第三話:希望の光を見る
やっべぇ~!
宿泊研修行ってたせいで3カ月超す所だった~!!
というわけで遅くなりますた。
三話目です。ど~ぞ!
不意に外から声がする。
●「おい、あんたどこの部署だァ!?ここは生物研究者しか入れねぇ、特別な部屋だぜ!そう簡単には入らせねぇよ!」
★「どいてくれ!生物研究者の同僚に代わりに見てきてくれって頼まれたんだ。ペンダントを探してくれとね。」
●「けっ、どうだか。まぁいいさ、探したいなら探せばいい。ただし、ここには研究に使ってた大事な生体がいるんだ。そいつらが持ってたら檻の横のケースに鍵があるから奴らから取ればいい。だが、それ以外では触るなよ!」
★「あぁわかった。」
会話が終わると、ドアの鍵を開ける音がし、キィッとドアが開く。
■&▲「ガゥゴオゥギャウォンワゥガゥギャオン『んだよ!?てめえらなんか入って来んな!さっさとでてけ!おとといきやがれってんだ!』」
さっきの金属音攻撃に腹を立てていた奴らが一気に吠え、入って来た研究者は驚いて足が止まる。
●「こいつらは、人間が入って来るといきなり騒ぎだすんだよ。そのせいで10分と入っていられねぇぐらいだ。あ~あ、うるさいったらありゃしねぇなぁ。」
迷惑そうに言うが、顔にはニヤニヤと嫌らしい笑いが浮かんでいる。研究者は、気を取り直して中へ入っていく。ヘリオスたちが押し込められているこの部屋は、よく動物病院の入院室なんかに使われていそうなケージ状の檻が入ってきてすぐ正面に見えるようになっている。しかしその檻は、入院室のそれよりも小さく、小柄な幼竜(小型犬と中型犬の間くらいの大きさ)が一頭入ってギリギリの状態であり、しかも糞尿なんかは幼竜が入ったまま水をぶっかけて掃除するらしく、まだ全体的に乾いていない檻があったり、鼻風邪をひいている幼竜までもいた。排水溝は檻の前の床が開いてそのまま水を下に落とすようで、人間が落ちないよう格子状の足場が見えている。入って来た研究者は、騒音に耐えながら1つ1つの檻の中を注意深く見ていく。そこで研究者が目をつけたのは、元気そうなのに吠えない二頭の幼竜だった。
(↑風邪をひいているやつはともかく)
★「どうしたんだ?こいつら?」
●「あぁそいつらか。下のは新入りだから自分の状況をまだ理解出来てねぇだけだろ。上の奴はなぜか吠えねぇ。そこがなんか気味悪ぃんだがな。」
研究者は、なんとなくその二頭に興味を引かれ、まじまじと見る。上の幼竜は
赤い鱗を持ち、黄色い鬣がよく映えている。
前足の指は3本、後ろ足の指は4本だ。
(しかし本来ドラゴンの両手足の指は人間と同じように5本づつのはずだが・・・・)
とりあえず経緯はわからないので、他の所を見てみる。
鉤爪や尾先の小さな棘は黒曜石を思わせる艶やかな黒色。瞳は、コバルトブルーだ。
ガイル「グウゥゥ。ウォゥ・・ォゥ・・・?」
その幼竜は舐めるように見られ落ち着かなくなったのか、控えめに唸る。
★「なぁ、お前さぁこのくらいのペンダント知らないかな?」
身振り手振りで示しているが、答えてくれるとは思っていないらしく、最後に「冗談だ。」と言うよう自重気味に笑う。
ガイル「ガ、ウゥ?グゥグォゥワゥオン?『な、なぁ?ペンダントってまさかヘリオスのじゃあないよなぁ?』」
下の方を向き、ヘリオスに問う。当のヘリオスは何故か耳蓋を閉じる練習をしていて聞いていない
(って言うか聞こえてない・・・・ォィォィ)
ガイル「ガオゥ?『ヘリオス?』」
ヘリオス「グヮゥ!?クン?『ふぇっ!?何?』」
呼ばれていた事に驚いて、ヘリオスが声を上げる。
ガイル「ガォゥ~、フキュ~『何じゃあねぇよ~はぁ~』」
ガイルが呆れたようにため息をつく。その時、ガイルの行動に疑問に思いつつ見ていた研究者がなにか思いつき、
★「下のやつが何か知ってるのか?」
そう聞きながら、下の檻を見るためにしゃがむ。おそらくさっきまで白衣しか見えてなかったのだろうヘリオスが驚きの声をあげる。
ヘリオス「ガ、ガウォン『と、父さん!?』」
そう、
この部屋に入ってきた研究者はなんとヘリオスの父だったのだ。
ガイル『なに!?おい!みんな聞いただろ。静かにしてやれ。』
吠えていた者達が一斉に黙り込んだ。どんなに不平を言おうと事の重大さは、わかっているのだろう。静まり返った部屋の中、キュウキュウと鳴いているヘリオスの声だけが響く。研究者はいきなり静かになった幼竜たちと目の前の鳴いている幼竜を不思議そうな顔で見ていたが、どうやら何か伝えたいらしいことだけは理解した。
ヘリオスの父「どうしたんだ、なにを伝えたい?俺にお前たちの言葉は、わからないよ?」
その言葉でヘリオスは少し平静を取り戻す。そしてペンダントを見せる為に取り出そうとするが、いろいろやっていたため手やら足やら尻尾やらに絡んでしまったらしく(←何やってたらそうなるんだよ!?)
