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最初の選択

森の中では、時折弱い風が吹いてざわざわと木の葉を揺らしていた。たまに鳥のさえずりも聞こえる。今の季節は夏の始まりのころだが、森は涼しくて居心地もよかった。

「ねぇ、今日は何して遊ぶの?」

りりぃがロッドに尋ねると、

「ぜんぶだよ。りりぃが決めたんだからね」

ロッドは得意げな顔をした。

「えっと…じゃあ、みんなは何がしたい?」

りりぃは一人ひとりのうさぎを順番に見渡した。


「猟師さんごっこ」

「かくれんぼ」

「探検隊を結成して宝探ししようぜ」

「おままごとがいい」

「おいしい木の実を探そうよぅ」


うさぎたちの意見はバラバラだった。しかしりりぃはこういう時になんて言えばいいか知っている。

「うんいいよ、ぜんぶやろう!」

「おぉっ」

ざわざわ。うさぎたちがざわめく。

「本当に言ったね」

「この子は度胸があるなぁ」

りりぃには何のことだかわからなかった。


「それじゃあ…何からしようか?」

「それは君が決めるのさ、りりぃ姫」

すぐそばまでコロンが近づいていた。なんだか思ったより大きい。うさぎさんってこんなに大きかったんだ…りりぃは少し不思議に思ったが声には出さなかった。

「早く決めてよね」

ミミィがりりぃを睨む。あれ…そういえばピンク色のうさぎさんなんていたかなぁ。写真でしか見たことがないが、実物はもっとカラフルだったらしい。せかされて焦ったりりぃははじめの選択をする。


「私は…まずは木の実を探したい」

木の実を探すついでに、ゆっくりこのあたりを見て回りたかった。

「オッケー!」

「じゃあ、誰が一番に見つけられるか競争だ!」

「おーっ!」

うさぎたちはいっせいに駆け出した。


「あぁっ、ちょっと待ってよぉ!」

りりぃもそのあとを追いかける。森の中を走りながらいろんなものがあるのを見つけた。顔のある花。カラフルなきのこたち。おばけのような木。どれも見たことがないのは、りりぃが初めて外に出たから?

「おーい!見つかった?」

ゼボーンが大量の木の実を抱えながらりりぃのところへ来た。

「まだだよー。って、ゼボーンすごい!もうそんなに見つけたの?」

「えへへ。ボクの木の実センサーが反応したんだ」

いつの間にかゼボーンの表情は明るくなっていた。もうりりぃを怖がっていないようだ。

「いいなぁ、そんなに。私なんてまだ一つも見つけてないよ」

「じゃあね、りりぃは特別だから少し分けてあげるよ。どれがいい?」

「えっ、本当?!」

りりぃは目を丸くした。

特別だって。私、お友達からプレゼントをもらえることになったんだ。どうしよう!

ゼボーンが集めてきた木の実は全部で五種類あった。赤い実、青い実、黄色い実、ピンクの実、紫の実。どれも宝石みたいにきれいでおいしそうだった。

「んー…それじゃあ、赤色の実をちょうだい!」

「ふふ、りりぃは赤が好きだもんねぇ」

りりぃのお気に入りのワンピースは赤を基調にしたもので、確かにりりぃは赤が大好きだった。

「はい、どうぞ」

ゼボーンは持っていた赤い実を全部渡してくれた。

「ありがとう!」

りりぃが試しに一つ食べようとしたその時。

「何やってるんだ!」

ドンッとロッドがりりぃに体当たりして木の実が全部地面に落ちてしまった。

「あ…」

「……ひどい!何するのロッド。せっかくゼボーンがくれたのに!」

「あのさ、見てごらんよ、地面を」

「え…?」

見ると地面の一部、赤い実をぶちまけたところが、どす黒い色に変色していた。

「なにこれ」

実はつぶれていなかった。

「りりぃが知るはずないよね。この木の実には毒があるんだ。食べたら、血を吐いて苦しみながら死ぬところだったよ」

ロッドはゼボーンを見た。

「どういうつもりだ?」


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