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「結婚しよう。」  作者: まひる
第四章
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6.知りたい【2】

「…どうしても、ですか?」


「………すまない。これは…、何とも…。」


 どうやら、精霊さんはかなり際どい事を告げたようです。だってそうでもなければ、これ程ヴォルが言い淀むなんてないですから。


「分かりました。では、もう聞かないでおきます。」


 私のその言葉に、明らかにホッとしたようなヴォルでした。少しだけ寂しく思うと同時に、私はここに来た一番の理由を思い出しました。


「って言うかヴォル?生命の精霊さん、さっき生まれたって言ってましたよね?」


「あ、あぁ。朝ここに来た時に精霊達がざわついていてな。メルが来る少し前に誕生した。」


「そうなのですか。残念です、貴重な場面に遭遇出来ませんでした。」


 本当にガッカリしたのですが、ヴォルはそれでも驚いているようです。


「本来精霊は、人の前では姿を隠すのだ。特に誕生したてで力のない精霊は、森の奥に身を隠して自らの成長を待つ。」


 言われて初めて気付きました。そうですよね、身を守る術を持たないのであれば当然の事です。でもこの子、私に触れてくれましたよ?


「…メルだから、なのだな。」


 はい?それって、どういう…。


「メルだから、触れたくなる。」


「っ!?」


 ボンッと赤くなったであろう私の顔。そんな艶っぽい目で見ないで下さいよ…。頬を必死に隠す私ですが、ヴォルは微笑むばかりでした。


「あ…そうなると、回復の魔法が出来るようになるのですか?」


「…そうだな。契約にもよるが、精霊次第でもある。元々魔法を使えるのは人間ではない。」


 それは聞いた事があります。魔法を使わせてもらう、って。


「でも、魔力を持っている人が全てその考えではないのでしょう?」


「そうだ。魔法を己の能力と勘違いし、周囲を圧しようとする者もいる。国ではそういった場合も考慮して、魔力持ちを管理して統括しようとしている。」


「魔力を持っているだけで、その人の居場所が分かってしまうのですか?」


「あぁ。」


「何だかそれって、監視されているみたいですね。ヴォルが旅に出ている間も、もしかしなくても監視されていた訳ですよね?」


「そうだ。死んだとしても遺体を魔法石にする為だ。」


 淡々と語るヴォルですが、おかしくないですか?それって、人としての価値観から外れていますよ。…価値観、ですか。私の価値観も、ここにいる方々と違うのですよね。物のように扱われる存在がいる事を改めて認識しました。勿論、納得は出来ませんが。



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