闘技大会
自分とナツキは闘技場へ向かう。
申し込みはすでに終わっており、自分がセコンドで付く事も登録済みだ。
闘技場に到着した。
リングは4つ程あり、どれも正方形をしておりリングは石造り。リングの端には柵が設置されており、場外に飛び出しにくい構造になっている。
ルールは戦闘を行い、ダウンするか、場外へリングアウトすると敗北だ。
5分経過して決着がつかなければ審判により優勢と判断された選手の勝利。
武器の持ち込みも小型から中型なら認められている。
医療部隊の配備も万全の状態である。
早速ナツキの1回戦が始まる。
ナツキに声をかける。
「よし、一発かましてこい!」
「任せて!この日のために高めて来たから自信はあるわ。」
1回戦の相手は屈強そうなドワーフだ。
手には斧を持っており、見るからに強そうだ。
試合開始のベルが鳴る。
開始早々ナツキが相手の胴体に前蹴りを繰り出す。
相手は防御できず吹き飛び倒れ込む。
審判によるカウントが始まる。
「10、9、8、………3、2、1!」
試合終了のベルが鳴る。
会場がどよめく。
一瞬にして勝利した。
試合終了後のナツキに声をかける。
「一瞬だったな。」
「そうね、見かけ倒しだったわね。」
まあ、ナツキの女子高生のような見た目から屈強な男が吹き飛ぶ蹴りが繰り出されるとは思わないだろう。
ナツキが負ける姿が想像出来ない。
少し時間が空き、2回戦が始まろうとしている。
対戦相手はサバトだ。
中隊長対決だ。
ナツキに声をかける。
「相手はサバトさんだけど自信あるか?」
「戦った事が無いから分からないわ。」
サバトが声をかけてくる。
「ナツキちゃん、悪いけど全力で行かせてもらうからね。」
ナツキが返事をする。
「こちらこそ。負けないですよ。」
2回戦開始のベルが鳴る。
ナツキとサバトが同時に炎の魔法を繰り出す。
その炎はナツキとサバトの中心で大きく燃え上がる。
そして先に動いたのはナツキだ。
右方向からサバトに向かって飛び蹴りを繰り出す。
サバトがとっさに防御するがキックが重いのだろう。
サバトが真横に吹き飛ばされる。
ナツキはすかさずパンチで追い討ちをかける。
サバトは防御しきれずまともに顔面にパンチを食らう。
サバトが地面に倒れ込む。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3」
サバトが起き上がる。
サバトの両手には魔法だろう。
赤い大きな玉のようなものが浮き出ている。
ナツキが距離を取る。
サバトが玉のような物を両手でつきだしナツキに攻撃をしかける。
ナツキがジャンプでその攻撃を避ける。
そしてナツキが空中からサバトに向かって蹴りを繰り出す。
サバトは腕をクロスし防御体勢を取る。
ナツキはそのまま防御体勢を取ったサバトに空中から襲いかかる。
サバトは攻撃を受けるが、防御体勢を取ったまま後方に吹き飛ばされ、柵に激突する。
ナツキが追い討ちをかけるように腕をサバトの方向に伸ばし、炎の魔法を繰り出す。
サバトは防御しきれずまともに炎を食らう。
そしてサバトがダウンする。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3、2、1」
試合終了のベルが鳴る。
2回戦もナツキの勝利だ。
危なげなく同じ中隊長のサバトを撃破した。
自分はナツキに声をかける。
「やったな!結構一方的じゃないか。」
ナツキがピースサインを出して話しかけてくる。
「私、強いでしょ?」
サバトもナツキの攻撃に反応はしていたがナツキの攻撃力が高すぎるのだろう。
防御の上からねじ伏せた印象だ。
3回戦まで待機する。
待機所に戻り、しばらくすると扉がノックされる。
自分は扉を開ける。
そこには治療が終わったのだろう、サバトが立っていた。
