集合
そして自分とトウヤとミューはナチュラル村へ到着した。
村の様子は1年前、自分が異世界転生した時と変わらず、質素なたたずまいの建物が並んでいる。
時刻は間もなく夕刻。
まずは先生の家へ向かう。
先生の家へ到着し、扉を叩く。
「はーい。」
先生が出迎える。
「おー、トウヤ君とキッド君、それとお友達かな?」
先生はミューの方向に視線を向ける。
ミューが口をひらく。
「はじめましてなのです。ミューと申します。勝手ながらトウヤ君についてきたのです。」
先生がミューに話しかける。
「ずいぶんと可愛らしい子だね。みんな長旅で疲れたでしょ。とりあえず中に入るといいよ。」
先生の家中にお邪魔する。
相変わらずこの村では立派なたたずまいだ。
整然と整理された空間に案内され、大きなテーブルの前の椅子に腰掛ける。
ミューは椅子に腰掛けるが、地面に足が届かないのだろう。
空中で脚をプラプラさせている。
先生がお茶を運んでくる。
3人の前にお茶が並び、先生が口をひらく。
「到着した順番はトウヤ君たちが最後だよ。他のみんなは一旦家に帰ってるところだろう。もうすぐだけど、夕食の時には村の広場に集まるように声をかけているよ。ミューちゃんだっけ?どのような成り行きでついてきたのかな?」
トウヤがお茶をすすりながら口をひらく。
「モンスターに襲われてるとこを助けたら、ついてきて仲良くなったんだ。まあ、新しい兄妹みたいなもんだな。」
先生がミューを見つめながら口をひらく。
「仲良くなったのは良いことだね、でもずいぶんと小さい子だ。親御さんは心配してないかい?」
ミューが少し膨れっ面で先生に話しかける。
「こう見えても19歳です。もう親元は離れてます。小さいのはホビットと人間のハーフだからです。」
先生が申し訳なさそうな表情でミューに話しかける。
「それはごめんね。見た目で判断したらいけないね。」
トウヤがミューを指さしながら先生に話しかける
「ミューはすごいんだぞ!ここに来るために乗り物作ってくれたんだぜ!」
トウヤは先生の家の窓から見えている自転車を指差す。
先生がそれを見て口をひらく。
「おー、見覚えの無い乗り物だ。作ったのはすごいね、ミューちゃんは器用なんだね。」
ミューが嬉しそうな表情をして口をひらく。
「そうなのです。名付けて自転車。メカニズムはキャスター角、前輪の重心、ジャイロ効果の話をする必要があるのです。機構に関係しますが、まずはキャスター角です。キャスター角は…」
自分は焦ってミューの会話を止める。
「そ、そうだ!もうそろそろ夕食の時間ですよね?移動しませんか?」
先生がハッとした表情で口をひらく。
「おー、ついつい話込んじゃったね。そうだね、移動するかい。」
村の広場に移動をする。
するとそこには火を起こしているレイジ。
机や椅子を用意しているナツキ。
食材を包丁で切っているイチノハがいた。
ナツキが口をひらく。
「あー!やっと来た!待ちくたびれて先に準備始めちゃったよー!」
先生が頭を掻きながら返事をする。
「いやー、話が盛り上がってね。ごめんごめん。」
ナツキがミューを見て声をかける。
「先生、そこの小さい子はだあれ?」
先生がミューを手で示し、口をひらく。
「ああ、この子はミューちゃん。見た目は小さいけど君たちよりお姉さんだよ。トウヤ君たちについてきたらしい。」
ナツキがミューの頭を撫でながらミューに話しかける。
「かわいー!私、可愛いの大好きなの。私、ナツキ。よろしくね!」
ミューが不服そうにナツキに声をかける。
「こう見えてもあなたより歳上なのです。気安く頭を撫でられると、気分が良くないのです。」
ナツキがミューの頭から手を離し、話しかける。
「あ、ごめんね。そうだよね。」
レイジが口をひらく。
