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番外編  その①

昔話とその他諸々をある研究者が延々と語ります。

 これは私の祖父がよく聞かせてくれた伝承だ。



 昔々、どの位昔かはわからないが、とても深い深い森があった。その森の奥深くには付近の集落に住んでいた人々にとって非常に良い薬草が生えておったそうな。

 しかし、その森には凶暴なドラゴンや獣が闊歩(かっぽ)しておったのだ。そのため、人々はそれらの目を掻い潜りその薬草を取りに行ったがやはり怪我をして帰ってくる者が後を絶たなかったそうな。

 だが月日が経ち、若い者が少なくなり薬草が取りに行く男手も少なくなくなってしもうた。しかもその少ない若者達は、家族を養うために出稼ぎに行く事になったのだ。

 だがある時、森の巨獣が付近の集落に襲いかかって来たのだ。人々は逃げ惑い、集落で唯一戦える力のある男等は一人残らず、深手を負ったそうな。たった一人、頭部を咬み潰されて即死した者を除いて。

 男等の傷は、あの薬草を取って来れなければ癒しきれないくらいのものであった。

 女達は何組かに分かれて取りに行こうとしたが、途中で男でなければ登れないほどの崖に阻まれ、誰一人として薬草を取って来る事は出来んかった。懸命に看病を続けても男等は弱っていくばかり。

 そんな時、怪我をした大きな一匹の狼が森から出てきたのだ。(みな)はその狼を恐れ、鉈や農具を(かま)えた。

 しかしどうだろう、その狼は人々の目の前で体を横たえて人々を見据えたのだ。まるで死を覚悟したかのように。

 その姿を見て一人の小さな女子(おなご)が犬だと思うたのか、傷薬を持って駆けていってしもうた。

 だが大きな狼は唸る事もせず、女子(おなご)の手当てに身を任せた。狼の傷はそれほど酷くなく、いくらも経たぬ内に駆け回れる程となった。

 そして、元気を取り戻した狼は血の匂いに誘われてか、男等の所に来たのだ。

 そこには狼の怪我の手当てをした女子(おなご)のおとうもいた。おとうが眠っている横にその女子(おなご)もいた。大きな狼は女子(おなご)にそっと寄り添い、涙に濡れた頬を舐めた。

 女子(おなご)は狼に、森にある良い薬草があればおとうもここにいる男等も死なずにすむ、という事を話した。狼はそれに相槌を打つようにウォンと吠え、女子(おなご)が泣き疲れて寝入るまでそばにいたそうな。

 その()、狼は一度だけ長く、甲高い遠吠えをして森へ駆けていった。まだ右の後ろ足に手拭いを巻きつけたまま。

 それから、幾日(いくにち)が経ち男等も限界に近づいておった。それこそ、明日(あす)になったらもはや、食事もままならなくなってしまうのではないかというほどに。

 そこに酷く薄汚れた男子(おのこ)が森からよろよろと出てきたのだ。(みな)一様に驚いたが、それよりも驚いたのは、その男子(おのこ)が腕一杯にあの薬草を抱えていた事であった。

 こうして、死の(きわ)に立たされていた男等はその薬草のおかげで命を取り留めたそうな。

 めでたし、めでたし。



 しかし、この話には続きがある。


 なにせ、その少年の右足には、少女が狼に巻いてやった手拭いと同じ染め抜きで血が付着した(・・・・・・)跡まで同じ(・・・・・)手拭いが巻かれていたのだから。


 祖父のこれについて調べ上げた内容はこうだ。



 少年は少女に一番にその薬草を渡し、少女が顔を綻ばせておとうのいる所に駆けていくのを幼い子供のような無邪気な笑顔で見送った事。

 その後すぐ、その集落の薬師に抱えている薬草を男等に十分な量を渡し、他の集落に駆けていき、怪我人のいる集落全部に怪我人の人数に合わせて配り歩いていた事。

 巨獣が襲ってきたのは、(巨獣に殺されたあの)男に巨獣の子が殺されたからだという事を伝えながら。

 それが終わった頃、少女の集落へ戻り、疲れきっていた彼は緑風(りょくふう)をその身に纏い、姿が見えるようになった頃にはあの狼となっていた事。

 狼を、集落の人々は不気味に思ったがそれでも恩人として扱った事。

 そして、その狼は元々は人間(ひと)であったと少女には打ち明けていた事。

 これら自分の事については、安易に他者に伝えてはいけないとその少年が言った事。



 この内容の全ては祖父が自分で渡り歩き、集めてきた話の一つでありその数は千を超える。安易に教えてはいけない事柄とされていたはずの内容を教えたのは、もはやこんな話は夢物語だ、として集落の者達が信じていなかったから。