サバトがナツキに向かって声をかける。
「いやー、やっぱり強いね。防御すらまともにさせてくれなくてビックリしたよ。」
ナツキがにこやかに答える。
「鍛えてるからね。痛くしてごめんなさいね。」
サバトが笑いながら答える。
「はは、試合だから謝らなくていいんだよ。ところで3回戦の相手はイガルト隊長だよ。僕なんかよりもずっと強い。頑張るんだよ。」
ついに隊長クラスと戦うらしい。
そして間もなく3回戦が始まる。
イガルト隊長はいかにもイケおじで、ふさふさの髭を蓄えている。
武器は見当たらない。
肉体派なのだろうか。
3回戦開始のベルが鳴る。
先にナツキが仕掛ける。
ナツキはイガルト隊長に向かって飛び蹴りを繰り出す。
イガルト隊長は手に防御魔法らしき物をまといナツキの飛び蹴りを弾き飛ばす。
ナツキが少し体勢を崩す。
イガルト隊長は地面を這うような魔法を繰り出す。
その魔法は黄色く光り、ナツキの足にヒットする。
ナツキは立ったまま動けなくなっている。
イガルト隊長は右手を高くあげ、その手には大きな炎が浮かび上がる。
ナツキは依然として動かない。
イガルト隊長はその大きな炎をナツキに向かって放つ。
ナツキが動けるようになったようだ。
間一髪で大きな炎を避ける。
しかし、イガルト隊長の放った大きな炎が枝分かれしてナツキを襲う。
ナツキの脇腹に炎が衝突する。
ナツキはとっさに転がり炎を消す。
イガルト隊長が転がっているナツキに蹴りを繰り出す。
ナツキが攻撃を受け宙に浮かぶ。
イガルト隊長は宙に浮いたナツキを叩き落とすように両手で拳を作り振り下ろす。
ナツキはその攻撃を受け、まともに叩きつけられる。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3」
ナツキが立ち上がる。
しかしだいぶフラついている。
イガルト隊長の攻撃は緩まない。
何本もの炎のスジがナツキを襲う。
ナツキはその炎の間をすり抜け、イガルト隊長に接近する。
ナツキがイガルト隊長に向かって下からアッパーを繰り出す。
しかしかわされる。
イガルト隊長はカウンターパンチを繰り出す。
ナツキはそれを受け流し、身体をひねり、イガルト隊長に回し蹴りを繰り出す。
イガルト隊長にまともにヒットする。
イガルト隊長は地面に倒れ込むが、すぐに立ち上がる。
ナツキがイガルト隊長に向かって突進する。
イガルト隊長はそれを受けきる。
イガルト隊長はナツキと距離を取る。
しかし、ナツキは距離を取らせないとばかりに連撃を繰り出す。
その連撃は空を切る。
しかし、その連撃のせいかイガルト隊長も必死に後ろに下がる。
イガルト隊長の背中が柵についた。
ナツキは繰り出している連撃を緩める事なくイガルト隊長に食らわせる。
イガルト隊長は防御体勢を取るが、柵ごと場外に放り出される。
リングアウトだ。
結果、イガルト隊長のリングアウトによりナツキが勝利した。
ナツキもだいぶフラついている。
医療部隊がナツキを治療する。
ナツキが横になり、医療部隊が3人で回復魔法をかける。
するとナツキがすぐに立ち上がる。
その様子を見てナツキに声をかける。
「大丈夫か?まだ横になってなくていいのか?」
ナツキがけろっとした表情で話しかけてくる。
「全然平気。治療のお陰で痛くも痒くもないわ。」
医療部隊の回復魔法恐るべし。
数秒で回復したようだ。
自分はナツキに声をかける。
「今回はギリギリだったな。」
ナツキが渋い顔をして答える。
「いやー、強かったわ。」
ナツキが戦闘で押されている姿は先生の稽古以来初めて見た。
やはりこの世界の人たちは常人離れしている人が多い。
次の準決勝は翌日。
ひとまずナツキの家に帰宅する。
ナツキの家に帰宅し、ナツキに話しかける。
「明日も試合だろ?なんか食いたい物は無いか?」
