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ぼくらの暮らしは前途多難!?  作者: 波夜彩月
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軽音楽部の朝練

皆さんおはようございます……でいいのかな。

出雲弥音です。

先程はみっともないところをお見せしてしまいごめんなさい。

他人と話すときはコミュ症発動してまともに会話出来ないんですけど、今朝充と話していたアレが私の素です。恥ずかしい……

私は今カバンを抱えてダッシュで学校まで向かっています。

理由は単純で遅刻しそうだから。

朝の練習が7時30分から始まるのに対し、家を出たのが7時ちょい前。

歩いて向かうと20分くらいで着くけど楽器の準備を考えると練習開始に間に合わない。

今まで走って向かうことが無かったからどのくらいで着くのかわからない。

でも、走るしかないこの状況は私にとって過酷だ。

幸いなことに軽音だからある程度体力は使う。

日頃から体力作りをしていて良かったと思う。

そんなこんなで信号にもいくつか捕まりながらやっとのこさで着いたら7時17分。

今から部室に行って準備をしたらもう開始だ。

少し余裕ができたと思いながら校門を歩いてくぐり、昇降口に入ろうとしたら部室の方から音が聞こえてきた。

ギターにベース、キーボードの音が。

焦りを感じ始め、歩いていた足は回転数が早くなり、気づけばまた走っていた。

急いで上履きに履き替え、階段を駆け上がる。

部室があるのは4階の階段上ってすぐ右側。

ドアを思い切り開き、バンっという音が鳴ると共に


「おはよう!」


と挨拶する。

皆が一斉にこちらに振り返り、またかこいつというような目を向けてきた。

私に対して失礼すぎないかこの人ら。

でも仕方ないか。これまで何回も遅刻をしていれば。

一応時間前には着いたから、急いでドラムをセットとする。

今日は入学式があり、吹奏楽部との合同での演奏になる。

吹部は全員参加だが、軽音はギター・ベース・ドラム・キーボードから各一人のみで、私が選ばれた。

最初は歌わなくてラッキー☆程度だったけど、空木君がシェアハウス(うち)に来てから意識が変わった。

人と会話するのが苦手だから、空木君には迷惑をかけているし、申し訳ない気持ちもある。

だから、せめて入学式でいい演奏を届けたい。

………校歌だけど。

準備が終わり音出しもして時間になった。

一先ず軽音だけで合わせをし、問題が無かったので体育館に移動。

春休みのうちに練習で体育館にもう一台ドラムセットを用意してあるので、私はバチだけ持って移動というなんと楽なものなんだろうか。

音楽室から体育館へ移動している時、私たち以外の音が聞こえない。

正確には私たち軽音と吹奏楽以外の音が聞こえない。

やっぱ入学式だからか、どの部活も今日は無いみたいだ。

音がないというのは、少し寂しいものだな。

そんな事を考えているうちに体育館に着き、中に入ると既に吹部はスタンバっていた。

多分吹部も練習をしていたのだろう。

私たちがいるのを確認すると、部長らしき人が「起立」と声をかけ、一斉に立ち上がりこちらを向いてきた。

皆の目線が、こっちに………

怖い。皆の目が怖い。

恐怖を感じた私は部員の背中に隠れる。

名前の知らない人だけど、なぜか私のこれは軽音の部員全員知っているため、私以外の三人は苦笑していた。

うぅ……恥ずかしい……

吹部の方々は戸惑っていたが、部長らしき人は「気をつけ、礼」と号令をかけ、皆で「よろしくお願いします!」と言ってきたので、私以外の三人も「よろしくお願いします!」と言っていた。

一応ちゃんと私も言った。小さい声で。


私たちの準備も終わり、吹部と同時に音出しももう一回して指揮者が来るのを待った。

本来吹部はドラムが指揮者の役割を果たすが、今回は吹部と合同なため、指揮者が着いてくれる。

音楽の先生は私たち軽音の顧問であるため、多分だけど違う。

吹部には別の先生が顧問だから、どんな人なんだろう。

気になったのでチラッと入口の方を見たら、うちのクラスの担任が入ってきた。

(なんで先生が?)

そんな疑問を持つと、ドラムを叩いていた手が止まり思考を巡らす。

どれだけ考えてもわからず先生に聞いてみようと思い立ち上がろうとした瞬間、吹部の部長が「起立」と声を上げたので勢いで立ってしまう。

もう訳も分からず号令の声を聞いてその場の空気に合わせて動いて座った瞬間にわかった。

先生が皆の前に立って指揮棒を持っている。


「おはようございます。今日は軽音楽部との合同なので気を引き締めて臨むようにしてください」


先生がそう言うやいなや、吹部の人たちは一斉に元気よく「はいッ!」と返事をした。

その声を聞いた先生は私たちに向かって


「軽音楽部の皆さんも今日はよろしくお願いします」


と言ってきたので私たちも「はい!」と応えた。

応えないといけない。少しでも、空木君に演奏が届くように……!

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