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第7話 男の子は忍者志望

「お父さん。この子誰なの?」

 突然現れて突然怒られて、わけわかんないよ。今も、目を吊り上げて睨んでる。

「じゃあ、一からゆっくり話していこうか。この子、沖悠生くんは、忍者になるのを目指して、親元を離れてお父さんに弟子入りしにきたんだ」

「弟子入り!? 親元を離れてって、沖君っていくつなの?」

 歳は私とそう変わらないと思ってたけど、実はずっとお兄さんとか?

「11歳。小五だ」

「同い年じゃん! お父さんやお母さんいなくて平気なの!?」

「江戸時代では、十歳くらいに親から離れて働きに出た子もたくさんいたらしいぞ」

「今は二十一世紀だよ! 令和だよ!」

 沖君はサラッと言うけど、私なら絶対無理。

「お父さんもまだ早いんじゃないかって迷ったけど、沖君の熱意に負けたよ。そこの角を曲がったところに、空き家があっただろ。沖君はそこに住んで、うちに修行しに通うことになる」

「ちょっと待って。お父さん、今朝重大発表があるって言ってたけど、それってこのことだったの?」

 弟子が出来て嬉しいのか、ニコニコ顔で話すお父さん。

 けど、私は色々言いたいことがあるんだけど。

「お父さん、沖君に変なこと言ってない? さっき私のことを、将来忍者を目指してるみたいに言ってたんだけど」

「えっ? えっと……どうだったかな?」

 あっ、これは怪しい。

 今度は、沖君に聞いてみる。

「私のこと、お父さんからなんて聞いてたの?」

「……一流の忍者になるのを目指して、日々修行に励んでるって」

 やっぱり! そうだと思った!

「お父さん! 私、忍者にはならないって言ったじゃない!」

「し、仕方ないじゃないか。今朝初めて聞いたんだから、それにこれから先、やっぱり忍者になりたいって思うかもしれないだろ」

 そんなの理由にならないよ!

 これには、沖君も声をあげる。

「師匠! こいつ、忍者になるどころか、先祖代々の忍者の仕事が途切れてもいいって言ってるんですよ! ダメダメじゃないですか!」

 ダメダメ!?

 そりゃ、忍者になる気はないけどさ。そんなふうに言われたらカチンときちゃう。

「ちょっと。いくら何でもダメダメは酷くない? 私、修行はしっかりやってるんだよ」

「どうだか。忍者になる気がないのも、本当は自信がないからなんじゃないのか?」

 むっか〜っ!

 ここまで言われちゃ、私も黙ってられない。

 忍者になる気がないだけで、実力はあるっての、見せてやろうじゃないの。

「だったら、勝負しようよ!」

「勝負?」

「そう。いつも私とお父さんがやってるみたいに、実際に戦ってみるの。お父さん、いいでしょ!」

 勝って、ダメダメなんて言わせないようにしてやるんだから!

 お父さんは少し迷ったけど、そうだなと頷く。

「わかった。二人とも、忍装束に着替えなさい。その後、道場に集合だ」

 やった! 絶対負けないんだから!

 自分の部屋に行って忍装束に着替えた後、お父さんが言ってた通り、道場に向かう。

 実は私の家は普通に生活するのとは別に、道場として使ってる離れの部屋があるの。

 そこで修行することも多いんだ。

 道場に入ると、同じく忍装束に着替えた沖君がいた。

「家の中で戦うと、部屋の構造を知ってる真昼の方が有利だからな。ここなら、ハンデなしの公平な勝負ができるだろう」

 お父さんがそう言って、私たちを正面に立たせる。

 私も沖君も、自然と戦うための構えをとる。

「負けないんだから」

「俺だって。弟子入りしてすぐにかっこ悪いところ見せるわけにはいかないからな」

 思えば、お父さん以外と修行するなんて初めてだ。

 そう思うと、少しだけ緊張する。

「はじめ!」

 お父さんが、声を張り上げ叫ぶ。

 さあ、勝負開始だ!


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