長期ミッションその後
ミッションが終わりナツキに声をかける。
「ワープストーンを使えばすぐに家に帰れるけど使うか?」
ナツキは少し考える。
「みんなと馬車で帰ろうかしら。なんか旅行みたいで楽しいし。」
「そうか、それなら俺もそうする。」
帰りの馬車は部隊を構成する必要がなく、好きな馬車に乗って帰れるようだ。
自分はナツキに声をかける。
「帰りの馬車はどうする?行きのメンバーの馬車に乗るのか?」
「うーん、キッドの所ってたしかサバトさん居たわよね?それならそっちの方が良いわ。」
自分はサバトさんを探す。
少し離れた所にサバトが居るのを確認出来たので声をかける。
「おーい、サバトさーん」
サバトがこちらに気付き、話しかけてくる。
「キッド君か、どうしたんだい?」
「帰りの馬車一緒に乗りませんか?ナツキも居ますが。」
「それならこっちもアミンが居るけど良いかな?」
「あ、こちらは平気ですよ。」
「それなら一緒の馬車で帰ろうか。」
今気づいたが帰りの馬車に乗るメンバーを自分達で探すなんて、孤立する人絶対出るよな。と思いつつ馬車を探す。
馬車を発見し、4人で乗り込む。
するとバルギットが走ってくる。
バルギットは自分達の乗り込んだ馬車に乗り込み口をひらく。
「探したよ、この馬車ご一緒しても良いかな?」
自分が口をひらく。
「あ、まあ、みんなが良ければ。お父様は良いんですか?」
バルギットが口をひらく。
「別に帰りまで身内と一緒じゃなくてもいいよ。皆さんが良ければご一緒しても?」
みんなは特に賛成でも反対でも無いと言った態度だ。
サバトが口をひらく。
「こちらは大丈夫そうですが。逆にバルギットさんは良いんですか?」
バルギットが口をひらく。
「それならご一緒させて貰おう。」
自分はバルギットに話しかける。
「探してたってナツキの事ですか?」
バルギットは自分を見つめ、話しかけてくる。
「いや、キッドくんだよ。」
自分はびっくりしてバルギットに質問をする。
「何かありましたっけ?わざわざ精鋭部隊様が。」
バルギットは馬車の床に座り込み話しかけてくる。
「父から聞いたよ。」
馬車が出発する。
バルギットは続けて話しかけてくる。
「キッド君はキングオークが現れた絶望的な状況で、村民を避難させることを考えたそうだね。」
自分は身構えて口をひらく。
「何かお父様の怒りに触れましたか?」
バルギットが口をひらく。
「いや、逆だ。あの状況なら正しい判断だったと誉めていたよ。」
自分はほっとする。
バルギットが続けて口をひらく。
「単刀直入に聞こう。危機的状況で適切な対処方法を思いつくなんて君は何者だい?」
自分は緊張しながらバルギットに話しかける。
「普通の一般人です。」
バルギットが目を大きくして声をかけてくる。
「嘘だ。君は何か隠している。」
自分は沈黙する。
バルギットが続けて話しかけてくる。
「普通の小隊長は指揮官の指示に従うはずだ。それを覆して指揮官に指示を仰ぐ事が出来るなんて相当の手慣れだ。君の年齢でそれを出来る人を僕は見たことが無い。もう一度聞こう。君は何者だい?」
それを聞いてか、サバトが口をひらく。
「キッド君は魔法軍の小隊長以上では珍しく戦闘が出来ない。だが、戦術やそれらの知識は長けている。それを評価して、小隊長に推薦をしている。年齢は若いかもしれないが、ナツキのような若くても戦闘能力が高いものがいる。戦術に長けた若者がいることが珍しいのか?」
サバトは庇ってくれたのだろうか。
第三者目線で話をしてくれるとだいぶ助かる。
バルギットが落ち着いた表情で口をひらく。
