源さんの西瓜と海
「ハル、海に行こうぜ!」
昨日の夕方、雷に後ろから声をかけられた。
俺は楽しそうな誘いにはもちろん参加するが、西瓜はどうする?と雷に尋ねると今から源さんの所へと取りに行くと言い出した。
話の流れ的に俺も一緒に行くことになった。
「雷に聞きたかった事があるんだけど、風って怒らせると凄く怖くない?」
俺の言葉に少しの間があいた気がしたけど、次の瞬間、雷は大きな声で笑い出した。
ひとしきり笑うと真面目な顔つきになり、いつ風を怒らせたの?と聞いてきた。
俺は風を怒らせたの経緯をザックリと話すと雷は穏やかな顔つきで、風が本気で怒るのって俺絡みの時が多いんだよと笑いながら教えてくれた。
そんな風に、雷のことは好きかと問いかけると雷は質問の意味がわからないと顔をそらしたが、俺が納得いっていのが分かったのか雷が小さく溜息を付くと口を開いた。
「ハルが、どういう意図でその質問をしたのか分からないけど俺と風は生まれる前から一緒に居るし、好きや嫌いって言葉では言いあらわせないかな……好きか嫌いか、どっちか答えてと聞かれたら好きなんだと思うんだけどさ、人の気持ちって言葉だけじゃ表現できやいよね?」
そう話す雷がいつもより大人っぽく見えた。
「げぇ〜んさぁぁ〜ん!西瓜めぐんでください!」
雷が畑に居る源さんに声をかけたことで、源さんの畑に着いたことに気付いた。
麦わら帽子をかぶった源さんが俺達の元へと来ると形の悪いのを幾つか持っていきなとハサミをかしてくれた。
俺と雷が持てる大きさの少し形の歪な西瓜を2つ貰うと源さんにお礼を伝えてお互いに、また明日と分かれた。
✽✽✽✽
「冬夜、仕度できた?」
冬夜の家の玄関で待たせて貰いながら、なんでこんなに時間がかかるんだろうと思っていると、想像以上の荷物を抱えた冬夜が姿をあらわした。
「なんか色々と心配で気付いたら、こうなっちゃったよ」
そう話す冬夜の額には汗が浮き出ていた。
もしかしたら、急いで準備してくれたのかな?そう思うと胸のあたりが温かくなった。
西瓜を持つ手とは反対の手を冬夜と繋ぐと海へむかって歩き出した。
「風と雷は先に行っているみたいだよ、冬夜は海って好き?俺は凄い好き!」
俺の問いかけに、冬夜はあまり海に入ったことがないから色々と教えて貰えると嬉しいと輝くような笑顔を見せてくれた。
それなら、今日はめいいっぱい楽しい事をしようと思った。
「ねえハル、その西瓜はどうしたの?」
冬夜の質問に昨日、雷に合ってそのまま源さんに貰いに行った事を話すと、僕も行きたかったと少し怒ったような表情を見せた。
もしかして、嫉妬してくれてるのかと思うと口元が緩んだ気がした。
「僕、ハルと付き合うようになってから更に独占欲が強くなった気がする……ハルが僕以外の人と2人で出かけた話を聞くと汚い感情に染まりそうだよ。」
俺は繋いだ手に力を入れて、俺は冬夜にしか好きだと言う感情が起きないけどで心配なら、次からはちゃんと冬夜に声をかけるねと笑顔を向けた時。
冬夜は繋いでいない方の手が俺の顎を捕らえると、そのまま唇が重なった。
伏し目がちな冬夜の瞳には頬を真っ赤に染めた俺の顔が写し出されていた。
冬夜が重なり合った唇を離すと、ハル目を閉じてと耳元で囁かれ俺は素直に目を閉じた。
「よく出来ました……」
少し掠れたような冬夜の声が聞こえ、唇が重なると、さっきより深い口づけに腰が立たなくなり、その場へとヘニャヘニャと崩れ落ちた。
「ハルごめんね……」
そう離す冬夜の顔はまったく悪いと思ってはいなそうだった……。
「ハル……冬夜……?」
名前を呼ばれ振り返るとニヤニヤと何か言いたげな風と両手で顔を覆っている雷が居た……。
どうしよう、2人に見られた……先に行ってるんじゃなかったのかよ……。
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