0.エピローグー二人ぼっちのスタジアム―
Then, Nelly started to fret and pout. And to him, I heard her shout.
(Take me out to the ballgame)
「Hey. Japanese girl! Do you love Katou Yuuya ?」
十五対五と負けがほぼ確定した、八回表のドジャースタジアムのレフトスタンドは、閑散としている。
そんな折に、隣のおじさんに、話しかけられた。
私は、左耳のピアスを触りつつ無視を決め込んだ。
ロックな曲を背後に、背番号七十四が一度素振りをしてから、左打席へと向かっている。
「Oh , all Japanese are very shy. But, they love baseball very much. You love baseball too because you are
here. So, you love Katou Yuuya? I love him.」
おじさんは唾を飛ばしながら、猛烈に話しかけてくる。独特な訛も相まってほとんど聞き取ることが出来ない。
頭も禿げ、アメリカ人のイメージ通りのピザとコーラを食べ過ぎた体形だ。そして八月の猛暑日が相まって、猛烈に汗をかいており、体臭が非常にきつい。
しかし、真っ直ぐに背番号七十四を見詰めるキラキラした眼は、すこしだけ、ほんのすこしだけカッコよかった。