なかなか紋章部分を見せられない。ペンダントを外そうと少し格闘していると、ヘリオスの父が幼竜の体に細い金色の鎖が絡んでいるのを見つけてくれた。
ヘリオスの父「なぁ、看守さん?こいつらが持ってたらそいつに触っても良いんだよな?」
●「あぁ!?あんた本気かぁ?」
さすがに【どんな研究をされているかもわからない生物を触る奴はいない】と思っていた看守は、困惑する。下手をすれば病原体や細菌の研究やらに使われていたかもしれないのだ。だからこそ、この部屋は二枚扉式(ファミレスなどによくある)なのだ。しかも最初に入る小部屋は人が入った時と出て行った時の2回、消毒のための液体が噴霧がされるし、入る研究者たちは高性能の殺菌マスクをする。どう考えても怪しいので看守は入る気さえない。看守と話が通じるのは、部屋の内外にマイクと小型スピーカーがあるからだ。ちなみに大きなガラスで隔てられているので中の様子も外の様子も見える。
●「ちょ、おま、話、脱線しすぎだろ!」 あ、すいません
ヘリオスの父「ん?どうしました?」 いいからいいから(;一_一)ノシ
●「ゴホンっ、ま、まぁ触ってもいいがなぁ、どうなってもしらんぞ!」
ヘリオスの父「りょーかいしました。」
軽く返事を返してからヘリオスの父は、檻の鍵を開け始めた。カチャンという音がして格子扉が開く。そして鎖の絡んでいる幼竜に手を伸ばす。しかしどうしたことかさっきまで扉にすがり付くように鳴いていた幼竜が、檻の奥に下がってしまったのだ。
ガイル『おい!?どうしたんだ?』
いくら鎖が絡んでいるからといっても飛びかかる位は出来るだろう。ましてや自分を父は見つけてくれたのだ。嬉しくて抱きつきに行くかと思っていたガイルは、ヘリオスが出てこないのに心配になって声をかけた。
ヘリオス「・キ・・ゥ・・・・」
だが、返ってきた返事はおよそ言葉とは言えない物だ。
それもそうだろう。今のヘリオスは、
体高(四足で立った時の、地面から肩までの垂直の長さ)約15㎝
鼻先から首の根元までを一直線にして、約14cm
体長(首を上げた時の胸の全面から、後ろ足の人間でいう太ももの後面までの長さ)約22㎝
尾長(ピンと伸ばした状態で根元から尾先までの・・・
●「だ~か~ら~、そんな専門知識みたいなもんいらんわぁー!!全長で示せばいいだろ!全長でぇ!」
あぅ・・・しどい・・・・・え~と・・・・
全長(地面に腹ばいになった状態で頭から尻尾までの長さ)約54㎝であります。
13歳の男子の平均身長は156.5㎝。
つまり、本来の身長の三分の一なのだ。さらに言えば、尻尾で立っているわけではないので尻尾の長さは関係ないことになる。すると座り込んだ状態で頭の高さは約25㎝前後。
(ちなみに多少体長とかを合わせたより高くなるのは、ドラゴンの特徴である。後足が発達しているので前足を持ち上げ、後肢のみで立つことが出来る。成竜ならともかく、幼竜だからあんま上がらないけど・・・)
そうなるとヘリオスの目には人間(しかも大人で)は見上げるような巨人と映るのだ。そのため、ヘリオスは巨大な手が近づいてくる事に怯えて、奥に下がってしまった。
ヘリオスの父「怖がらなくていい。ほら。大丈夫だ。落ち着けって。な。」
優しく声をかけながら、ゆっくりと手を近づける。しかし怯えきったヘリオスは、どんどん後ろに下がってしまう。ヘリオスの父は、これ以上怯えさせないようと注意しながら手を伸ばしているのだが、ヘリオスはそれでも下がる。さすがに下がりすぎて後ろの壁に行き着いてしまい、背中を押し付けるように逃げようとしているが、巨大な手は近づいてくる。すでにヘリオスには、父の声を冷静に聞くことが出来ないほどのパニックに陥っていた。
ヘリオス「・・・クゥ・・・・ヒゥ・・・・・ァ・・ゥ・・・」
カタカタと声も体も震え、それでも近づく手を凝視していたが、あと数cmで触るというところで堅く目をつぶった。そっと手が体に触れ、
ヘリオスの父「よしよし。もう大丈夫だからなぁ。」
その優しげな声をかけられたヘリオスは、堅くつぶっていた目を恐る恐る開いた。そこには怖いものがあるはずもなく、見る者が安心するような笑顔の父がいるだけであった。その笑顔にヘリオスが力を抜くと、それを感じた父は体をそっと撫でてから片手をヘリオスの左脇の下に入れ、そのまま檻の入口に引き寄せる。そしてもう片方の手で体を支えるようにして抱きかかえた。
