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騒がしい日々

家に帰ってきて、トウヤとミューの事について話し合う。


自分は電気ケトルでお湯を沸かし、緑茶をトウヤに出しながら話しかける。


「いやー、強烈な奴にあったな。イケメンは大変だな。」


「俺もビビったよ。何言ってるか全く分からないんだからよ。」


「あの子、多分というかほぼ確実にお前に惚れてるぞ。」


「そうなのか?俺には訳分からない事喋り出す変人にしか見えなかったけど。」


「変人は間違いないな。でも見た目は可愛らしいんじゃないか。一応歳上だし。」


「やめろや、恋愛とかしたこと無いからそう言うのわかんねーんだよ。」


「恋愛ってか始まってすらいないけどな。」


ミューと出会った日はトークストーンが鳴ることはなかった。


しかし、夜が明けて次の日の早朝。


プルルルル、プルルルル。


ミューから着信だ。


「もしもし。」


「あ、お付きの人ですか?トウヤ君は居ますか。」


トウヤはまだ寝ている。


「朝早すぎるんだよ。まだ寝てるよ。」


「そうですか、昨日は初対面なのに申し訳ないです。つい興奮してしまって。」


「あー、いいよ。あんまり関わらないでくれればそれで良い。」


「それはまた別です!私だって色々手助けできますから、せめて知り合いくらいにはしてほしいのです。」


「手助けって?」


「物資の調達や研究・開発は得意です。」


「それが手助けになるの?」


「安くアイテムを提供したり、場合によっては新しい装備も開発しますよー。」


この話しだけ聞くとおいしい話だ。


しかし、得体の知れない少女から支援を受けるほどだろうか。


自分は質問をする。


「ところで君は何者なんだい?研究者か何かかな?」


「いえ、私は趣味で色んな研究をしてるだけで、普段は道具屋や宿屋の手伝いをしているのです。」


まあ、ちょっと頭のネジが飛んでいる女の子と言うところか。


自分は話を切り上げようとする。


「さすがに朝早すぎるから通話切るよ。もしお世話になることあったら連絡するよ。」


「分かりましたなのです。また連絡してもいいですか?」


「まあー、連絡くらいならいいよ。」


「ありがとうございます!今度はトウヤ君とお話ししたいのです。」


「はいよ、またね。」


そう言って通話を切る。


今日はどのようなミッションを受けようか考えつつ、トウヤが目を覚ますまでコーヒーを入れて待つ。


トウヤが起きる。


「ん、あぁ、コーヒーのいい匂いだな。」


「おはよう。まずはコーヒーでも飲んだらいい。昨日会ったミューって女の子居るだろ。朝イチから連絡来てたよ。」


「そうか、何の用だった?」


「お前とお話ししたいんだと。後は、物資の調達とか手助けしてくれるって言ってたな。」


「お話しかぁー、言葉通じるかな?手助けしてくれるのは良い話だな。案外良い奴か?」


「どうだろうな。とりあえずミッション行くか。」


トウヤと一緒にミッションを受けにいくため、家の扉を開ける。


そこには見覚えのある少女、ミューが立っていた。


思わず声が出る。


「げっ、何用で?」


「早速支援物資を持ってきました。よろしければどうぞ。」


ミューからポーション数個と僅かばかりの食料を受けとる。


ミューがトウヤに話しかける。


「あの、昨日はあまりお話し出来なかったので、今日は、と思って…」


自分は少し薄情だが、話しかけられてるトウヤを置いて、早足にギルドハウスへ向かう。


不思議ちゃんの相手をするのはごめんだ。


目的がトウヤなら後は若い者同士でなんとかしてほしい。


不思議な事に、家の場所がバレている。


昨日の帰り道、背後を気にするべきだった。


そして、ギルドハウスに到着し、いつも通りミッションを受注し、ミッションをこなす。


Cランクのミッションなら慣れたもので、とくに苦戦することなくこなせるようになっていた。