「悪かった、実は自分もキッド君くらいの年齢から戦闘では注目されていたんだよ。それと同じく戦術で長けている少年がいても確かにおかしく無いかもな。何て言うかな、同族嫌悪ってやつかな。個人的にキッド君が気になったんだよ。」
ナツキが口をひらく。
「そうよ、キッドは戦闘はダメダメだけどそれ以外の事が色々
出来るの。まあ、出会いは不思議だったから特殊な子ではあるけど。」
バルギットが口をひらく。
「特殊な子とは?」
ナツキも余計な事を言ってくれた。
自分は仕方ないと思いながら正直に異世界転生の話をしようと思った時にナツキが続けて口をひらく。
「キッドは捨て子なのよ、詳しくは分からないけど、急に私達の村に現れて、親の事を知らないって言ってたからきっとそうよ。」
バルギットが口をひらく。
「捨て子か、まあ、事情が有りそうだね。色々気になる事はあるが、深く聞くのは止めにしようか。あまり詮索しすぎて嫌われたく無いしね。」
今回も周りの人が会話してくれて、それほど自分の事を深く聞かれず助かった。
そして何日か馬車に揺られ、それなりにみんなも仲良くなった。
ナツキとアミンが会話をしている。
「へー!アミンさん定期的に髪の毛のケアしてるんですね。どうりで艶がありますよね!」
「ナツキちゃんもまだまだ若いから艶あるじゃない。そのうちケアしないとすぐにパサパサになるわよ。」
「そういえば最近出来たバフェのお店行きました?気になってるんですよねー。」
「道具屋の通りの店よね、まだ行ってないのよね。」
「今度一緒に行きますか?」
「良いわね、是非行きたいわ。」
「そういえば……」
女子トークに花が咲く。
二人で小一時間おしゃべりしている。
それにしても会話がよく続く。
化粧、飲食店、洋服、食べ物、その他他愛ない話をしている。
男連中はと言うと、サバトは昼寝、バルギットは馬車の窓から景色を眺めており、自分はなんとなく女性陣の会話を聞いている。
ナツキが声をかけてくる。
「ねえ、今度キッドもアミンさん含めて買い物いかない?」
「え?別にいいけど俺行ってもいいの?」
「今さら何よ、いつも一緒に行動してるじゃない。」
アミンが口をひらく。
「お二人は本当に仲が良いのね?本当にただのお友達?」
ナツキが口をひらく。
「ただの友達よ。まあ、それより仲は良いかもしれないけど、アミンさんが考えてる関係じゃないわよ。」
アミンがニヤニヤしながら口をひらく。
「一緒に住んでるのに?男女が一緒の家に住んでたらねぇ。」
アミンは大人しいイメージがあったが、ある程度打ち解けると普通の女の子だ。
自分たちが一緒に住んでると知ってからずいぶん話しに食いついてくる。
アミンが口をひらく。
「まだ十代だからお友達っての言えるかもしれないけど、二十代になったら気持ち変わるかもよ。男女って些細なきっかけで良くもなるし悪くもなるわよ。」
何か経験してきたかのような発言だ。
ナツキが口をひらく。
「そんなものなのかなぁー、まぁ結婚とかは憧れるけど、男女の関係がよくわからないのよねー」
アミンが口をひらく。
「そのうち分かるわよ。ナツキちゃん可愛いし、自然と男の人寄ってくるわよ。」
ナツキが口をひらく。
「そうかなー?ミッションばっかりやってるからどうかなぁー?」
「ミッションやってたって男の人はいるでしょ?出会いあるわよ。」
「でも、私、バリバリ戦闘しちゃうからさ、可愛いくは無いと思う。」
「いやいや、それが魅力的だって思う人が居るかもしれないじゃない。」
「そうかなー、声かけられても戦闘の話しばかりよ。」
女子二人が話し出したら止まらない。
もうこうなったら話しに入る隙がない。
なんだかんだで赤ノ国にデルウェア市に帰還する。
