第3話 レナの家 ぱーと2
やったー!レナの家に入れるぞ!
喜んでいたが、後ろから超絶好調の殺気がこもった視線が刺さってくる。まあ、何はともあれ、無事(?)にレナの家に入れそうだ。がしかし、付き合って1日も経たず家に行くのは、どうなんだろうと思う。別にいいけど。
レナが先導して家に入る。と
「おかえ、お友達?あれ、もしかして彼氏?きゃー、こんなイケメンが彼氏なんて羨ましー!我が子も隅におけないなこの野郎!」
え?誰?
出てきたのは40代位のオバサン。出てきて直ぐにマシンガントークとか、引くわー。しかも、一言もしゃべってないのに自分で話を進めている。言ってたことは当たっていたのだが。
「お母さん、黙って」
そう冷たく突き放したのはレナ。目が怖い。
うっ、とたじろいでからレナの母はショボくれながら台所らしきところへ退散していった。
「部屋はこっち」
娘に突き放された母に同情しながらレナに付いていくと、きちんと片付いた部屋に入った。
「ここ。で、何するの?」
あ、忘れてた・・・・・。
ここは―――
「やっぱり」
「トランプやろー」
言うなあああぁぁぁ!!!
勿論アシラである。言おうとしたこと言うとかひどくない?なんて奴だ!
「···········フッ」
笑うな···!
「だれ殺る·····なにやるの?」
アシラはいい間違えていたが、なにをどう間違ったのか見当がつきすぎる。
「大富豪やらね?」
と俺。トランプといったらやっぱり大富豪でしょ。
ババ抜きとか楽しくないわー
「ルール、わかんない。ババ抜きしない?」
レナ?わかんないの?
ま、可愛いから許す!とか思ってみたり。・・・・ババ抜き?
「ババ抜きいいねぇ」
アシラは笑顔で言った。
そういう訳でババ抜き開始。
「俺が配るよ」
トランプを配り終え、自分の手札を見て、数が低い順に並べる。
(ダイヤの1、クローバーの1、ダイヤの2、ハートの2、ハートの3、スペードの3、ダイヤの5、スペードの5、スペードの6、クローバーの6、ハートの8、クローバーの8、ダイヤの9、ハートの9、クローバーのQ、ハートのQ、スペードのK、クローバーのK)
は?
アシラとレナはもう捨て終えて、同じのがないか確認している。けど、なにこの手札。
すっ、と手札を捨てる。勿論全部。
二人はなにしてんだこいつ的な目で見てくる。
「い、一応全部揃ってる」
「「え?」」
そんな筈はないとアシラは確認しているが、やがて、悔しそうに顔をしかめた。
「マジかよ」
その後も、ババ抜きを初め、色々やったが、どれも面白かった。まあ、レナが居たからだと思うが。
今日、レナはあまり自分から発言せず(一応自分に話し掛けられたことは喋る)、楽しそうに笑ったり、俺とアシラのやり取りに困った様に笑っていた。
そして、気付けば時刻は7時前。アシラは、
「母さんに殺されるううぅぅ!!!」
と言ってダッシュで帰っていった。
残った俺とレナは喋るでもなく、のんびりしていた。
「まだ居ていいかな?」
「うん。ゼロは家は大丈夫なの?」
「俺、一人暮らしだから」
そう、俺は一人暮らしなのだ。だから、家に帰っても特にすることは無いし、このままで居たかった。
「家族は?」
「両親は物心ついた時から居なくて、叔父さんに育てられけど、二年前に死んだよ」
「・・・ごめんなさい」
親のことを話す俺の瞳をみて、レナは申し訳なさそうに謝る。
「大丈夫」
「一つ聞いてもいいかな」
「なに?」
「なんで私のこと、好きになったの?」
その質問にはさすがに驚きを隠せなかった。しかし、答えるしか道は無さそうだ。
「雰囲気、かな」
「私の雰囲気?どんな?」
「水かな」
少々よくわからない答えに首を傾げるレナ。
まいっか、とだけ言って質問をやめ、そばに座った。何故か正座で。
「これから宜しくお願いします」
ソコで、彼女の意図を察する。
「それ、俺が言うべきことだから」
コンコン――ガチャっ。
「ご飯出来た・・・あら、邪魔してごめんなさいねぇ」
ガチャン
「「・・・・・」」
久々の執筆です