第十二話:実情の把握と決意
なんとまあ
いつもはそこまで書けないのですが、出来ちゃいましたね。
見直しが甘いかと思いますので、変な所がありましたらお教えください。
『おい、燃鼬!ヘリオスの事頼めるか?』
『ふむ良いが、会ったばかりの鼬をそう易々と信用して良いのか?もしかするとお前さんの友を喰い殺すかも知れんぞ?こんなに無防備な幼竜ならわしでも……』
『そしたら燃鼬を喰う!どこまでも追い掛けてな!……だけどそんな事してもお互いに不利益だろ?
それに本当に喰い殺すつもりならわざわざ怪我(?)を治す必要も無けりゃ、獣術を使って体力を使う必要も無いだろ?
燃鼬の話を信じるなら獣術の使用後二、三日しないと毛色が変わんないんだし、目立つだどうのと言ってたんだから色が変わるまでの時間延長するくらいなら断るだろ?
治療不可だとか言ってさ。それにこんな事聞いて来ないっしょ、普通は。』
『ふふふ、お前さんは甘いのぅ。……まぁわしもそこに甘えとるし、他竜のことは言えんがな。ヘリオスの事くらい頼まれてやるわい。しかし今からどこに行くんじゃ?』
『え?食いもん探しに…』
『行って迷子になったのじゃろう?この付近にある分なら2竜で二、三日くらい十分食えるじゃないか?わしの手も借りたければ貸してやるし。今日はお前さんも疲れておるじゃろ?探しに行くなら次に日が昇ってからでも遅くはなかろうよ。』
『でも……『幼竜はお話でも聞いてさっさと寝る!!』……あぅ』
燃鼬の気迫に負け、すごすごと葉っぱベットに座る。
『でもお話ってなんだよ?お話って……』
言い方が幼竜扱いなせいかブスッとした態度で聞くガイルに、呆れたような困ったような声で
『自分が約束した事をもう忘れたのか?教えてほしい事があるのはお前さんじゃろうが?何を教えてほしいか言うてくれねば、わしゃ何も答えられんぞ?』
『へっ?あぁそゆ事ね……。』
『全く…。そういえば、近くに食べ物があるのに探しに行きたがっておったのは緊急時の食べ物確保の意味かの?『そうだけど?』ふーん。人間みたいな考えじゃの……。』
人間と言った瞬間、燃鼬の表情が曇ったのに不安を感じたガイルは力有る獣の話を思いだし、
『燃鼬はやっぱ、人間は嫌いか?』
『そう聞かれるとどちらとも言えんな。わしの場合、上手くやれば人間の近くでも生活出来るしのぅ、見つかればただじゃ済まないが…な。それでも人間の知識を知る事は面白い。獣の知識の常識がクルリと変わることもあるし、別視点から物事の見る事に優れておるからその応用もできるしの。』
『ふーん。じゃあ他の生き物的にはどうなの?あんまり人間には近寄らない雰囲気だけど…。』
『そうさなぁ、とりあえず言えることは皆、人間そのものには良いイメージは持っておらんじゃろな。人間のほとんどは他の生き物を殺す、住処を荒らす、近寄るだけで追い立ててくるとかそういう話がヒジョーに多いからの……。』
『おぉぅ……。で、でも前者二つは肉食動物だってやるし、縄張りによそものが来たら追い払うだろ?』
『確かにわかるが、それは通常自分たちが食べる分しか取らんし、そのために獲物の住処を掘り返すぐらいはするじゃろうが、縄張りから出たあと追いかけてくる事もないし、そもそも人間は縄張りから出そうとはせずにただただ追い回して遊んでる時もあるわけで…。
特に【住処を荒らす】ってのは破壊するってのも含まれとる。つまり、住んでいた森や谷、山、それらを住めないようにしてしまう、居場所を追われると言う事じゃ。それをされた事のある者は恐らくかなりの人間嫌いになるじゃろうな。
だからと言ってわしはそんな人間ばかりでないのも知っとる。傷ついて弱っている時に助けてくれた人間もいたし、力有る獣だとバレた時に逃がしてくれた人間もおる。人間そばをよくうろついたからこそ知っておるだけじゃがな。人間も獣も同じじゃ。意地悪な奴もいれば心優しい者もおる。それが自分にとって多いか少ないかの違いじゃ。先入観などでは決めぬことじゃな。』
