第一章③
「MSNニュースのレポーターの槇野 ノリ子。私も耳が犬耳となってしまいましたが、現状を伝えたいと思います」
耳がシェパードの耳となってしまったレポーターの槇野ノリ子は現状を伝えていた。
仕事も終わり、ホッとしたような顔をして、近くのベンチに腰を掛ける。
「全く、耳が犬になったゃうなんて。狼みたいじゃない」
「ノリ子さん、ジャーマンシェパードの耳ですよ」
と、ディレクターが伝える。町には犬耳になってない人間もいる。
「私はもう帰るわ」
「の、ノリ子さん。送りましょうか」
「いいえ、一人で帰る」
ノリ子はそう言って、タクシーを呼び止め乗り込んだ。
タクシーの運転手はノリ子を見るなり驚く。
「耳が…」
「そんなことより、車だして」
ノリ子は運転手に車を出すように言った。そして、行き先を伝えるのだ。
ガラスに映る自分の顔を見て、ため息を吐く。
「やっぱり本物よね」
と、自分の耳をさわり、確認した。
「病院に行かなくていいのですか」
「明日にするからいい。あなたは大丈夫なの」
と、ノリ子は尋ねる。
「今のところは。しかし、どうして犬耳が…。まさか、オタクが…てっなわけないですよね」
と、運転手は笑いながら言った。
「そんな分けないでしょ」
「つきましたよ」
ノリ子は運賃を払い、タクシーを降りた。
彼女はアパートに入り、すぐさまソファーに行き、座り込む。
「今日はあれだけで帰れるからなぁ。上司からあれが終わったらゆっくり家で休めって」
と、ノリ子は呟いた。テレビをつける。そこでは見にも疑う。秋葉ではイヌミミメイドが現れて賑わっていたのだ。
「信じらんない…」
と、ノリ子は呆れていた。秋葉だと盛り上がるようだ。
「そう言えば、空が光ったような…」
と、朝の事を思い出していたのだった。
槇野ノリ子は主要人物の一人です。ノリ子のパートも入れていこうと思います