それぞれ別れの挨拶をする。
バルギットが口をひらく。
「みんなお疲れ様。帰ってゆっくり休むんだよ。」
自分も口をひらく。
「今回は良い経験ができました。また機会があればよろしくお願いします。」
サバトが口をひらく。
「帰りは女性陣の会話盛り上がってたな。」
ナツキとアミンは仲良く話をしている。
ナツキがアミンに話しかける。
「じゃあ、○✕月○✕日に遊びましょう!」
アミンが返事をする。
「ええ、楽しみにしてるわ。」
遊びの約束をとりつけたらしい。
そしてナツキの家に帰る。
ナツキが口をひらく。
「いやー、アミンさんとおしゃべりたくさん出来て楽しかったな。」
「ずっと楽しそうにしてたからな。仲良くなれて良かったじゃないか。」
「あんたも仲良くなったじゃない。他人事みたいに言わないでよ。」
「そうか?二人ほどじゃないよ。」
そして月日が流れ、ナツキとアミンが遊ぶ日になった。
合流は洋服屋の前だ。
自分とナツキが洋服屋の前で待機しているとお洒落な姿をしたアミンが現れる。
アミンの格好はポニーテールだった髪の毛を下ろし、赤色のゆるふわパーマ。服装は白のカーディガンに黒のスカートを履いている。
ずいぶんと印象が違う。
ナツキが声をかける。
「アミンさん可愛い!パーマすごく似合いますね!服装もお洒落!」
アミンがニコニコしながら口をひらく。
「今日、ここにくる前に髪の毛セットしてもらったの。せっかくのお出かけだから気合い入っちゃった。」
ナツキとアミンが店先でおしゃべりをする。
10分くらい経過しただろうか。
ようやく洋服屋に入る。
ナツキが声をかけてくる。
「ねえねえ、こっちとこっち、どっちが良いと思う?」
「うーん、どっちも可愛いんじゃない?」
「だからどっちが良いって聞いてるの!わかる?」
怒られた。
どっちも可愛いは禁句だろうか。
ナツキとアミンが洋服屋を回る。
自分もそれとなくついていくが洋服にあまり興味がない。
非常に暇だ。
次はアミンが声をかけてくる。
「キッドくん。この服どうかな?」
「えーと、大人しい感じで良いと思いますけど。」
「でも生地が好みじゃないのよね。やめるわ。」
聞いた意味があったのだろうか。自分の意見と関係の無い事で却下された。
その後も洋服屋を回る。
どれだけ時間が経っただろうか。
一つの洋服屋に1時間半は居る。
自分は店の椅子に座って目を閉じていた。
ようやく買い物が終わる。
買い物の時間の割にはナツキの買った服が少ない。
そこでナツキに声をかける。
「ずいぶんいた割にそんな買ってないんだな。2着か。」
ナツキが返事をする。
「いやー、見てるのが楽しくてね。こんなもんよ。」
次は雑貨屋に向かう。
自分は完全に荷物持ちになっていた。
雑貨屋に入りナツキが口をひらく。
「ルームフレグランスあるわ!テスターはこれかな?」
ナツキがアミンに声をかける。
「アミンさんはどんな匂いが好みですか?私は柑橘系好きなんですよね。」
「そうねー、石鹸の匂いとかそんなに強い匂いじゃなければ良いかな。」
「アミンさん!あっちにアクセサリーあるわ!」
自分は蚊帳の外だ。
実に楽しそうだ。
そんな中自分はびっくり箱のオモチャをいじっていた。
ナツキがイヤリングを見ている。
ナツキが声をかけてくる。
「キッドはどっちが良い?」
そのイヤリングを見る。
違いがわからない。
しいていえば宝石の大きさがほんの少しだけ違うようだ。
自分は返事をする。
「うーん、こっち?」
ナツキがまったく違うイヤリングを選ぶ。
「これ可愛い!こっちにするわ。」
だから聞いた意味。
自分は女性陣、主にナツキに振り回される。
