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「結婚しよう。」  作者: まひる
第四章
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2.どうすれば良い【3】

「お気付きではありませんでしたか?この半年、貴女は毎日様々な勉学に励んでいらっしゃいました。ですが、知識だけではバツです。お心をしっかりとお持ちください。」


 ベンダーツさんってキツい言葉をぶつけてきますけど、案外優しい人ですか?もしかしてヴォルに酷い言い方をするのも、何か理由があったりします?


「何ですか。そんなにやけた顔で見ても、私には気持ち悪いだけですけど。」


 し、失礼ですね。


「それはすみませんでしたっ。」


 少しムッとして言い返すと、僅かにベンダーツさんの表情が緩んだ気がしました。


「それくらい強気でいきなさい。下位の者の言葉に耳を貸す事は悪くはありませんが、それに左右されるのはなりません。」


「分かりました。」


 本当に…素直に優しく出来ないのですかね、この人は。でも、確かにそうですね。いちいちヘコんでたら、身体が持ちませんよ。


「優しいんですね。」


 思わずニッコリと告げます。…ベンダーツさんが硬直しました。どうしたのですかね?


「あ…、貴女という方は…。」


 珍しく狼狽えていますが、私は何かしましたか?とりあえず首を傾げてみます。


「何でもありません。では、礼儀作法の復習から始めます。」


 あら、復活が早いですね。ベンダーツさんは片方の眼鏡を触りながら、いつもの口調に戻りました。


 そんなこんなであっという間に午前中が終わり、お昼を挟んで午後の勉強です。薬草の知識は私自身が欲しかったので、色々と見聞きするのがとても楽しいです。


「この薬草は何でしたか?」


「あ、消炎止血用ですよね?実際に生えているのを見るのは初めてですけど、使った事がありますし。」


 そうなのです。私は今、薬草専用農園に来ています。本に書かれたものだけではなく、実際に触れていこうという方針のようです。


「でも、苦いんですよ。」


「当たり前です。口にするものではありませんから。」


 アハハ…、口にしたのは私です。だって、擂り潰す物がなかったのですから。


「道具がなかったら、どうすれば良いのですか?」


「探しなさい。」


 あ~、簡潔なお言葉ですね。


「とは言っても、清潔でなければ意味がありません。傷口に細菌が入れば、それこそ薬草では間に合わなくなります。その場合は、咀嚼しかないですかね。味はどうであれ、身体に害はありませんから。」


 ベンダーツさんの言葉を聞いてホッとしました。今更なのですけど、それ以外に考え付かなかった私ですから。やはり、知識は大切ですね。あって困る事はないですよ、本当に。



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