そして、今日のミッションも終わり、家への帰り道。


トークストーンが鳴る。


またミューかと思いながら応答する。


「またかー、トウヤなら一緒にいないぞ。」


「えっと、久しぶりの連絡なんだけど…キッド君?私、ナツキだよ。覚えてる?」


「おー、久しぶり。別の人と勘違いした。なんかあったのかい?」


「ナチュラル村のメンバー居るじゃない?せっかくなら一年に一回くらいナチュラル村に集合して、顔合わせたりするのも良いかなーって思ってさ。」


「良いと思うよ。顔合わせるのは大事だからね。ワープストーンもあるから一回集まればまた好きなときに集合できるから良いんじゃない?」


「キッド君が前向きでよかった。それなら集合する日時は○○月✕✕日辺りはどうかしら?」


「移動に時間かかるから日にちズレるかも知れないけどそれでも良ければ大丈夫だよ。」


「うん。大丈夫。そしたらまた当日会おうね!」


通話が切れる。


ナツキから、ナチュラル村のみんなで会おうというお誘いだった。


自分的には久しぶりに妹系美少女のナツキと姉系美少女のイチノハに会えるのはすごく嬉しい。


そして、家に帰宅した。


するとそこには楽しそうに会話をしているトウヤとミューがいた。


トウヤが声をかけてくる。


「おう、お帰り。」


「ただいま、お前、ミューと何してるの?」


「いやー、話してみたら結構良いやつでさ、俺の事めっちゃ誉めてくれるし、俺のコレクションの良さが分かってくれるんだよ。」


「コレクションってガラクタの事か?」


ミューが会話に入ってくる。


「ガラクタじゃないですの!立派な素材なのです!」


ミューは球体のガラクタを手に取り語り出す。


「これなんて見てください!美しい流線型でしょ?おまけに使われてる素材も良いのです。」


トウヤも会話に混じる。


「お!分かる奴だな。きれいな形してるだろ?気に入ってるんだよ。」


どうやらトウヤのガラクタに対する熱と、ミューの素材に対する研究熱が二人のツボに上手くはまったようだ。


仲の良さそうな二人に声をかける。


「楽しそうなのは良いんだけど、家を愛の巣にするのはやめてくれよな。」


トウヤが首をかしげながら声をかけてくる。


「愛の巣?よく分からんけど、モンスターの巣かなんかか?」


トウヤは心配なさそうだが、問題はミューだ。


何を考えているか分からないから注意が必要だ。


それにしてもトウヤは人当たりが良すぎる。


知り合って間もない女の子を家に上げるとは、警戒心が薄いというか、やり手と言うか。


自分はトウヤにナツキから連絡が来たか確認してみる。


「トウヤ、ナツキからナチュラル村に集まらないかって連絡来なかったか?」


「おう、来たぞ。でもだいぶ先だろ?まだ考えなくて大丈夫だろ。」


「そうかも知れないけど、ナチュラル村からここに来るまで2か月半はかかってるからな。また長旅になるぞ。」


「そうだなー、馬車も途中までだしな。」


そこで自分は、ふと思いミューに視線を向け話しかける。


「そういえばミューは色んな物作れるんだっけ?」


「そうなのですよ。開発は得意です。」


「馬車は馬がいるけど、そうじゃなくて馬が必要無くて早く移動できる乗り物って作れるかい?」


「うーん、すぐに作るのは無理ですが、時間と素材、後は資金が要りますね。」


「そんな立派な物じゃ無くても良いんだ。俺の払える金額なら払うからさ、ナチュラル村へ向かう前に作ってくれないかな?」


ミューは少し考えながら話しかけてくる。


「そこにトウヤ君も行くのですか?」


「そうだ、トウヤもナチュラル村へ行く。」


「それなら作りましょう。久しぶりに製作意欲が沸くのです。」


これでミューに乗り物を作ってくれればある程度ナチュラル村へ行くのが楽になるだろう。


しかし、トウヤが行くと聞いて作ってくれるとの事だ。


とことんトウヤ中心の考えのようだ。


