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「結婚しよう。」  作者: まひる
第一章
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4.質問ばかりだな【5】

「メルは不思議だ。」


 (ヨウヤ)く私に視線を向けてくれたと思ったら、今度は不思議ときましたか。まぁ、変と言われるよりは良いのですが。


「不思議ですか?」


「居心地が良い。」


「あ…、それは嬉しいです。」


 何だか照れてしまいます。熱くなる頬を見せないように私は前を向きました。居心地が良いなんて、初めて言われました。と、私の背中にヴォルがピタリとくっつきます。もともとヴォルの腕の中でウマウマさんに乗っている形ですので、これはえ~っと…恥ずかしいです。


 ですが振り払える訳はなく…と言うより、嫌ではないのが自分でも不思議でした。こんなにも男の人と接しているのに、触れられているのが安心でもあるのです。あ…もしかして私、ヴォルの事をお父さんのように思っているのかも知れません。


 初めの頃からヴォルは私に触れていましたし、最近の夜なんか抱き枕ですから。それが不思議な事に、私も良く眠れるのですよ。普通、男の人に抱き締められていたら安心なんかしないですよね?身の危険を感じますよね?でも違うのです。自分でも不思議なのですが、ヴォルが私に異性として触れていないからなのだと最近思うようになりました。


「もうすぐナーヤガの森を抜ける。ドゥーナガの町で少し休む。」


「あ、はい。」


 ヴォルが話すと、首筋に息が掛かるのがくすぐったいですね。私は変に緊張してしまわないように、再び周りを見回しました。


 この森の中ではさすがに大きな魔物に襲われる事がなかったですね。私もウマウマさんのように、安心してヴォルの戦闘が終わるのを待てるようになってきました。慌てても何も出来ないですし、魔物は比較的ヴォルを狙って襲い掛かります。


「あの…、どうして魔物はヴォルばかり狙うのですか?勿論その方が、私とウマウマさんは安心して近くにいられますが。」


「闇の剣の効果だ。刀身に魔物を引き付ける力がある。」


 魔物を引き付ける力がある剣など、持っていて良い事があるように思えませんが。


「危なくないのですか?」


「問題ない。近くの魔物しか寄ってこない。」


 何となく呪いの剣のような気がしないではないですが、これでヴォルが剣を二本も持っている理由が分かりました。



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