「先生ー、人増えたなら食材は増やす?」
先生が口をひらく。
「いや、元々十分な量あるからこのままで大丈夫だよ。」
出会ってから1年が経過し、みんなを眺めていると外見も少し成長しているようだ。
レイジは多少だが身長が伸び、イケメン度が増している気がする。
ナツキは相変わらず可愛らしい美少女だが、ほんの少し大人っぽくなっただろうか。女子高生という感じだ。
イチノハは元々大人っぽかったから外見の変化は目立たないが、おっさん視点ではバストサイズがアップしているように見える。それにしても美人だ。
トウヤに関してはいつも一緒にいたせいか、元々背が高く変化がわからない。
よくよく自分の姿を見ると、身長が伸びている気がする。
気のせいではない。
異世界に転生され若返り、成長期がまた訪れたのだ。
食事の準備が進む。
夕暮れ時、ライトに照らされながら肉を焼くトウヤの姿が映る。
その少し横で、煮物の準備だろうか。
イチノハがゴロっとした野菜を鍋に入れる。
料理の担当はレイジとイチノハなのだろう。
先生も料理の手伝いをしてるように見えるが、ただレイジとイチノハの料理をしている姿を眺めているだけのようだ。
ナツキ、トウヤ、ミューは楽しそうに談笑をしている。
そんな中、自分はみんなから少し離れた場所で樽の中にある泡の出ている飲み物を眺め、ビールみたいだなと思いながら食事が出来るのを待っていた。
そこで後ろから先生に声をかけられる。
「その飲み物が気になるかい?」
「おわっ!びっくりした!」
「そんなにびっくりしなくても良いじゃないか。」
「いや、先生が料理作ってるところ見てたからこっち来るかと思わなくて。」
「はは、トウヤ君とイチノハちゃんがしっかり者でね、特にやることが無くて暇なんだよ。」
「ところで、この飲み物は何ですか?」
「興味あるかい?麦酒だよ。みんな16歳になるでしょ?お酒が解禁される年齢だからね。サプライズで飲ませようかと思って。」
麦酒という響きからビールと言っても良いだろう。
ビールは久しく飲んでいないが、飲めるなら嬉しい話だ。
ついでに焼いたイカがあれば最高なのだが。
この世界では16歳からアルコールが解禁されるようだ。
先生が、顔を覗き込みながら声をかけてくる。
「そういえばキッド君は中身は大人だったよね。飲んだことはあるのかな?」
自分は少々迷いながら正直に先生に話しかける。
「まあー、人並みには飲んでましたね。みんなの前では隠しますよ。」
先生も少し考えながら話しかけてくる。
「んー、隠さなくてもいいんじゃないかな?別に16歳になる前に飲んでる子もいるだろうから、我慢しなくても良いじゃないかな。」
先生は案外真面目なキャラではないのだろうか。
意外な答えに自分は少し驚いて先生に話しかける。
「え?良いんですか?普通に飲みますよ?」
先生は笑いながら話しかけてくる。
「はは、その辺は任せるよ。」
遠くからレイジが声をかけてくる。
「先生ー、キッドー、ご飯できてるよー!」
その声かけで、自分と先生は食事の用意された広場へ向かう。
そこには焼き肉だろう。一つの皿にこんもりと盛り付けられている。
そして人数分に分けられてゴロっと野菜の入ったスープが用意されており、さらに食べやすく剥かれている木の実が食卓を彩っている。
トウヤが口をひらく。
「おー!流石レイジとイチノハだ!旨そうだな!」
ナツキも口をひらく。
「トウヤ、肉全部食べないでよ?あんためっちゃ食うから心配なのよ。」
先生が口をひらく。
「はは、たくさんあるから大丈夫だよ。早速いただこうか。」
みんなで食事を開始する。
トウヤが豪快に肉をほお張りながら口をひらく。
「なあ、みんな魔法軍に入ってどこまで行った?俺は小隊長になったぜ!」