「そうね、じゃあハチミツたっぷりのパンケーキが良いわ。」
「よし、作るから少し待ってろ。」
ナツキの家で毎日のように料理をしているから調味料は揃っている。
パンケーキならパンケーキの元があるからすぐに作れる。
自分はハチミツたっぷりのパンケーキをナツキに振る舞う。
ナツキがパンケーキを頬張る。
「んー!甘くて美味しい。あんたほんとに料理上手になったね!」
「まあ、ほぼ毎日作ってるからな。なんか娘にご飯作ってる感覚だよ。」
「これで明日も頑張れるわ。後2勝目指すわよ。」
「おう、頑張れ。ゴリラ並みのパワー見せてやれ。」
「あんた、それ誉めてる?なんかムカつくんだけど。」
「褒めてるよー、それだけパワフルに頑張れって事。」
「まあ、そういうことにしとくわ。」
その日は就寝する。
ナツキとの生活に慣れてきてすっかり扱いに慣れてきた。
二人で暮らしているがエロい展開はビックリするくらい無い。
娘の世話をしている。というのがぴったりの生活だ。
翌日、準決勝に出場するために闘技場に向かう。
闘技場に到着した。
自分は近くの露店で売っていたフランクフルトを2個買う。
1個をナツキに渡して声をかける。
「あんまり気を張りすぎると良くないぞ。リラックスして行こう。」
「でも、準決勝となると流石に緊張するわ。」
「お前でも一応緊張するんだな。」
「何それ、失礼ね。」
間もなく準決勝が始まる。
相手はナツキと変わらない年齢の男の子だろうか。髪の毛は外側が赤色、内側が黒色と独特で、顔立ちは幼さが残る。
ハンマーを持っている。そこそこ大きく中型武器になるだろう。
闘技場の電光掲示板に名前が表示される。相手の名前はアランというらしい。
準決勝開始のベルが鳴る。
初めはお互いに警戒しているのだろうか、距離を取る。
ナツキがアランに向かって炎の魔法を放つ。
アランはハンマーでそれを払う。
アランはなるべくナツキと距離を取るようにリングを動き回る。
ナツキも一定の距離を保ちながら炎の魔法で牽制をかける。
ここでナツキが仕掛ける。
ナツキはアランに向かって低い姿勢からエルボーを繰り出す。
アランはハンマーで防御する。
ナツキは動きが止まったアランに連撃を繰り出す。
アランはハンマーで凌ぐが、背中が柵に着くぐらいに追い込まれていた。
ナツキの連撃中、アランはハンマーを抱え込み、縦方向に強烈な回転を繰り出す。
ナツキの連撃とアランの回転がぶつかり合い、火花が散る。
先に攻撃を止めたのはナツキだ。
アランは攻撃を止めたナツキに回転したまま突撃する。
ナツキは一番端の柵まで弾き飛ばされる。
ナツキは何とかこらえているようで、柵を背にしながら立ち上がっている。
このクラスになると一撃が命取りだ。
ダメージが相当大きそうに見える。
アランが追撃してこないのを疑問に思い、アランを見てみると、目を回しているらしい。
自分の回転で目が回ったらしく、ふらふらしている。
しかしナツキも動く事が出来ない。
しばらくお互いに何も出来ない状態が続く。
ナツキが動けるようになり、ものすごい速度でアランに襲いかかる。
ダッシュの勢いを殺さず、炎を纏ったパンチをアランに繰り出す。
アランが防御魔法を張る。
ナツキの纏った炎が弾き飛ばされるが、パンチの勢いが残っている。
そのパンチがアランの胴体にヒットする。
アランが吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
審判がカウントを開始する。
「10、9、8………3、2」
アランが立ち上がる。
立ち上がったアランにナツキが襲いかかる。
アランが左手を上げるとリングの床から無数の糸が現れる。
アランが前半にリングを走り回っていたのはこれを設置していたのだろう。
その糸がナツキに絡まり、ナツキの動きが止まる。