ミューともそれとなく仲良くなり、黄ノ国に来てから約半年が過ぎた。


黄ノ国の生活にもすっかり慣れて、色々なミッションもこなしてだいぶ土地勘がついてきた。


トウヤもBランクミッションを順調にこなせるようになっているようだ。


友人関係はどうかと言うと、ミッションは一期一会の事が多く、新しい友達というのはなかなか出来なかった。


その代わり、ミューはトウヤのミッションの追っかけをしたり、家にも頻繁に現れ、それなりに騒がしい日々を送っていた。


今日はヤンクルル市内の道路工事の手伝いをする。


ひたすらレンガブロックを運ぶ作業だ。


ブロックを運ぶ先に見覚えのある三つ編みの少女を見つけて声をかける。


「おーい、ニムリスじゃないか?久しぶりだな。」


「キッド?久しぶり!同じミッションだったんだね!」


「いやー、最初は気付かなかったよ。なんせ人多かったからな。親は大丈夫なのか?」


「うん、まだ店先には立てないけど命に別状は無いって。」


「そうか、大変だったな。こっちに戻ってきてまた魔法軍で活動できるようになったんだな。」


「うーん、出稼ぎって感じかしら。お金が足りなくなりそうになったら実家の店を開けて、こっちでお金稼いでる感じよ。」


「そうか、頑張ってるんだな。」


「そういえば私、最近試験受かって1等兵になったのよ!少しだけど稼ぎが増えたわ。」


親方が遠くから声をかけてくる。


「こらー!そこ!喋って無いで運べ!」


小走りに持ち場に戻りながらニムリスに話しかける。


「わりぃ、怒られたから戻るわ。じゃあまた!」


久しぶりにニムリスと話せて良かった。


思ったより元気そうで安心した。


ニムリスは最初に黄ノ国へ来る途中、だいぶお世話になった。


そしてミッションが終わり、家に帰る。


すると、今では見慣れた光景だが、トウヤとミューが居る。


ミューが声をかけてくる。


「おかえりー!そういえばさ、だいぶ前に完成してるんだけど、乗り物取りに来ないのですか?」


「あぁ、そうだな。ナチュラル村行く前に見ておかないとな。」


「じゃあ、まだ空が明るい内に、私の家に保管しているから見においでなのです。」


そのように声をかけられて自分とトウヤはミューの家へ向かう。


すると、家の前には現実世界で見たことのある乗り物があった。


ミューが乗り物を手のひらで示しながら口を開く。


「じゃーん!名付けて自転車です!」


そう、自転車だ。


トウヤは目をキラキラさせている。


ミューが続けて口を開く。


「自転車のメカニズムなのですが、まず説明するにあたって、キャスター角・前輪の重心・ジャイロ効果の話をしたいと思うのです。まずはジャイロ効果について…」


自分はミューの話を遮る。


「あ、そう言うの別にいらないから。なんとなくこの乗り物わかるから。」


ミューは悲しそうな表情をする。


自分は自転車という現実世界であまりにも見覚えのあるものが出てきたので、ミューに質問をする。


「ミューは昔、この世界以外のところに居たことがあるかい?」


「パラレルワールドの話しですか?残念ですが生まれも育ちも黄ノ国ですの。」


「だとしたら君はマジの天才だよ。」


「誉めてもこれ以上のものは出ないのです。本当は動力を付けたかったのですが資金が足りなかったのです。」


「資金で思い出したけど、いくら払えばいい?」


「そうですね、材料費と製作費を考えると、1台20,000Gですね。」


思ったより良心的な値段だ。


開発費とかでものすごくぼったくられるかと思ったが心配しなくて良かったようだ。


財布から20,000Gを取り出しミューに支払う。


自分はあることに気付き、質問をする。


「なあ、2台で良いはずなんだけど何で3台あるんだ?」


ミューは腰に手をやり答える。


「私もついていくのです!」


自分は少し驚いてミューに話しかける。


「え?かなり遠いし大変だよ?それについてきても楽しくないよ?」