アミンが声をかけてくる。
「ねえ、キッド君、ナツキちゃんにちょっとしたプレゼント買ってあげたら?」
「いや、そう言う関係じゃないんで。」
「一緒に住んでる関係でしょ?別に何もなくてもプレゼントもらったら嬉しいものよ。」
「だから、そんなんじゃないですよ。」
「じゃあ、どんな関係?」
「なんというか娘みたいな感じですかね。」
「年、離れてないでしょ?不思議な例えね。」
雑貨屋でも2時間ほど商品を見て回ったようだ。
結局、ナツキへのプレゼントは買ってない。
気分はまさに休日に娘たちに連れまわされるお父さんの気分だ。
次は新しく出来たと言われるパフェ屋さんへ向かう。
ナツキが注文をする。
「スペシャルフルーツパフェで!」
アミンが注文をする。
「ショコラパフェを。」
自分はブラックコーヒーを注文する。
ナツキが声をかけてくる。
「せっかくだからパフェ頼めば良いのに。」
「いや、そんな気分じゃ無くてな。」
自分は買い物に付き合わされてヘトヘトだ。
正直、食欲も無い。
パフェを食べながら女子トークが始まる。
ナツキが口をひらく。
「アミンさん、その洋服どこで買ったんですか?」
「これはね、○○ってブランドでね。少し高いんだけどデザインが良いのよね。」
「なんかお洒落過ぎて私には似合わなそう。」
「そんな事無いわよ。そんな派手じゃないから合わせやすいわよ。」
まあ、ナツキもナチュラル村に居たときから比べたらお洒落になっている。
ナツキは元が可愛い。
服装で充分なほど化ける。
最後にまた洋服屋に寄る。
一度回っているのだからよいのではないかと思いながらお店に入る。
アミンが口をひらく。
「このお店はシンプルで安い服が多そうね。」
ナツキがアミンに話しかける。
「好みに合わなかったですか?」
「いや、普段着も見たいからありがたいわ。」
「この店、よく来るんですよ。時々掘り出し物もあるし。」
自分は早々にフェードアウトだ。
だが、この店の服はシンプルで良いかもしれない。
自分用の洋服を見て回る事にした。
ワイシャツを見つける。
サラリーマンをしてた時は週のほとんどをワイシャツで過ごしていたせいか、必要の無い今でもついついチェックしてしまう。
プリントTシャツを見つける。
色々な種類がある。
あまり派手ではなくシンプルで着こなせそうなTシャツを手に取る。
しかし、ナツキとアミンの荷物を持っている。
自分は店内を周りカートを探す。
カートを見つけたところでナツキに声をかけられる。
「ちょうど良い所に!これとこれ、どっちが良い?」
お決まりの質問だ。
自分は洋服をよく見て答える。
右はくまさんがワンポイントに入っている。
左はシンプルな水色の服だ。
自分はシンプルな水色の服を指差す。
「こっちかな?」
ナツキが返事をする。
「わかった!ありがとう!」
自分も何着か服を買って、二人と合流し店を出る。
二人は店先で会話をしている。
アミンがナツキに話しかけている。
「この店の服、安くて良かったわ。普段着で着れそうな服も買えたし良かったわ。」
「それは良かった。私もセール品見つけてさ、ついつい買っちゃったー!」
それから店先で10分ほどだろうか、また立ち話をしている。
そして、解散してナツキの家に帰宅する。
ナツキが買った洋服を広げる。
そこには、自分にどっちが良いか聞いたくまさんワンポイントの服と、水色の服、両方がある。
ナツキに声をかける。
「あれ?結局両方買ったの?」
「なんか、見てるうちに欲しくなっちゃって。」
まあ、買い物なんてこんなものだろう。
そして月日が流れ、1年に1度、ナチュラル村へ集まる日になる。




