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エピローグ

このお話はフィクションですが作者が見聞きした事を参考にしている所があります。

 冬夜が居なくなってから何十回と、このひまわり畑の開花を見てきただろうか……

 今年も又、ひまわりが太陽に向かい伸び伸びと花を開いている。


 このお盆の時期には俺は毎年欠かさずに行く所がある。


「兄さん、忘れ物はないかい?今日は、ひときわ暑いからつむぎの車で行ってね。」


 冬夜が旅立った後に生まれた弟も、今や立派な2児の父親になっていた。

月日が過ぎるのは早いものだ。


「ハルくん、気温が上る前に行っちゃおう!」

 

 そう話すのは弟の孫娘のつむぎ、心配性ではあるけど優しい子だ。

 あの頃には想像できなかった今がある……

エアコンの効いている車に、1輪のひまわりを持って乗り込みながら、ボタン1つで車のドアが開くなんて画期的になったものだ。

今の俺には杖が必要だから、本当に助かっている。


 冬夜が居たら、時代の流れを一緒に楽しめただろうなと思うと顔が緩んだ。

 ルームミラー越しに紬と目があうとニコニコしながら声をかけてきた。


「ハルくん、いま冬夜さんの事を考えてたでしょ?マジで尊い!」

 

 若い子の言葉は時々、分からないけれど、俺の気持ちを否定されないのは幸せな事だ。


 ✽✽✽✽


 「それじゃ、あたしはここで待ってるから何かかったらすぐ呼んでね。」


 そう言いながら紬は俺の頭に帽子をかぶせてくれた。

 ここからは、いつも1人で行かせて貰っている。

昔なら無理なく勧めた、このゆるやかな坂道も杖が必要となった今は、少し堪える。


 ひまわり畑が見下ろせる、この場所に冬夜は眠っている。

 

 墓地の管理会館に声をかけ、お線香を購入して椅子を借りた。


「持って行くから先に言ってて」


 毎年の事だからか会館の人の好意で、冬夜の場所へとお線香と椅子をもってきてくれて本当に助かっている。

 

 今年も、なんとか来ることが出来た。


 ✽✽✽✽


 冬夜と出会った時は昭和だったね……

 

 やっぱり、俺にとって特別な時期だったと思うよ。

冬夜と一緒に過ごして、本当に楽しかったな……

 あの頃の俺は、まだまだ若僧わかぞうだったけれど、人を本気で愛したのは冬夜だけだったよ。

もちろん今でも、冬夜だけだって分かってるよね?


 そして平成へと変わり、今は令和になった。


 今の時代なら、俺達みたいな関係も昔ほど変な目で見られることは減ったみたいだ。

 それどころか、一部の女の子達には萌と言われ好まれるらしく、本なども沢山あると、紬に教えてもらったぞ。


 確かに良い時代になったけれど、俺にとっては隣に冬夜が居ないと意味がないと思ってるよ……


 なぁ冬夜、ちょっと待たせすぎじゃないか?

そう言いながら、顔がほころんだのが分かった。


 今の俺を見て、冬夜に気付いて貰えるかが俺は心配だよ。

髪も白くなり顔には皺もある、特に酷いのが目の横の皺だ、冬夜に恥じること無く笑顔で居ることを意識していたら、気付いた頃には深い皺が刻まれてしまったよ[笑いジワ]って言うそうだ。

 足も悪くなって、杖が無いと歩けない……


 過ぎ去った時間は戻せないけど、冬夜との思い出は、まったく色褪せないんだ。



 チリーーン


 遠くで風鈴の音色が聞こえてきた、昨今のレトロブームの流れからか、風鈴が売られるようになったんだろうか? 


 チリーーン


 さっきよりも近くに聞こえる音色に、少し風が出てきたのか涼しさを感じた気がした。


 チリーーン


 近くで聞こえたような気がして、振り返った俺の目からは、とめどなく涙が溢れ出た………


 ハル……待たせて……ごめんね………



fine


最期まで読んで頂きありがとうございます。

今回で完結となります。

途中、モチベが下った時にも読んで頂いて

とても励みになりました、ありがとうございました。


作者的にはHappy Endで終われたかな?と思っています。

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