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 登り窯オーブンで焼いた鳥は高火力の短時間で焼き上げたおかげか、めっちゃ美味かった。

 皮はパリパリに、肉はしっとりと焼き上がっていた。

 この鳥の肉は鶏と比べると肉の繊維が細かく、密度が高い感じがする。

 旨味も強い。

 おすすめできる。


 しかし正直、見た目は良くない。

 身の表面が黒というか赤黒い灰色なのだ。


「コレは何ていう鳥なんです?」

「こっちはムクドリじゃ」

「これはヒヨドリじゃな」


 二種類居たのか。

 全然分からん。


「嘴が黄色くて顔が白い方がムクドリ」

「全体が濃い灰色で顔が可愛いのがヒヨドリじゃ」


 羽をむしって頭を落とす前に聞けばよかった。


「何にせよ美味いですね」

「そうじゃろう?」

「小さくてすばしっこいから捕獲が難しいんじゃ」


 雀なんかよりはずっと大きいが鳩よりは全然小さいもんな。


「若いモンは骨ごと食うぞ」

「歯が丈夫ならやってみい」


 ちょうど手羽の部分が食べにくいと思っていたので骨ごと噛み砕いてみる。

 

 うーん。

 食べれるけどせっかくの肉の味が薄まる感じがする。

 ボリボリした歯応えも余計な感じ。


「どうじゃ?」

「意外とイケるじゃろ?」

「悪くないですけど肉だけ食べる方が味はいいですね」

「若いのにグルメじゃな」

「酒も好きじゃし、おっさんみたいじゃな」


 悪かったな。

 おっさんなんだよ。


「今頃が旬なんですか?」

「いや、冬の方が脂が乗って美味い」

「しかし秋にはこの辺りでは見かけなくなるので残念じゃ」


 渡り鳥だったのか。

 冬は南に行くならポリオリでも獲れそうだな。

 捕り方を聞いておこう。


「ちなみに魔術でどうやって捕まえるんです?」

「精霊をスパンと飛ばしてバン! じゃよ」

「そうじゃ。ピュッとやってバンじゃ」


 ええと、、、


「こういう感じですか?」


 俺は手近な適当な木の幹に衝撃波をイメージして攻撃を飛ばしてみる。


「全然遅い! もっとスパッとじゃ」

「ピッと飛ばせ!」


 やり直す。


「ダメダメ。形状を考えろ!」

「空力を知らんのか?」


 なるほど。

 精霊に実態がある以上空気抵抗があるのか。

 弾丸をイメージして再挑戦。


「ちったあ良くなったが、まだまだだな」

「そんな近くまで鳥は寄らせてくれんぞ?」


 そっか。

 鳥が危険を感じない距離から仕留めなきゃいけないのか。

 じゃあスナイパーライフルのイメージかな。


「ダメじゃ。そんなに魔力を出して力んでは勘づかれて逃げられるぞ」

「もっと少ない魔力でシュッとやるんじゃ」


 え、意外と難しい。

 なら、さっき見た弓矢のイメージだろうか?


「ダメじゃ。遅いし軌道がフラフラじゃ」

「貴様の放つ矢はそんななのか?」

「えーとあの、弓矢を撃ったことがないんですけど。そのせいですかね?」


 ふたりは少し口籠った。


「お主、アカデミーに合格したのじゃろ?」

「ならばそれなりに研鑽してきたのじゃろ?」

「剣術と馬で手一杯で、それしか、、、」


 ふたりは少しの間呆気にとられ、それが終わると手を叩いて笑った。


「コイツ意外と抜けておるの!」

「やはりポンコツじゃな!」


 酷い言われようだな。

 これでも必死なんだぞ?


「ちょっと引いてみい」

「こっちの方が軽いからワシのを引いてみい」

「弓矢の練習するにはもう暗くないですか?」

「今日は引くだけじゃ」

「立て」


 立たされて弓を渡される。


「引くだけじゃ。指を離すなよ?」

「引いて、そのままゆっくり戻すんじゃ」


 左手でハンドルを持ち、右手の指を弦にかけて引っぱる。

 え、固い!

 固いし、弦が指にめり込んで痛い!

 十センチも引けただろうか?

 俺はそのまま手を戻した。


 ふたりは満足そうにきゃっきゃと笑った。


「やはりコイツ弱いの!」

「へなちょこじゃ!」


 なんだか恥ずかしい。

 これでも剣術の稽古で身体を酷使して来たつもりなんだけどな。

 手に豆とか出来てるし。


「しかしまあ、生まれてまだ十年ならそんなもんか」

「ワシらと比べては酷じゃな」


 十歳ってことにされてしまった。

 まあ自分の年齢の端数を忘れるくらいだからな。

 二〜三年の違いは違いじゃないのかも。


「何かコツでもあるんですか?」

「まずはタブ。あとは筋力じゃな」

「タブ?」

「ワシのを貸してやる。指にはめるんじゃ」

「そうそう。タブの皮を弦に巻きつけるようにして薬指を含む三本指で引くんじゃ」

「あ、違う。肘を上げるようにして引き手は顔に向かって引くんじゃ」

「左の肘は伸ばし切って、肘の腹を横に向けろ」

「そうじゃ、そこまででいい。ゆっくり戻せ」

「よし、さっきよりは引けたな」


 今度は二十センチほど引けただろうか。

 指が痛くないのはありがたいな。


「お主は本当にドシロウトじゃな。弓の稽古の見学もしてこなかったのか?」

「ええ。なにしろ剣と馬でいっぱいいっぱいで」

「よくそれで王族の付き人なぞ許されたな」

「サナ語の辞書を書いたり歴史の勉強をしたりとか割と忙しかったんですよね」


 年嵩のゲオルグが首を傾げた。


「お主、リサに拾われて何年と言ったかの?」

「ええと、、、八ヶ月ですかね?」


 それを聞いてふたりはカラカラと笑った。


「ならば仕方あるまい」

「馬鹿にして悪かったの」


 口にしてみて自分でも驚いた。

 異世界で随分長く過ごしてきた気がするが、まだ一年も経ってなかったのか。


「もっと軽いリムが村にあるはずじゃ」

「では明日からは魔術の特訓で魔力が切れたら弓を引くトレーニングに決まりじゃな」

「アカデミーでも弓は習うがアレでは一生使い物にならん」

「空に向けて放って雨のように降らせるだけじゃからな」


 ああ、映画やアニメでみたことある。

 当たれば御の字くらいの攻撃だよな。

 いや、俺はあの中を駆け抜けるのは無理だよ?

 多分だけど俺には当たる気がする。


いつもお読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
アームガードやチェストガードがあれば完全にアーチェリーですね。ファンタジーじゃなくて現実に生きようとしている感じがして良いです。
何にも知らない主人公だと、新しい物が何にも生まれないのでつまんないですね、 コンパウンドボゥやクロスボゥなんて直ぐに思い付きそうなんですがねぇ 無双させろなんて言う気は無いですが、我慢意外取り柄無いの…
修行編楽しい
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