5年前の宝物
「なぁ、詰んでねぇか?おら達の人生」
与作は、手にしたジャガイモを見つめながら、隣に座った親友の諭吉に声を掛けた。
「毎日おいら達は芋ばっかり作っててよ、領主様に納める税は高えしよぉ」
「だなぁ」
諭吉も同意する。
「最近、娘の幸恵が冒険者になるとか言い出してよぉ」
「止めとけ、冒険者なんて早死にするだけだべぇ」
荷台の上で二人が世間話をしていると、畑の方から健次郎が叫びながらこちらへ向かって走って来た。
「た、大変だぺぇ!」
両膝に手を当て、息を切らす健次郎。
慌てた様子で顔を上げ、叫んだ
「おらの畑から、宝箱が出てきたっ!」
「そ、そりゃ本当の話だべか!」
「冗談で言える訳ねえべ!」
健次郎は二人を自分の畑へ案内した。
「ほ、本当だべ」
土の上に置かれた、綺麗に装飾された小さな木の箱を前に、三人はどうしたものかと狼狽える。
「取り敢えず開けてみるべ!」
「そうだな」
鍵はかかってない。
ゆっくりと宝箱を開く。
「な、何だべ!」
そこには怪しげな地図が書かれた一枚の紙が入っていた。
「こりゃ!宝の地図だべ!」
ゴクリとつばを呑む。
「皆には内緒だ、今度の休みに三人で見に行くべ」
コクリと三人は頷いた。
「こ、ここか?」
地図に書かれた場所はすぐに見つかった。
周りに目立った物はなく、一本の大木があるだけ。
「あの木の根元にあるみたいだな」
三人は興奮した口調で言った。
ん?と与作は首を傾げた。
何だか見覚えのある木だべなぁ。
三人ははやる気持ちを抑え、大木の根元を掘り始めた。
すると間もなく、また小さな箱が出てきた。
「つ、ついに見つけたべ。た、宝だべ!」
「早く開けるべ!」
鍵は掛かっていない。
宝箱を開く。
そこには、また数枚の紙切れが入っていた。
「また地図たべか?」
ドキドキしながらそれを開くと、それは手紙のようだった
『お父さん大好き、結婚してね幸恵』
手紙の内容は同じ様なものばかり。
「与作、これはどう言う事だべ」
与作の目が泳いでいる。
小声で与作は答えた。
「・・・たいむかぶせる・・・かな?」
今思い出した。
五年前に娘と埋めたタイムカプセルだ。
「おい与作」
二人の目が怖い。
与作は立ち上がり、二人に背を向けて片手をあげる。
「すまん」
その一言を残し、走り去る与作の後ろ姿に二人は叫んだ。
「よさくうぅ、人んちの畑に何埋めてんだー!」




