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「結婚しよう。」  作者: まひる
第三章
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≪Ⅵ≫いずれ知る事だ【1】

≪Ⅵ≫いずれ知る事だ


 コンコン。静かなノックが響きました。誰でしょう。


「何だ。」


「ベンダーツです。」


 ゲッ、と思わず心の中で叫んだ私を怒らないで下さい。片眼鏡再登場です。嫌~っ!私はあの人が苦手なのですっ。条件反射で後ろに引いた事をヴォルに見られた私は、苦笑いを浮かべるしかありませんでした。


「今行く。」


「えっ?」


 まさか、ヴォルが直々に迎えるとは思いもしなかったです。ですが慌てた私を振り返ったヴォルは、優しく頭を撫でてくれました。えっと…、何でしょうか。


「メルには近付けさせない。」


 そう告げて、ヴォルは研究室を出ていきました。扉が開いた一瞬、片眼鏡の顔が見えただけです。って言うか、相変わらず冷たい瞳でした。


 …ホッとしたのも束の間、(シバラ)くして何故か怒っているヴォルが戻ってきました。な、何か怖いです。片眼鏡と接するとヴォルが怖くなるので、余計に会いたくないですね。


「どうかしましたか、ヴォル?」


 眉間にシワが寄っていますよ。思わず手を伸ばして額に触れます。後が残ってしまったら、せっかくの美形が台無しではないですか。私と違って綺麗な顔なのにです。


「どうした、メル。」



 真正面から眉間のシワへ手を伸ばす私に、僅かに驚いたようなヴォルが問い掛けてきました。


「シワが寄っていますよ。」


「……。」


 何も言わず、私に眉間を伸ばされているヴォルでした。でも不意に気付いたのですが…ヴォルはただ、反応出来ないだけだったりします?


「どうかしましたか?」


 小首を傾げながら見上げます。


「…不思議だな。」


「はい?」


「メルに触れていると落ち着く。怒りが消える。」


 えっと…、どういう意味でしょう。私はその言葉の真意が分からず、ヴォルの額に指を置いたまま考えました。……………分かりませんが、落ち着くのなら良い事にしましょう。


 私は一人で納得し、ニッコリと笑いました。あれ?ヴォルが僅かに目を見開きましたが、どうかしたのですかね。そう言えば、先程の不機嫌の理由は何だったのでしょうか。


「怒っていましたけど、何かあったのですか?」


「…あぁ。メルの教育係が決まった。」


 教育係?…あ、そう言えば礼儀作法の事を言われていましたね。


「はい。」


「…アイツだ。」


「…はい?」


 嫌な予感しかしませんね。って言うか、ヴォルがアイツ呼ばわりするのって…。


「ベンダーツが名乗りをあげたらしい。」


 …そ、そんなものですよね。思い切り項垂れた私に、今度はヴォルが優しく頭を撫でてくれます。優しいですね、ヴォルは。



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