ミューは得意気な表情をして口をひらく。


「トウヤ君が行く所なら何処へでもついていきます!それにトウヤ君から聞いてるのです。他にも魔法が使える人達が居ると。それは私の興味が引かれるのです。」


仲良くなりすぎたというべきか。


トウヤとミューにはそろそろ避妊の仕方でも教えといた方が良いかも知れない。


特にトウヤの為に。


なんだかんだあり、ナチュラル村へ向かう日が迫ってきた。


それまでに自転車の乗り方の練習を行った。


練習と言っても自分は乗れるから良いとして、問題はトウヤだった。


見たことの無い乗り物に四苦八苦しながら乗る練習をしていた。


しかし、流石の運動神経だ。


すぐに乗りこなせるようになった。


そして、自分、トウヤ、ミューで地図を覗き込みながら出発前の確認をする。


自分はミューに話しかける。


「なあ、このルートで本当に1ヵ月半で着くか?遠回りしてる気がするんだけど。」


「これがモンスターも出なくて道の状況から見ても最速なのです。」


「それなら信じるよ。食料はみんな持ったか?保存の効く木の実や固形食料中心だけどしばらく我慢な。」


そして、黄ノ国ヤンクルル市を出発し、ナチュラル村を目指す。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


自転車の乗り心地はさほど良いとは言えないが悪路も走れるように作られているようで、砂利道や多少の段差ならものともせずに走れる。


ミューが開発が得意と言うだけあって大したものだ。


ナチュラル村へ向かう道中も、ミューが選んだルートのお陰かこの上なく順調だ。


そんな中ミューが口をひらく。


「移動中シャワーに入れないのが辛いです。おまけにずっと自転車を漕いでるから脚がパンパンですー、思ったより旅は大変なのです。」


自分は笑いながらミューに話しかける。


「だから行く前に話したろ?楽しくないって。」


トウヤも笑いながら口をひらく。


「俺たちはこれよりもっと危険な道を通って黄ノ国に来てたんだぜ。これくらいなら楽なもんだぜ。」


ミューが息を切らしながら口をひらく。


「もう休憩したいのです。お二人みたいに鍛えてないから、私にはこの道のりも大変なのです。」


そう言われて休憩を取ることにした。


ミューがそれなりの大きさの石に腰をかけながら口をひらく。


「それにしてもお二人が仲良くしてくれて良かったのです。いつも一人で趣味で研究をしていたのですが、発明品を誰かにお披露目できたのもすごく嬉しいのです。」


自分は保存食を口にほお張りながらミューに話しかける。


「急にどうした?最初は変なやつってか、今も変なやつだと思ってるけど、トウヤとすっかり仲良くなってたからびっくりしたよ。」


ミューが微笑みながら話しかけてくる。


「変なのは自覚しています。トウヤ君を一目見た時からびびっと来たのです。私、小さいでしょ。背の高い人好みだったし、何より助けてくれたからこの人と一緒にいたいと思ったのです。」


トウヤが頭を掻きながら照れている。


それにしても急に甘酸っぱい話をされてこちらも戸惑う。


しかし、それだけ思っているのならついて来たくなるのもわかる気がする。


みんなしばらく沈黙が続き、ミューが赤い顔をしながら口をひらく。


「あぁあぁ、今の話しは無しなのです!空の青色、レイリー散乱の美しさがつい目に入って口が滑ったのです!」


トウヤが腰に手を当て自慢げにミューに声をかける。


「まあ、今まで仲良くしてたからな。俺はミューの事を妹みたいに思ってるからな。これからも兄妹だと思って、気軽に声をかけてくれ!」


乙女心的にその受け答えは微妙だと思うが。


トウヤはことごとくミューのフラグを折ってくる。


そんなやり取りもありながら道中を順調に進んで行き、ナチュラル村へ到着しようとしていた。

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