば、です。


「すみません。マスターを呼んできますので、暫くお待ちください。」


 ペコリと頭を下げ、その場を立ち去ろうとしました。けど、あれ?何故か左手を掴まれて引き留められてしまいました。何か不都合がありましたか。あ、もしかして何も聞かずに立ち去ろうとしたと思われたのでしょうか。でも言葉が通じないし、どうしようなんて困っていますと。


「Kekkon shiyou.」


 またあの言葉を言われて、その左手の甲にキスをされました。どうして同じ言葉だって分かるかって?そんなの、ニュアンスの問題です。





 って言うか、思い出しました。あの時の人です!今日は頭に巻き巻きしてないし鎧も身に付けていないから分かりませんでしたが、この真っ直ぐな青緑の瞳に覚えがあります。


「あ、あなたは昨日のお客様?!」


 でも確か、昨日は言葉が通じなかったはずです。しかも騒ぎを聞き付けたマスターがやって来て、うやむやに話が終わりましたから。


「そう。」


「でも昨日は言葉が…。」


「勉強した。君に通じなかったみたいだから、ここの言葉をマスターした。」


 か、簡単に言ってくれますね。一晩で?どんな天才ですか。って言うか昨日の言葉も、私に対する求婚だった訳ですか?良かったです、言葉が通じなくて。皆にからかわれて、この先仕事に行き辛くなるところだったじゃないですか。


「お断りします。」


 ハッキリと断り、ニッコリと笑顔までつけてやりました。朝から何サカってるのかしら、この男。早くしないと、仕事に遅れてしまいます。男の横を通り過ぎて行こうとしましたが、不思議と身体が動かないです。あれ?って、まだ手を繋がれているじゃないですか。放してくださいますか。キッと睨んでみましたが、逆に微笑み返されてしまいました。


「君の仕事場は今日から俺の所だから。」


 はい?何ですか、それは。言葉は通じるんですけど、理解不能です。



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