開襟シャツの季節
冬夜と他愛もない話をしながら教室へと入ると蒸し暑さからか、机の冷たい所に何人かが突っ伏していた。
梅雨が明けたらこの不快な暑さからは多少開放されるだろうと言う期待しながら自分の席へと座った。
「ハル……」
名前を呼ばれて振り返ると冬夜が満面の笑みを浮かべながら俺を見下ろしていた。
「ハル、今日は1日集中出来てなかったね……」
この纏わりつくようなジメジメとした気候と昨日の事で確かに集中力が続かなかった。
この気候で、なんとなく集中できなかったと伝えるも冬夜は意味深な笑みを浮かべながら、そういう時もあるよねと言った。
✽✽✽✽
毎日続く、どんよりした厚い雲やシトシトと降り続く雨に気力も体力も限界を感じていた……
そんな時、ついに待ち望んでいたその時が来た。
【梅雨明け宣言】
教室へと向かう足取りも何処か軽やかだった。
「おはよう!」
教室へと入った俺に何故かクラスの視線が集まり一気に笑いが起こった。
なかでも、冬夜が人一倍楽しそうな顔を浮かべて笑っていた。
出会った時は、あんな風な笑顔を見れるなんて思っていなかったな……
みんなとも驚くほど仲良くなったし……
今は亜樹ちゃんと顔を合すことはなくなったけど、またあの頃の時みたいに戻れると良いな。
そんな事を考えていると冬夜と目が合った。
「やっぱり、ハルはひまわりみたいだ!」
冬夜の発言に周りからは、よっ夏男やらひまわり男子やらと謎な合いの手が上がって、なんとも居たたまれない気分になった。
「名前はハルなのに夏男の二つ名まで得るなんてやるな!」
そう声をかけてきたのは雷だった、雷の言葉に風は大笑いしながら口を開いた。
「ハルの近くにはいつも冬夜が居るし四季がほぼ揃ったじゃん」
そう風に言われて無意識に頬に熱を持つのを感じた。
「ここに亜樹ちゃんが居たら揃ったね」
雷の無邪気な発言に俺は、そうだねとしか言えなかった。
ガヤガヤとした空気が先生が来たことで徐々に落ち着きを取り戻していった。
「やっと梅雨が明け、ここからは夏本番をむかえるが、夏休みに入る前にはザックリでも良いから今後の進路を考えておくんだぞ、その方が夏休みは思い切り遊べるだろ。」
先生の言葉で一気に現実に戻されたような気がした。
「冬夜は進路きまった?」
何気なく冬夜に尋ねると考える事なく口を開いた。
「僕はハルとずっと一緒に居たい。」
真剣な目をした冬夜を見て思わず吹き出してしまった、冬夜と目を合わせながら、それは確定事項なんだから他のことが聞きたかったんだよと言うと。
それは殺し文句だと両手で顔を覆うと教室の蛍光灯へと顔を向けていた。
冬夜はジタバタしているかと思うと、次の瞬間には俺の耳元に口を近づけた。
「今すぐ、抱きしめたいけど教室だから我慢するね」
そう言うと不意打ちで俺の耳を齧った。
俺は声にならない声で悶絶していると生ぬるい目をした風と目が合い、風はニヤニヤしながら俺に向けて親指を立ててきた、風はない現状を知っているとは言えなんだか負けた気がした……
冬夜は何事もなかったように自分の席へと着き、他の皆もそれぞれ席へと戻っていった。
「ハル!早く席につけ〜」
そう先生に注意されたのは俺だけだった……納得が行かない……
少し前までは学ランを見に纏っていたけれど今は男子は開襟シャツ、女子は半袖のセーラー服へと変わっていた。
夏本番まであと少し……冬夜と出会ってもうすぐ1年が経とうとしていた。
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