4.質問ばかりだな【2】
「ナーヤガの森を抜けたら、ドゥーナガの町に入る。」
「あ、はいっ。食料調達ですか?」
「そうだ。」
マヌサワの農村を出てから、結構長い間旅をしています。ヴォルにとっては当たり前の移動かも知れませんが、私にとっては全てが初めてです。ずっと町や村がなかったので、このまま食べ物が足りるのかと不安になっていましたよ。はい、食べ物は大切ですから。
「分かりました。私も、お買い物を手伝います。」
張り切ってしまいますよ?だって初めてのお使い…じゃなくて、初めてのよその町を見るのですから。
「欲しいものがあれば言え。」
あ、買ってくれるのですか?そう言えば私、お金を持っていませんでした。………村に帰してください!私の全財産が~。
「あの…私、お金…。」
「問題ない。」
でもでも私、お金かかりますよ?女の子は色々とお金が掛かるものなのです。
「ヴォルはお嫁さんを捜してここまで来たのですよね?半年も掛かるセントラルから。」
「そうだ。」
「お仕事はしていないのですか?」
冒険者ではないと言っていました。冒険者はそれが仕事ですから、報酬が手に入ります。そうでないのでしたら、他の事をしていたと言う事になります。
「していた。」
そうですか。では、お仕事を辞めてでもお嫁さん捜しが大切だった訳ですね。…ヴォルは聞いた事には大抵答えてくれるのですが、自分の事となるとなかなか答えてはくれません。
「剣の腕も魔法の素質もあるのに、冒険者ではないのですよね。私は食事処くらいしか働き口がなかったのに、です。不公平です。」
「能力は人それぞれだ。」
そりゃそうですけど、私にももう少し特別な能力をくれても良かったのではないですか?あ、神様に文句をつける私って駄目ですね。
「ところで、神様っているのでしょうか。」
信仰があるのは知っていますが、私は村でも無信仰でした。
「俺は見た事がない。」
当たり前ですよっ。見た事があったら、逆に怖いです。
「いくらなんでも、そこまで私は求めていません。」
「世界にはいくつかの信仰がある。多いのは女神信仰だ。」
あ、それなら知っています。世界を作ったと言われる光の女神様です。