ナツキが木の実を食べながら口をひらく。
「私は中隊長よ!なったばかりだけどね。」
トウヤが少し驚いて口をひらく。
「まじか!やるな!レイジはどうだ?」
レイジはスープをすすりながら口をひらく。
「うん、まあ、ぼちぼちだね。」
トウヤが不満そうな表情でレイジに声をかける。
「ぼちぼちってなんだよ。はっきりしろよー、んで、イチノハは?」
イチノハが口をひらく。
「私は小隊長よ。」
トウヤが口をひらく。
「お、一緒だな。ついでにキッドは2等兵だぜ。」
自分はトウヤを小突きながら声をかける。
「俺はいいんだよ、恥ずかしいじゃないか。」
ナツキが口をひらく。
「中隊長のミッション聞きたくない?結構戦闘する機会増えるのよ?」
トウヤがその話に食いつく。
「お、戦闘って人と戦うのか?モンスター?」
ナツキがトウヤに話しかける。
「まーね、人は防衛が中心だからバチバチに戦わないけど、モンスターは大型モンスター相手にするわよ。」
トウヤが口をひらく。
「まじかー!やりごたえありそうで良いなぁー。」
食事も後半に差し掛かる頃に先生が麦酒をみんなに渡しながら口をひらく。
「さて、みんなも16歳になったことだし、僕からのプレゼントだよ。お酒は初めてかな?」
自分とレイジとイチノハは表情をあまり変えなかったが、ナツキとトウヤは目を見開いて麦酒を見る。
ナツキが口をひらく。
「お酒かー、初めてね。」
トウヤが口をひらく。
「なんか苦そうな匂いするぞ。」
先生が手を叩く。
「はい、みんな。無理はしなくてもいいけどぐいっといこうか!」
それにしても先生は楽しそうな表情をしている。
自分の子供がお酒を飲める年齢になったら勧めたくなるものなのだろうか。
各々、麦酒を口にする。
ナツキは少しだけ口に含み、口を開く。
「なにこれ、苦っ。」
トウヤも同じようなリアクションをする。
「ほんとだ、不味いぞ。」
レイジは無言で渋い顔をしている。
イチノハも無言でうつむいている。
そんな中、自分はごくごくと麦酒を飲み干す。
味はビールそのものだ。喉ごしがとても良い。
「ぷはー、ビールは良いね。みんな、ビールは少しだけ飲むんじゃなくて喉ごしを楽しむんだよ。一回ぐいっと飲んでみ?」
先生はその様子を微笑んで見ている。
トウヤが自分の姿を見てぐいっと飲む。
「んっ、まあ、飲めなくはないな。キッド、よく飲み方知ってるな。」
ナツキが声をかけてくる。
「キッド君、飲み方何で知ってるの?もしかして不良?」
自分は楽しくなり口をひらく。
「はは、まあー不良でいいさ。これがな、仕事終わりにくぃといくのがいいのよ。あ、仕事じゃなくてミッションか、はは。」
まだ、酔っぱらってはいないが楽しくなってきた。
続けて自分は口をひらく。
「麦酒を飲むときはおつまみも大事だ。この木の実がまたいい。これにスルメとか焼き鳥あれば最高なんだよなー。」
ナツキが口をひらく。
「キッド君なんか年取った大人みたいね。美味しさとかわからないんだけど。」
中身は立派なおっさんだ。好きに言ってくれてかまわない。
うつむいていたイチノハが据わった目で先生に話しかける。
「先生はー、ひっく。何で稽古のとき、あんなに厳しかったのよー。」
そしてイチノハの視線はレイジへ向かう。
「レイジはー、なんでいっつも仕切るのよー、ひっく。みんなわかってるって。」
そして視線がナツキにむかう。
「ナツキはー、可愛いもの好きってわりに言葉使い雑だから直さないとー、ひっく。」
そして視線がトウヤにむかう。
「トウヤはー、ひっく。でかい図体して、子供なんだからー。」
そして自分にむかう。
「キッドはー、私の胸見すぎ。ひっく、そんなにみたいのー?」
イチノハが衣装がはだけた状態で自分に近づいてくる。
「気づいてたんだからー、これが見たいんでしょ?ひっく。」
