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第十一話:帰還(帰宅?)と治療のち就寝(約一名)

半年以上更新出来ずすみません。

次もいつ出来るやら…。

 ようやく見覚えある所まで戻って来たガイル達。背中にちゃっかり乗っている赤毛の(いたち)(現在は緋色)である燃鼬(ねんゆう)に広場で聞き取れなかった言葉を聞いてみたところ…

『ぶっ、くくく…お前さんあれ(・・)を東西南北の事じゃと思ってわしを捕まえようとしたのか?』

『うっ、まさかあんな事ブツブツ言ってるなんて思うかよ!?ったく…』

『くふふ、考えているふりをするとよく、隙ができたと勘違いした奴が出てくるのでな。てきと~な言葉の羅列を言ってみただけの事じゃ。ぶくくく…だがまさか【おさけがきたぞ、なみなみそそごか】と言うただけだったのにのう。くはははは……』

『わ、笑うな!ってか笑いすぎ!振り落とすよ?!』

『のわっ!?わかったわかった、よさんか!ぎゃっ!?ほ、本当に落ちるって!わゎゎ、ちょっ助けっ…』

『ったく…この程度の高さくらい落ちたって平気だろ?もう、早く上がれよ』

 若干頭にきたガイルが体を揺すったため、翼の付け根辺りで爆笑していた燃鼬(ねんゆう)がずり落ちて、懸命に翼にしがみついている。いっそのこと降りろと言わんばかりにガイルは歩みを止めない。しかしどうやら、鱗に爪が引っかからず登れないどころか、落ちないようにするのが精一杯の様で、言葉遣いも老獣のものから通常のものに戻ってしまっている。

『おわっ!待っ、止まっ!ここで落ちたらお前に踏まれるって!体格と体重考えたら踏み潰されるってば!!に゛ゃ゛ぁ゛落ちって助けっ、頼むからっ!!』

 今にも落ちそうになって必死の形相で這い上がろうとしている燃鼬(ねんゆう)に流石にこれ以上はよそうとささやかな復讐をやめ立ち止まる。翼の付け根近くにしがみついているため、ガイルから見て背を向ける格好になっている燃鼬(ねんゆう)に最後の悪戯として首根っこを咥えて引き剥がし、自分の背中に放り投げる。

 えと…まぁ、咥えた時の悲痛な悲鳴は聞かなかった事にしよっと…(汗)この後しばらく震えてて、口きいてくれなくて、ちょっと声掛けたりちら見するだけでビクッとなるし、結局居た堪れなくなってひたすら宥める羽目になったんだけど………。


 燃鼬(ねんゆう)を宥めてやっと洞窟の近くに戻って来た。するとさっきの燃鼬(ねんゆう)より壮絶な悲鳴が聞こえ、慌てて洞窟に入る。中に入ってみればヘリオスが緩慢な動きで大きな蛾を追い払おうとしていて……上手く追い払えず頭に止まられたりして再度悲鳴を上げていた。取り越し苦労に疲れを覚えつつ、ガイルは蛾を捕まえて外に放り投げて逃がす。余程驚いたのか、ヘリオスは少々震えた声音で礼をいうと気だるそうに横になる。しかし、それだけ驚いたのに寝かした場所から動いてはいない。……いや、動けていない(・・・・・・)と言う方が正しい。

『ほう、お前さんの友と言うのはこの子か…。随分と弱っておる様じゃの。』

『ふぇ、誰?どこに…いるの?』

 不思議そうに首をかしげるヘリオスの声に燃鼬(ねんゆう)がひょこっとガイルの頭の上から顔を出す。

『こいつは燃鼬(ねんゆう)っていって結構物知りな(いたち)だよ。こいつを守る代わりに色々教えてもらう約束なんだ。詳しい話はは体力が戻ってからにしよう。そんなんじゃ話してる途中で倒れちまうぞ。』

 ガイルは首を下げて燃鼬(ねんゆう)を地面に下ろしながら後半は明るく茶化すように言う。

『それにしても不思議だのぅ。幼竜で角が折れとるのにまだこれだけ動けるのか。普通なら2、3日も持たずに衰弱し、動けんようになってしまうのに。折れた角で修復されたからかのぅ?』