アランはハンマーを横に構え、魔法を溜めているのだろう。
ハンマーが光り出す。
ナツキは糸に絡まったまま動かない。
アランは光ったハンマーをナツキに振りかざす。
ナツキにまともにヒットする。
ナツキは激しく吹き飛ばされ、柵に激突して地面に倒れ込む。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3、2、1」
試合終了のベルが鳴る。
ナツキはアランに敗北した。
アランの作戦勝ちと言ったところだろう。
渾身の一撃を当てるために準備を欠かさなかったようだ。
医療部隊がナツキに駆け寄る。
ナツキはピクリともしない。
医療部隊が3人がかりで回復魔法をかける。
時間がかかっているようだ。
3分ほど経過し、ナツキが立ち上がる。
ナツキが回りを確認し、自分のところへ向かってくる。
ナツキが口を開く。
「私、負けたみたいね。」
「ああ、怪我は大丈夫か?ピクリとも動かなかったけど。」
「ハンマーで殴られてから記憶が無いわ。気付いたら回復魔法をかけられてたわ。怪我は大丈夫。」
最後のハンマーの一撃は見ている側からしても強烈だった。
医療部隊が居なければ死んでいただろう。
理解しつつあるが、この世界の人達の戦闘能力は異常だ。
ナツキですら敗北するのだから恐ろしい。
そして、休憩を挟み3位決定戦が行われる。
試合前にナツキに声をかける。
「気持ちは落ち込んで無いか?」
「むしろ逆。これに勝てば3位以内に入って全国大会出られるって考えたらワクワクするわ。」
「ポジティブだな。良いことだ。」
3位決定戦が間もなく開始される。
相手はイタガキ隊長だ。
久しぶりに日本人っぽい名前が登場した。
見た目は茶髪で短く整えられた髪型で清潔感があり、顔立ちは堀が深い。服装は軍服だろうか。現実世界にいそうな感じだ。
3位決定戦開始のベルが鳴る。
まずはイタガキ隊長が動く。
ナツキに向かって手榴弾のような物を投げつける。
ナツキは距離を取り、手榴弾のような物に炎の魔法を放ち爆発させる。
爆発の間から何か飛んでくる。
攻撃魔法だろうか。
イタガキ隊長は腕を真っ直ぐに伸ばし、光のスジのような物を放っている。
ナツキはそれらをギリギリで回避しているが、顔にかすったのだろう。
頬から血を流している。
ナツキがイタガキ隊長との距離を詰めようとする。
それを見てイタガキ隊長が手榴弾のような物をナツキへ投げつける。
ナツキは大きく右に旋回し、それを避ける。
ナツキがイタガキ隊長を攻撃範囲に捉える。
ナツキが渾身のストレートをイタガキ隊長に放つ。
するとイタガキ隊長が爆発した。
正確に言うとイタガキ隊長の防具から爆発が発生した。
ナツキのストレートが当たったのだろうか。
イタガキ隊長が吹き飛ぶ。
それと同時に爆発に巻き込まれたナツキも吹き飛ぶ。
お互いに地面へ倒れ込む。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3」
先に立ち上がったのはイタガキ隊長だ。
カウントが続く。
「2、1」
ギリギリでナツキも立ち上がる。
それにしてもイタガキ隊長は爆発系の武器を仕込んでいるのだろう。
遠距離、近距離とも隙がない。
イタガキ隊長がナツキへ光のスジを放つ。
ナツキはこれを回避し、高くジャンプしてイタガキ隊長へ近づく。
イタガキ隊長が上空にいるナツキに大きな光の円盤のような物を放つ。
するとナツキが急降下し、それを回避し、イタガキ隊長へ急接近する。
ナツキが低い位置から渾身のアッパーをイタガキ隊長へ放つ。
爆発が発生する。
ナツキは吹き飛ばされながらも受け身を取り立ち上がる。
イタガキ隊長は上空へ高く放り出され、そのまま地面に叩きつけられる。
審判がカウントを始める。
「10、9、8………3、2、1」
試合終了のベルが鳴る。




