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「結婚しよう。」  作者: まひる
第三章
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≪Ⅸ≫気が紛れると【1】

≪Ⅸ≫気が紛れると


 皇帝様との夕食会が終わった事もあり、一日ギッシリの礼儀作法教室も終わりを向かえました。あ、なくなりはしないのですけど。それ以上に大変だったと知ったのが、この国の歴史です。ヴォルの伴侶になるにあたって、国に関わる知識を求められるとの事だったのですが…。


「あ~…、もうダメです…。」


 バタリと机に伏せた私でした。頭が良くないのですから、勉強も勿論苦手です。もうそれはベンダーツさんよりも、ですよ。それなのに、夕方まであれやこれの勉強を詰め込まれるのです。しかも毎日。…限界も来ますって。


「メルシャ様。まだ本日の予定カリキュラムの半分も終わっていません。もう少し頑張って下さいませんか?」


 言い方は柔らかいのですが、ガルシアさんはかなりスパルタです。さすが侍女長なのですよ。カリキュラムって言う量も普通ではないです。いったい、誰がこれを全て出来ると言うのですかってなくらいですから。


「あ、あの…この量はいくらなんでも無理です。もう既に、頭に入る余裕がないです。」


「何を仰いますか。これは全て、ヴォルティ様が7歳の頃に終了したものでございます。」


 …ヴォルと出来を一緒にしてもらっても困りますよ。いくら7歳のヴォルが相手でも、そもそも頭の作りが違うのですから。地理も歴史も、今まで全く知らなくて良かった私です。それに言いたくはないですけど、私が覚えたところで何の役に立つのでしょうか。


「まだこれ以外に言葉があります。他国の要人と話す機会もありますから、それまでには後二ヵ国語程マスターして頂かないとなりません。ちなみに、ヴォルティ様は主要10ヵ国語を話されます。」


 無理ですっ。もう起き上がる気力もないです。場所埋め要員なんですけど、とも言えずに涙が出そうでした。


 ヴォル~、何とかしてくださいよ~。なんて、心の中で訴えてみました。いえ、どうにもならない事は分かっているのです。でもこうも勉強漬けでは、逆におかしくなってしまいそうでした。


 コン、コン。静かなノックが響きました。この部屋にはガルシアさんと私だけなのです。


「はい。」


 上の立場にいる者の了解がなくては、扉が開かれる事はありません。私はガルシアさんに視線で問われ、不安に思いながらも返事をしました。その後、ガルシアさんが扉を開けに行きます。


「どうしたのです?…まぁ…そうなの…。」


 僅かに侍女さんの姿が見えますが、部屋に入る事なくガルシアさんと話しています。何でしょうか、チラチラとこちらを見ていますけど。気にはなりますが、今ならサボりではなく立派な休憩ですね。一度は起き上がった私ですが、再び机に伏せました。



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