(いい話に持ってってくれたのは嬉しいんだがそれってつまり……)
話を聞いてふむふむと感心するふりをしながらガイルはある結論に達していた。
『って事はとりあえず滅多に人間好きな獣はいないって事だろ?人間嫌いな獣が多い中で【俺は人間大好き】なんて言ったら…『フルボッコじゃな!』即答かよ!?(せめてフォローぐらいしてくれよ…)ちなみにそうなったらお前は…『脱兎の如く逃げる!』…よな…。』
(つまり元々は人間だ、なんて知られたらフルボッコにされるどころじゃ済まされないって事だろ。ヘリオスにも気を付けるようにあとで言っとかねぇとやばいな。)
その後、この付近のことについて聞いたが燃鼬は流れ者でまだそれほど詳しくないのだと
か。
『そういえばドラゴンは巣を作らないのは獲物が少ないからってどういうこと?』
『お前さん本気で言うとるのか…?まぁその大きさで完全草食に近い食性なのは珍しいとは思っておったが、』
本来、ドラゴンの子育ては卵からかえった後しばらくは親竜が噛み砕いた生肉を食べる。それは肉のほうが栄養価が総じて高いからであり、また親竜が食べる草木にも限界がある。大概、飛竜族や地竜族の成竜(おもに草食に近い雑食)は栄養価の高い植物を好んで食べるが、子育てに必要な栄養はそれだけでは足りず、どんなに栄養価の高い植物が多い森だろうと親竜(雄雌)と子竜一竜育て養えば全ての植物(栄養価の高い低い関係なく)食いつぶされてしまう。そこで若竜となるまでの成長期、親竜は肉を与え途中から草を食べさせてそちらに切り替えるようにするのだそうだ。だから近くに獲物が多くいてさらに親竜が好む植物もなければ良い繁殖地とはならない。ではなぜ成竜となってからも肉を食べなくなっていくかというと、それは竜術に関係するらしい。らしいっていうのは絶対にそうだという確証がないためだ。それは人間も当のドラゴン達もわかっていない事であるわけで…。
人間の仮説では竜術に起因する身近な事柄の力(つまり赤の力なら太陽、緑の力なら風、黄の力なら静電気)を吸収することで必要なエネルギーを得ているのではないか?とか、でも肉食竜が多い海竜族はどうなんだ?とか、黒の力は体つまり身体の力だからそういうドラゴンが他の生き物を食べるのでは?とか、じゃあどうして体色に黒を持たないドラゴンも生き物を襲って食うんだ?とか、黒を持っていなくてもその力を使うことができるのもいるだろ!とか、真っ黒なドラゴンなのにガッツリ草しか食わないやつもいたぞ!とか…とか…とか…。
『それってそういう会議の話をそのまま順番に行ってるだけだろ?』
『ばれてしもうたか。まぁ詳しい内容を理解しとるわけではないからのぅ。そのまま言った方がわかるやつにはわかるというものじゃ。』
『まぁな。んで?森のことに関しては?』
『んむ。そうさな……。』
森の状態を経験に当てはめるなら、緑の生い茂る山からの湧水がこの森に所々に流れている事からそれだけ栄養豊富な水がこの森を育てているという事。
そのため大小様々な草食獣が多く、中にはガイルが遭遇した岩蹄山羊や森林亀のような小型肉食獣では歯が立たないようなのもいるのでこの森にその類が少ないだろう事。
逆に群れで狩る中型肉食獣や、1対1ならほぼ勝てるような大型肉食獣は通常よりも多くいるだろう事などなど。言い出したら切りがないような予測をさっきの会議の話云々よりも大量に聞かされそうになったガイルは早々に白旗を上げ、寝かしてもらうことにした。
ガイルが寝始めて数十分後、
燃鼬は二竜を見て嘆息する。
(まったく、どうしようかねこいつら。)
しばし考えていたもののゆっくりと二竜近づき……。
不穏な雰囲気ですね~。
さて、ガイルとヘリオスはいったいど~なる!?