『そ、そう…なの?あ……でも………』

『よくわかったな。まだその事、話してなかったのに。』

『まぁな、そんなことは良い。とりあえず見せてご覧。あぁそのまま、伏せたままで良い。それほど体力は無かろう?』

『あっ、はい。』

 燃鼬(ねんゆう)はヘリオスに近寄り、首に上っていく。暫し角を見ていたが、『ふむ』と言ってガイルに向き直る。

『なんとなく…じゃが、この子が回復しきれん理由がわかったぞ。』

『?』『ってかなんとなくかよ?』

『まあまあ聞きなさい。ドラゴンは角で力の制御をしとる。じゃから角が折れると制御し切れなくなった力が拡散・放出していまい、生きるのに必要な分さえ無くなり衰弱、さらに弱れば………となる。この子の場合、角の接合部が少々ずれてるのが見えんか?』

 燃鼬(ねんゆう)に手招きされ、折れた角と正常な角を見比べると、なるほど、ずれてる……ってわかるかーーー!!と叫ぶとヘリオスまでビビらせてしまった。燃鼬(ねんゆう)に呆れられ詳しく説明されるとほんの少しだけずれているかなっ?と思うくらいのずれだった。接合部の溶接跡みたいになってる部分手前両端にあった角の凸凹が変に切れてしまった様な部分を見てようやくわかったが……。

 それだけ正常な状態に近かったからこそ、完全回復はしないものの体力が著しく減る事はなかったのではないかと燃鼬(ねんゆう)は言う。つまり、何が言いたいかと言うとこの接合部を再度捻って正常な角度にすれば良いと。そういう事ですか。ふむふむ。

『出来んの?』 『さぁ?』

『さぁ?じゃねぇよ!!』 『まぁ、炎で繋がった様な跡じゃし、また炎で熱して捻ればイケるんじゃね?』

『うわっ、軽っl滅茶苦茶無責任だ!本当に大丈夫かよ?』

『そんな事知らん!仕方あるまい?こんな者を見るのさえ初めてなのだから。やらなくても構わん。成功するかもわからんし、それで直るかさえ不明。挙げ句に下手にいじった事で弱ってしまうかも知れん。今のままでも生きる事は出来る。ただし回復が遅いと言う事は体力消費を抑えるために、何をするにもお前さんに頼らねばならんじゃろうがな。』

『あ、あの~』 『何!』『何じゃ?』

 1竜と1匹(ふたり)が話している途中に割って入ったヘリオスだったが、思考に意識がはまりかけていたガイルが驚いたように大声を上げたので『ひゃん』と変な声を出してしまった。ガイルがそれに謝り先を促すと、

『出来るだけ慎重に戻す事って出来ますか?』 『っちょ!ヘリオス?』

『あぁ、それは勿論やるぞ。何せこれでも多少の力の流れはわかるからな。それを崩さぬように治すことは可能な筈じゃ。しかし、問題はお前さんの腕じゃな。』

『へ!?なんで俺!?』

『なんじゃ?わしの前肢の倍以上もの太さと長さがある角を、わしが支え、捻って、角度が調節出来るとでも思うのか?』

『うぐっ……。ってか威張って言う事じゃねぇだろ!?』

『で?どうするんじゃ?相方はやる気満々そうじゃが…』

 ちらっとヘリオスを見るとこちらの話を気にしてないのか、聞いていないのか、伏せた状態で目をつぶったまま身を堅くしている。

耳蓋(じかい)が閉じてるから聞いてないんだろうなぁ)

 と思いながらも覚悟を決め、

『じゃあ俺はまず何をしたら良いんだ?』

『ふむ、では――――』

 燃鼬(ねんゆう)の言う通りに角の修整準備をしていく。って言ってもただ単に、角を固定するように押さえて持っている前肢(うで)も関節を地面につけて動かないように固定し、ヘリオスに声をかけ(耳蓋(じかい)閉じてるから強引に聞かせたとも言う)出来る限り動かないようにと注意する程度。ついでに耳蓋(じかい)を閉じるな、とも言っておく。行程を話し合いながら緊張を解いて