 しかも少なくない数の物語と集落には、彼らがいたらしき痕跡さえ残っていたのに、だ。

 その中のある集落は非常に野党や盗賊に狙いやすく効率的な位置にあった。虎と変化する(なる)彼らの一人がこの集落の若者に助けられた事でその集落を襲いに来た野党や盗賊(荒くれども)を蹴散らし、近づけさせないようにしたという話もある。その後、一切そういう輩は集落ここに来た事がないという所でさえ信じられていなかったのだ。

 しかし、この人間(ひと)ならざる者が民を救い導いたというような伝承は各地に散らばっており、数も非常に多い。それなのに他の地域に広まる事はなかった。

 様々な物語の中で、姿を変えるのが熊であったり、ドラゴンであったり、狐であったり、見たことのない獣や龍であったり、纏うものが風ではなく、火であったり、雷であったりと様々だったが、その共通点は


 ①信用した相手(・・・・・・)にしか自分が人間(ひと)であった事を話していない事。

 ②竜と変化する(なる)者は竜に、獣と変化する(なる)者は獣に育てられた事。そして、その親となった者の血を自分の血に()けている事。

 ③本来の肉親に、幼い頃に己を手放された事。

 ④人間(ひと)に対して異常なまでに警戒心が強いという事。

 下記は確証不明だが

 ⑤(人型時)異形?

 ⑥(危害を加えない限り)中立

 ⑦(敵対すると)反撃に出る。その上、恐ろしく強い

 共通点では無いが、

 その者らが変化(へんげ)する種族、属性、性格(主に攻撃性の強弱など)が異なるので恐らくはこのような者は複数存在すると思われる。




 ③はその内容も様々だが、数少ない内容には、事情があったのかなんなのかわからないが森の中に捨て置かれた者、虐待の末に死んだと見なされた者、事故に遭い見つけて貰えなかった者、神への貢ぎ物とされ(のち)の親となる者に助けられた者、もはや自分がいつから本来の肉親では無い親と暮らしていたかわからない者などがある。共通点の最後に書いた予測はこの事からも言える。

 つまり、自分が信用した相手にわざわざ嘘を教えるとは考えにくいのだ。


 ④は①、②、③の話を話される前に集落の誰か一人でも、その者に危害を加えてしまった時点で内容を知る事は出来なかった事から推測される。なぜなら、危害を加えられた(もしくは加えられそうになった)彼らは二度とその者達に姿を表す事が無かったから。


 確証不明な事柄は私が(じか)に見たあの少年と祖父の調べた内容の端々(はしばし)にあった所からの推測だ。

 ついでに言うと彼らに反撃を受けた者は、問答無用に見るも無残で目も当てられないほど非常に残念な姿にされたそうだ。・・・いや、断じて、おちゃらけた意味では無い!

 一説によると犬ほどの大鷲と変化する(なる)者に(恐らく、人間(ひと)よりも小さくなる変化(へんげ)後の状態の時に)短剣を抜き、不意打ちを仕掛けた村人?(バカ)は反撃を受けたその後、小鳥の鳴き声にさえ怯える事となったというし。

 私の場合、はっきりとした敵意を向けなかったからこそ見逃してくれたのだろうし。恐らくは見たという情報を他に伝えたくなかったため意識を奪ったのではないだろうか。

 祖父が調べた内容は広く浅い情報しかなかった。数多いくせにどんなに調べても詳しい内容がわからないのだ。それは暗に、彼らが信用した相手の殆どが詳しい情報を流さないように生活したという事であろう。


 彼らを再現するためにも、祖父の考えを馬鹿にした奴を見返すためにも、そして、私が力を手に入れるためにも、私はこれらの中で②を実験することにした。

 結果わかった事は、

 ・姿形が著しく変わってしまう、変化(へんげ)後の体格が違いすぎるために大人では、その変化に耐えきれずに確実に死亡する。

 ・子供でも体のどこかを失う、もしくは耐えきれずに死亡者が出る。

(死亡要因は単に順応できなかった、内臓の一部が失われていた、飼育中の衰弱死など…)

 ・その事から血液型のように竜と人間(ひと)の血の相性の様なものがある。(少し確証不明だが・・・・・)

 ・その相性を見極めようとしてやっってみた矢先に何も失わずにドラゴンの姿になった者がいた。

 こいつの血液を調べれば、さらに人間(ひと)は先はどのような竜術(りゅうじゅつ)獣術(じゅうじゅつ)のようなものを使える者に近付けるだろう!


