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「結婚しよう。」  作者: まひる
第一章
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3.抱き枕になるんだろ【5】

「あの…っ、もう朝なので放して頂けませんか?」


 振り向く事が出来ないこの状況は、逆に私の真っ赤になっているであろう顔を見られなくて助かります。


「そうだな。」


 すんなりと解放して頂けました。背中がスッと涼しくなり、寂しさを………感じませんがっ!私は自身の動揺を必死に抑えます。ですがヴォルの方はいつもと変わらず、朝食の用意を始めました。ドキドキしているのは、私だけのようです。何か、モヤモヤします。


「もう出来る。」


 コッソリついた溜め息を聞き取られ、空腹を訴えていると思われたようです。それはそれで恥ずかしいのですが。


「はい…。」


 とりあえず返事をしておきました。食事を作ってもらっているのですから、この気まずい空気をいつまでも引き摺る訳にはいきません。いえ、私だけが気まずいのでしょうけど。


「食べるか。」


「はい。」


 目の前に突き出されたお皿には、パンとハムと卵焼きが乗っています。朝はこのような軽食と、ウマウマさんのミルクです。ヴォルは苦いコーヒーを飲みます。木の実を煎って煮出した、黒い飲み物です。私は苦いので飲めません。ウマウマさんは乗り物にもなるし、ミルクも出せるのでとても重宝しています。


「美味しい~。」


 幸せです。ご飯は食べるだけで幸せになります。そう言えば昨日の夜は少し考え事をしていて、ご飯の味が良く分かりませんでした。残念です。やはり、ご飯を食べる時は考え事をしていては駄目ですね。


「幸せそうに食べるのだな。」


「だって、美味しいんですもの。美味しいって、幸せですよ。」


 二へ~ッて笑ってしまいますが、ヴォルは相変わらずの無表情です。あ、でも少しだけ瞳の奥が優しいですね。これは喜んでいるのでしょうか。自分の作った食事を美味しいと言われて、不機嫌になる人はいないでしょうし。大丈夫でしょう。


「そうか。」


「はい。」


 ニッコリ微笑む私です。昨日一緒の寝具に寝た事で、何故かあまりヴォルを怖いと思わなくなりました。気のせいでしょうか。


 そしていつものようにヴォルが魔法で調理器具を洗浄、乾燥します。私はそれを横目に、ウマウマさんに草をあげていました。



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