『ではやるぞ!』 『おうよ』『はい』

 燃鼬(ねんゆう)のかけ声を皮切りに作業が始められる。ガイルは軽く掴んでいたヘリオスの角をしっかりと固定し、ヘリオスも熱による痛みに備える。最後に燃鼬(ねんゆう)が炎を纏って大きく息を吸い、口から炎を角の接合部に吹きあてる。

『うがぅ…』 『!…頑張れよ、ヘリオス!!』

 だんだんと接合部が赤く熱せられていく。その熱気はガイルの前肢(うで)の鱗まで軽く熱していく程。自身の身体を直に熱されているヘリオスはもっと熱い(いたい)筈だと我慢し励ます。接合部が十分全体的に熱されたと判断した燃鼬(ねんゆう)が、ガイルにゆっくり捻るよう指示する。

『よし、そこで止めよ。次はそのまま押し込め!本来の角の断面を合わせるようにするのじゃ。』

 ゴクリと生唾を呑み込んでから力を込めて押し込む。泥を握り潰したかの様な感触と押し出された熔解部分。熱に強い燃鼬(ねんゆう)がその押し出された部分を柔らかい内に角の周りに伸ばしていく。その後一気に熱を奪い冷ます。溶けた部分は他の所より色が濃く焦げたような色合いになってしまったが、あからさまに「接合部です」と言う様には見えなくなった。

『『『はぁぁ………』』』

 と同時に2竜と1匹(さんにん)が安堵のため息を吐き、1竜(ひとり)は痛みと疲労で突っ伏し、1竜(ひとり)は緊張から一転座り込んで脱力し、1匹(ひとり)は『どうだ!やってやったぞ!』と言わんばかりに満足げに後肢で立ち胸を反らす。が、すぐに纏っていた炎が消え失せ、後ろにそっくり返って荒い息を吐いている。

『それにしたって本当に熱を奪うとか出来んのな。』

『当ったり…ゼェ…前じゃ!元々、赤の…ハァ…力は熱制御を得意…フゥ…とする力じゃぞ。いくら獣術(じゅうじゅつ)竜術(りゅうじゅつ)に劣るとは言え……のであって大きな(ちから)は使えないが………だからして…………それで……………』

 仰向けのままぶつぶつと力説して五月蝿い燃鼬(ねんゆう)は放っておいて、力無く突っ伏しているヘリオスにミリャの実2個とルラキフレサの実を20個ほどを半分ずつ一緒に食べる。ある程度お腹に入れたところで疲れと眠気に負けたヘリオスがうつらうつらし始め、十数秒もしない内に寝息を立て始めた。ガイルが布団代わりの葉っぱを掛けてあげたのは言うまでもない。

『とんでもない悪ふざけをしてくれおって…』

『悪かったって、機嫌直してくれよ…。あんなに怯えるなんて思わなかったんだよ。』

『まったく…これでも食われる方がが多い小動物じゃぞ!少しは気を使わんか!』

『でも…怯えた燃鼬(あんた)意外と可愛かったなぁ』

『んなっ!?こっちはそれどころじゃなかったんじゃぞ!!』

『だ、だってさ~…』




ブルブルブル  ちらっ  ビクッ

(…………)

ガタガタガタ 『なぁ?』 ビクビクッ

(…うぅん…まいったな…)

ガタブルガタブル 『燃鼬(ねんゆう)…ごめんよ?あんなことして。』 ビクビクビクッ




『って状態だったし、なんていうか母性本能ってか保護欲を掻き立てられるような感じだったからさ~』

『悪かったの!いつもは可愛くなくて!ふんっ!』

『あっいやそゆこと言いたいんじゃなくて……あぁもう悪かったってば…次から気を付けるからさ~』

『……お前さん、何気に次もやります的な事言っておらんか…?』

『え?何のことでしょう(笑)?』

『!!?』

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