 ・・・・・・コホン、つい興奮してしまった。いつもの如く脱線したな。


 ・獣でもやってみたものの、人格を無くす。と言うより凶暴化するので実験中止。

 ・最初の実験では子供(どれい)でやっていたが、もともと体が弱っているためほとんど死亡。

(なので適当な村から騒動に順じて良さそうな子供を調達させた。)



 レイヴの子供(あいつのガキ)は本当に良い実験体だった。今までどうしてもどこか欠損しているドラゴンにしかならなかった。

 それが奴のガキ(かれ)は綺麗な竜となったのだ。

 幼竜の特徴である横から見た顔は犬の輪郭に似ており、いずれ大きくなれば口先が鷲の(くちばし)の鉤のように尖ったり、(ワニ)のようになったりと様々になる。

 頭の上からはえた二本の角はまだほっそりとしているが、大人になれば太くがっしりとなり種類によっては枝分かれする(角の先端の数は少くて2~多くて10まで)。

 角の付け根より下方にある耳の形は立ち耳の犬や猫が後ろに耳を倒している時の様な形で外側は鱗に内側は(たてがみ)同様の体毛に保護されている。額から続く(たてがみ)が鱗部分にかぶさっていてそこからの体温放出を抑えている。いくら恒温動物(自分で体温を作れる動物の事)だからと言って幼竜はまだ体温調整が苦手だからだ。

 (たてがみ)は額から首の後ろ、(種によって肩を覆い)背中や尾の上部、尾先の飾り毛に至るまで艶やかな光沢だ。この(たてがみ)は体温調節がある程度出来るようになると抜けてしまう種もあるし、逆に体全体を覆ってしまうほど伸びてくる種もある。彼の場合はもう遅いが他の者はどういう風に成長するか見てみたかった気もする。よほどの好条件か仲間を見つけて協力するかしなければ、生き残れないだろうが、それも非常に困難になるようにしてしまったから・・・・・・・。まぁもうどうでもいい。私は研究が続けられればいいのだから。

 手足の指数の消失、鱗の変形は一切見られなかったうえ、鉤爪の欠損や変形もなく整っていた。尾の飾り毛の少々手前にある尾の上部の(たてがみ)の左右にある棘も同様に通常のと変化はなかった。

 翼や翼膜は言うまでもなく、正常な形、強靭な弾力、血の巡りも良く、滞って硬質化している所もなかった。翼爪の形も良く、軟質化しているのもなかった。


 すべてにおいて通常の幼竜と変わりなかった。これを今度は人間(ひと)の姿に留めるように出来れば、人間(ひと)竜術(りゅうじゅつ)獣術(じゅうじゅつ)を手に入れる事が出来る。

 (たしかに確証不明ではあるが)彼らの姿が異形であると伝えられたという事は、上記の要因である可能性が含まれるからであり、姿について記載がなかったのは通常の人間(ひと)の姿だったからと考えられる。

 だからこそ・・・・・・







 偉大なる(ごう)には犠牲はつきものなのだよ・・・・・・・・・・・

卵から生まれる幼竜はどんな種類でもほぼ変わりません。ある一定の所から順々にその種族ごとに体が形を変えていきます。

さぁ、昔話の彼らは出てくるのだろうか!?っていうか出せるのか!?


結論 : 不明

だって、だって、出したら乗っ取られそうなんだもん。そっちを元にこの小説のネタが出来たし。

(スイマセン!ぶっちゃけちゃいました!本当にそうなのです!)

気付きもしないすんげぇ脇役ならいけるのか?でも、めちゃくちゃでしゃばってきそう。止めとこうかな?どうしよ…

むしろ、どうすればいいでしょうか?みんなも考えてね♪




まぁ、出るときは出ますし、出ないときは出ないと思います。コメントとかで少しは左右されるだろうけど……

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