ヘリオス「フミャァ!?」
突然持ち上げられたのに驚いたヘリオスが、奇声を上げる。
ヘリオスの父「んあ?おっと、ゴメンゴメン。」
落ち着かせるように撫でてから、幼竜に絡んでいる鎖を外してやる。その鎖に付いている物を見て、
ヘリオスの父「これは!・・・・ヘリオスの・・・・・なのか?・・・・」
かすれたような声でつぶやく。その言葉にヘリオスが戸惑いながらもキュウと鳴いて、返答する。
それになにかを悟ったらしき父は、小声で
ヘリオスの父「お前、これの持ち主がどこにいるか知っているのか?」
と聞く。父に影響されてか、ヘリオスも小さくクンと鳴いて頷く。それを見て、幼竜に話が通じているかもしれないと思い、もう一つ質問する
ヘリオスの父「どこにいるのか教えられるかい?」
すると幼竜は困ったような、それでいてすがるような鳴き声を上げた。
ヘリオス「ク、クィゥキュウキュキュゥ?クォン『ど、どうやって説明しよう?ガイル』」
助けを求められたらしい上の檻の幼竜が、鳴く。
ガイル「ガウゥオン。ウォンオン、オォン!『俺にそんなこと聞かないでくれよ。とりあえずなんとか伝えるんだ、ここにいるんだって!』」
『そんなこと言ったてぇ~』と言いつつ、身振り手振りで懸命に伝えようとするものの父にはただ、バタバタとやっているとしか見えないだろう。父もなんとか読み取ろうとしているが、空中に四角を書いたり、その四角と部屋の床を指差したりしている幼竜が何を示したいかわからず、困った顔をしている。
(とりあえずこの子竜、話は理解しているんだよな。しかしさすがに人間の言葉は、この幼竜達には話せないようだし・・・。なら、どうする・・・・・)
難しい顔をして考えこんでしまった父を見て、ヘリオスも困ってしまう。どんなに居場所を教えようとしても、話すことの出来ないヘリオスは身振り手振りを見てもらうしかできない。しかし父は考え事に没頭するあまり、まったくヘリオスを見ていない。
●「おーい。ど-かしたのかー?あったのかー?」
なにやら幼竜を抱いてゴチャゴチャやっているヘリオスの父にしびれを切らした看守が気になって声をかける。
ヘリオスの父「っ!あ、あぁ見間違いだった。でもこいつかわいいな。抱きながら探しても良いかい?」
●「はぁ、もう勝手にしてくれ・・・。ただしな、出てくる時に、消毒部屋で、全身漏れなく、消毒しろよ!?」
念を押すように言葉を区切ってまで言う看守の様子からなにを心配しているのかがわかったので、ヘリオスの父は真面目な顔で
ヘリオスの父「その心配は無用だよ。消毒することの意味は研究者として一番よくわかっているつもりだ!」
と断言する。それを聞きあからさまに「安心したよオーラ」を、駄々漏れにする看守を見て父が首をすくめるが、看守が気にした様子はなく暇つぶしに精を出し始めた。
ガイル「グゥガゥ!ギャオンギャンギャン!!『あーもう!いっそ自分を指さしちまえばいいだろうが!!』」
どうやらしびれを切らしたのは看守だけではなかった様で、ガイルが思いっきり吠えた。ヘリオスと父はその声に驚いたが、ヘリオスは、素早くガイルの言ったことを実行する。
ヘリオス「キュキュウ、クーン?『父さん、気付いてよ?』」
そして質問を忘れてはいないだろうが、確認と意図を表すように鼻先でペンダントに触れる。
ヘリオスの父「ん、どうし・・・た・・・!?」
それを見て、父の表情が驚愕へと変わっていく。そして想像した悪夢を振り払うようにかぶりを振り、
ヘリオスの父「まさか・・・いや・・・・本当に・・!?」
認めたくないとばかりに自問自答する。しかし迷いを断ち切るように意を決して聞く。
ヘリオスの父「おまえが、ヘリオス・・・なんだな・・・・?」
言葉を発する度、父の顔は苦悶するような表情に変わる。ヘリオスは、クーンと心配そうに鳴いてからゆっくりとうなずいた。それを見た父はギュッとヘリオスを抱きしめた。ヘリオスは少し苦しかったが、父の気持ちがおさまるまで頬を舐めていた。
さあそして次回は・・・・・・・
3カ月超しそうなんです((+_+))
次話は最初の方さえ書けてない始末なので時間がかかる・・・・・と思います。
すみましぇんm(__)m