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「結婚しよう。」  作者: まひる
第六章
263/516

2.説明が面倒だ【4】

「どういう事ですか?」


「ヴォルがメルにそのままで良いって言う理由が、ホンの少しだけ分かったって事かな。」


 はい?(ナダ)めるようにポンポンと肩を叩かれても、私には全く理解出来ていないのですけど。


「おい、ヴォル。待ちくたびれたぞ。それにメルが腹減ったってさ。」


「なっ!?そんな事、私…っ!?」


 突然のベンダーツさんの言葉に食って掛かった私ですが、そこは空気の読めない私のお腹です。クゥ…って、こんな時に主張しなくても良いのではありませんかっ?!だいたい、空腹なんて感じる暇が今までなかったのですから!


「承知した。ここから出るだけなら早いぞ。」


 ヴォルはフワリと自らを結界で包み込むと、そのまま私達の方へ歩み寄って来ます。いえ、その間もクスカムの方々の魔法攻撃は受けているのですけど。


「飛べば良いからな。」


 飛ぶ?先程の恥ずかしさと驚きのあまり、私は全く反応が出来ませんでした。それでもヴォルはそのまま歩み寄り、難なく私とベンダーツさんを自分の結界内に招き入れます。


 その直後のペシッいう音が耳元でして我に返ると、私の身体は既にヴォルの腕の中でした。そして痛そうにプラプラと手を振るベンダーツさんです。


「酷いじゃないか。何も叩く事はないだろ?」


「煩い。メルに触るな。」


「あ、あの…?」


 見上げるヴォルは(ワズ)かに眉根を寄せているものの、それほど怒っている訳ではなさそうです。ベンダーツさんが私を守っていてくれたって分かっているからですかね?


「メルは、コイツなら良いのか。」


 ん?その言葉に思わず小首を傾げます。でもすぐに何を意味するのか分かりました。触られても、って言う事ですよね。


「ベ、マークさんはヴォルのお…お友達ですから。」


 お付きの人とか言ってはダメですよね。でもお友達というのも気に入らないのか、ヴォルの眉がピクリと動きました。


「お友達、ねぇ?どうよ、ヴォル。」


「……。」


 あ、ベンダーツさんの問いにヴォルはコメントを避けたようです。ここであれこれ議論をしても仕方のない事ですし、第一にクスカムの集落から出る事ではないでしょうか。


「飛ぶぞ。」


「あ、はいっ。」


 頬を指先で撫でられ、背中にゾクリと電気が走ります。こんなところでヴォルに見とれている場合ではないのですよ、私。慌てて返事をしたのですが、おかしくはなかったですよね?


 ヴォルは特に何も言わず、私の頭を優しく撫でてくれました。えへっ、これは好きです。思わずニッコリと微笑んだ私ですが、後ろで溜め息をついているベンダーツさんには気付きませんでした。


 そしてパッとチャンネルが変更されるように、目の前の視界が突然切り替わりました。



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