夏の終わりと和解
こなお話はフィクションですが作者が見聞きした事を参考にしている所があります。
あの日以降、俺は冬夜の家でお昼にオニギリを食べる事が日課となっていた。
毎回、おばあちゃんにお願いするのも気が引けて、俺が下手なりにオニギリを握って持って行く日が増えた頃に、夏の暑さに当てられたのか、それとも夜の風が涼しくなったからか……冬夜の入院が決まった。
「ハル!学校が始まる頃には絶対に治すから」
そう言いながら病院へと向かった冬夜に俺はちゃんと笑顔で返事ができていただろうか……
✽✽✽✽
新学期が始まっても冬夜の退院日は決まらなかった。
思いのほか体調がよくないのかな?
頭で考えるより先に体が動いていた、俺は冬夜の入院している病院に着くと顔なじみの受付のおばちゃんに話しかけた。
「冬夜に面会できる?」
おばちゃんはハル君、大きくなったわねと言いながら入院名簿を調べてくれているみたいだった。
おばちゃんと、世間話をしていると後ろから声を掛けられて振り返ると冬夜のおばあちゃんだった。
「あらあら、ハル君来てくれたの?ありがとう。」
そう言うと、受け付けのおばちゃんに合図を送り俺を冬夜の部屋まで案内してくれた。
トントンと病室の扉を叩くと、中から聞き慣れた冬夜の声が聞こえた。
おばあちゃんは、私は少し席を外すわねと言いながら俺の背中を軽く押した。
「冬夜?」
そう名前を呼んで、なんでか分からないけど緊張しながら病室に足を踏み入れるとニコニコした冬夜が出迎えてくれた。
「ハル、来てくれたんだね!入口の近くに椅子があるからら、こっちに持ってきて話をしようよ。」
冬夜のベッドの横に椅子を置いて座ると、べっの方が高いからか俺が縮んだような錯覚におちいって変な気分だったけれど、話し始めたらそんな事が気にならない程に楽しくて仕方なかった。
最後に会った時より少し痩せた気がしないでもなかったけれど、話す姿をみると今までと変わらない冬夜に安心した。
少しだけのつもりで、来たのに気付いた頃には長時間いた事に時計を見て驚いた。
明日は父さんが夜勤だから、母さん1人になってしまうから明後日、また来ても良いかな?と尋ねると、ハルの訪問を断る訳ないよと手を握ってくれた。
帰り際に、冬夜に好きだよと伝えれば僕もと返してくれてニヤニヤするのを必死で隠していると。
「ハル、どんな時でも笑っていてね……僕ハルの笑ってる顔が大好きなんだ」
俺は顔が赤くなってるのを自覚しながら、分かったと答えれば、今日見た中で1番の笑顔を見せてくれた。
家に帰ってからも、冬夜の笑顔が頭から離れずに中々眠りに付くことが出来なかった事は、冬夜には内緒にしておこう。
✽✽✽✽
夏休み明けの短縮授業で、学校に行って給食食べて直ぐに帰るだけなんだよな……
そんな事をおもいながら、家へと向かっていると少し前までは元気に太陽の方を向いていた、ひまわりが沢山の、種を蓄え重さに耐えられずにほとんとが下を向いていた。
もう夏も終わりだな……
そう思うと、少しだけ寂しさを感じた。
「ハル!帰ったら、ただいまぐらい言いなさい。」
母さんが、呆れたように言った言葉で家に着いていた事に気付いて笑ってしまった。
父さんの姿は見えないから、もう仕事へと向かったんだろう。
「母さんただいま!」
そう言うと、言うの遅いよと笑っていたので何か手伝う事があるかと聞くと、鞄の片付けと宿題と言われた。
そう言えば、そろそろ進路の希望を聞かせてくださいと言われているけれど、ザックリと父さんと同じ仕事がしたいとしか考えていなかった。
その後、出された宿題を終わらせて風呂に入ったら夕飯の時間になっていた。
明日は冬夜に会いに行ける、そう思うと今夜も寝れそうになかった。
時計が9時を示そうとした時、玄関の扉を乱暴に叩く音がした……
酔っぱらいが間違えて来たのかと思い、母さんは出てこないと声をかけて、恐る恐る扉を開けると、そこに居たのは亜樹ちゃんだった。
はぁはぁと全身で息をしている亜樹ちゃんを見て、凄く嫌な予感がした。
「ハル今までゴメン、無視してゴメン……許して貰えないかもしれないんだけど、おじさんからの伝言……」
亜樹ちゃんが、深く深呼吸をしてから口を開いた。
「冬夜が急変した……」
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回も呼んで頂けると嬉しいです。




