4.我が儘ではない【4】
「俺…だから?」
「はい、ヴォルだからです。私もヴォルが良いです。って言うか、ヴォルじゃなきゃ嫌ですね。」
私が選ぶなんて、そんな立場ではないでしょうけど。でも本当に本当なんです。キスも…ヴォルだから、き………気持ち良い…のです。
「…ありがとう…、メル。何だ…その、こう言うの…嬉しいものだな。」
フワリとヴォルに抱き締められました。ぅわ~、これって凄くないですかっ?!あ、端から見たら潰されているように見えるかもですけど…でもなんか、隙間がないくらいにギュッてされています。
「俺も…メルじゃないと駄目なんだ。メルが…欲しい。」
ん?…欲しいと言われても、私は一人なんですが。
「良いか…?」
「えっ…、あの…。」
「メル…。」
戸惑う私をよそに、ヴォルから熱く囁かれます。どうしたら良いのかなんて、全く分かりません。でも何だか…、私も熱くなってきました。熱いヴォルの身体が乗っているからですかね?
「…メル。」
「は…い…。」
頷くしかありません。熱く魘された様なヴォルの声に、私はそれ以外の選択肢がなかったです。
私の返事を聞いて、ヴォルがフワッと笑いました。そして私の身体に彼の指先が走ります。途端、ゾクゾクとするような痺れが全身を走りました。
「ん…あっ…。」
「メル…。」
名前を呼ばれます。でも返事をする余裕がありません。ヴォルの指先が私の身体に触れる度、何度も何度もゾクゾクとした電気が走るのです。こ、呼吸すらまともに出来ないです。
「メル…、メルシャ…。」
耳元で囁かれるヴォルの声が、私の腰の方にゾクッと響きます。あぁ…、何か私…変です。どうなっているのですか?身体が自分のものでないみたいに、勝手にビクビクと震えるのです。止まらない…です。
身体の震えと共に漏れ出る声は、自分のものでないみたいに甘く室内に響きます。いつの間にか自分を包み込む布がなくなっていましたが、それすらも気付く事なくヴォルが与える感覚の中に漂っていました。
「メルシャ…っ。」
「…ふっ…ん…っ。」
私は今までに知らなかった感覚に翻弄されながら、必死にヴォルにしがみつきました。溢れる感覚に、視覚も聴覚も触覚も嗅覚も味覚も…全てヴォルに埋め尽くされます。もう…何処かへ行ってしまいそうです。
「あぁぁぁ…っ!」
「メルシャ…くっ!」
そして真っ白な光の中に全てが包まれました。
幸せ、でした。とても…、とても。




