初めての魔法
そんな時、メイドさんが魔法で火を起こすのを俺は見ていたので、大人の真似をして、
見様見真似で魔法を使えるようになるか、試してみることにした。
魔力をイメージして燃えるものを想像する。
体の中を、気のようなものが通っているのを感じる。それが集約されて、形になるような
イメージが浮かんだ。
「燃えよ炎。」
手のひらに暖かい火が灯る。
やった成功だ。おもわずガッツポーズをした。
これは大きな成果だ。女神の恵沢によって、光属性しか使えないのかとも思ったが、違う
らしい。
魔法が使えるというのは自分にとって未知の領域だったが、大人の文言をまねしただけ
で、使えるというのは目標へ進んだと感じていたし、大きな成果だ。
その後は、魔法の予備動作や呪文を考えて動作をつけたり、呪文を詠唱すると火の玉が
大きくなったり、火の玉の色が濃くなったりしたのを発見した。これは後から確認すると
火が黄色からオレンジ色に濃くなると、威力が上がるというものだった。
この日は、嬉しくてなかなか眠れなかった。
6歳になった頃、王都で不正があり、高官が逮捕された事を受けて、父親と俺が話して
いた。
「この時代、自分が行動を始めるとき必ず助けを求めている人がいる。助けるべきだし、
その人たちを支えている、その最たる貴族という存在があり、平民もその考えを持ってい
るということ。これを実現すべきだと思うのだが、どうだろうか。」
「お父さん、教典によれば、人と人が支え合う社会を国が人を配置して、報酬も与えて、
そのような意思や社会の作用を受けて尊べば、仕事の機会に恵まれるという話があって、
その社会は他者を敬い、助け合った者達でできるんだよ。これどう?」
そう聞くと、
「すごいな。6歳で話すとは。まだまだ実現していないし、体裁だけという人も多い。
国の教育や建前を踏まえて施す、と言っても倫理観で物事を判断する人も少ない。
そういう社会がある側面は否定できないが、頑張っていかないといけないね。」
父さんがそう締めくくった.
母さんが、赤ん坊の妹を抱いて手を振っている。
今日は外でお昼を食べた。美味しかった。
「人と人が助け合う社会」、それを先日、国王が経済・社会保障の観点から保障する、
とお触れがあった。
これも国王の上にいるフレイから賜ったらしいが、この国で明文化されて施行されるの
は初めてだ。
今回賜った事は、国が保障している公共事業や定められた労働に値する行動までだ。
ここまでいくと神話通りだな、ここからフレイは悪事を起こして神の力を失い、フレイ
の命は奪われたが、復活して戦死か負傷して終わるはずだ。
この年月をどう生きるか。国民は支えあっていかなくちゃいけない、助け合いが根づい
た国で、そんな支え合いが国を創ったと新しい物語を創るのも良いかもしれない。
そんなことを思った。
この世界では精霊に力を借りて、魔法を使えるようになるのか。
「精霊の力を借りないと魔法が使えないの?」
「そうだな。精霊が力を貸してくれなくても魔法は使えるが、精霊と仲を深めれば、より
強力な魔法を使える。
魔力を高めると強靭な力を持てるが、それも精霊が貸してくださるんだ。
ただし、親しくならないと精霊様は力を貸してくれないぞ。魔力量を高めないと精霊様
が加減してくれなくて、すぐにへばる。」
なんだ、努力しないと魔法もバンバン使えるわけではないのか。
それはがっかりだったが、お父さんは、そんなにたくさんの属性魔法が使えるんだ、と
思った。
俺が、フレイに言ったのは光属性で、聖魔法が使えるとは思うが、勇者が魔物を倒すん
なら光属性だろう、という感じだったのだが、そんなにたくさん使える人がいたのか。
レアスキルという手もあったかとも思ったのだが、良さそうなのが思い浮かばなかった
ので、それで仕方ないと思って考えるのを止めたのだった。
父親は狩りに出かけていた。獲物はボアドッグスで50㎝くらい。
肉が食べられる。喜んで夕ご飯の支度をする。俺には妹がいて3歳になる。
ミルクをあげて、夕ご飯のスープを確認する。隣で母親がよくできました、と褒めた。
こういうのは家族らしくていいな。生前の俺は、まあ手伝わないほうだった。
俺自身、そういう暮らしは大切にしようと思っている。
夕食の後、父さんから話があると言われ、座っていると、
「お前も6歳。15歳からは王都の学校に通わせようと思う。
そこで、本格的な武術と魔法を学んでもらう。王都の学校に行けるように頑張れ。
平民はまんべんなく使えることが求められているから、学術だけでなく武術も学んでい
くんだ。これからは教会に通って、8歳からは、近くの村の学校に通ってもらう。
武術や魔法の適性はあるだろうが、修行して一人前になれるように努力するんだ。」
いきなりの話にびっくりした。15歳から通うのは、ふもとの学校ということではなく
王都の学校に行くということだそうだ。
「お金は送るから学費は心配ないが、贅沢はできないぞ。お前は、言葉の学習はできてい
るようだが、本を読めるようにならないといけない。それに勉強でいい成績を納めるため
に、教会へ行って魔法の勉強をして、魔力の扱い方を学ばなければならない。」
「はい、わかりました。教会って、時々ミサに行っている建物だよね。あそこで勉強する
と、どこまで覚えられるの?」