しかし、自分に近づいてくる最中に地面に倒れ込む。
完全な酔っ払いが完成したようだ。
しかし、イチノハが飲んだお酒の量は見る限り一口だろうか。
イチノハがこんなにお酒に弱いとは驚いた。
先生は爆笑している。
「はっはっは!こりゃー楽しいな!本当にいい日だ!」
レイジが焦った表情で倒れたイチノハのところへ向かう。
「先生!笑ってる場合じゃないよ!イチノハが倒れたんだから!」
イチノハは美人な見た目に似合わず倒れ込みながら、大きなイビキをかいている。
レイジがイチノハの背中をさすりながら口をひらく。
「え?寝てる?こんなところで?」
先生は笑いながらレイジに声をかける。
「はは、大丈夫だよ、それは酔っぱらってるだけだから。まあ、一応起こしてあげてベットで寝るように声をかけてあげようか。」
そして夕食が終わり、解散する時間になった。
先生が口をひらく。
「さて、みんなお腹いっぱいになったところで、解散しようか。明日の朝にみんな帰る前にここに集合しようか。」
自分は夜はトウヤの家にお邪魔する事にした。
ミューはナツキの家にお邪魔するようだ。
トウヤの家に着いたが綺麗に何もない。
布団どころか毛布すらない。
自分はトウヤに声をかける。
「お前、本当に旅に出る前に全部片付けたんだな。一応毛布持って来たから良かったけどよ。」
「すっきりしてるだろ?俺は意外と綺麗好きなんだぜ。」
「いや、綺麗好きってかなんもないだけだろ。」
そして、床に寝転びながら毛布を掛けて眠りについた。
そして次の日。先生に言われた通り広場に集合した。
が、イチノハだけ広場に来ていない。
先生がナツキに声をかける。
「ナツキちゃん。申し訳ないんだけどイチノハちゃんの様子を見てきてくれないか。」
「わかりました。なんか昨日ぶっ倒れてたしね。」
しばらく待っているとナツキがだいぶ顔色が悪いイチノハを
連れてきた。
イチノハが細々した声でみんなに声をかける。
「昨日はすいませんでした。ご迷惑をおかけして…」
先生が笑いながら口をひらく。
「はっはっは、いいんだよ。これも経験さ。僕は楽しかったよ。」
レイジが口をひらく。
「まあー、イチノハが元気そうじゃないけど無事で良かったよ。みんなはこれからそれぞれの家に帰るのかな?」
先生が口をひらく。
「まあー、そうなるだろうね。そこでキッド君だ。黄ノ国以外も行ってみたくないか?」
自分は口をひらく。
「まあー、気にはなるけど黄ノ国の生活も慣れてきたから、気持ち的には半々ですね。」
先生が口をひらく。
「キッド君の強みは得意な魔法が無いからどの国で生活しても大差無いって事さ。レイジ君。キッド君を青ノ国に連れてくれないかな?」
レイジが渋い顔で口をひらく。
「いやー、今大事な時期なんで、ちょっと。」
先生が考えながら口をひらく。
「そうかー、そしたらどうしようかなー。」
ナツキが口をひらく。
「私、赤ノ国案内しても良いわよ。ある程度土地勘もついてきたからキッド君くらいなら別に良いわよ。」
先生がナツキに声をかける。
「男の子だけど大丈夫?いや、ゆくゆくは赤ノ国や緑ノ国見て欲しいなって思ってたからありがたいけど。」
ナツキが口をひらく。
「別に住む家さえ別にしてくれれば問題無いわよ。」
先生が声をかけてくる。
「そういう事らしいけど、キッド君は良いかい?」
自分にとってはありがたい話だ。
美少女についていき、街を紹介してくれるなんて嬉しい話だ。
そんなの即答である。
「もちろん!ナツキちゃん。お世話になります!」
ナツキが口をひらく。
「はーい。まあ、ミッションとか別々になって一緒に行動する機会は少ないかも知れないけどよろしくね!」
そして、早速ナツキのワープストーンで赤ノ国へ向かう。




