気恥ずかしさすら糧となる
更新が遅れてしまいスミマセン。
冬夜の顔が近づいてくる空気を感じる……
このまま目を閉じた状態で冬夜に任せても良いのだろうかと緊張しつつも考えていると、鼻のあたりに何かが触れた……。
「ハルそんなに体を、こばわされてると上手く拭けないよ。」
冬夜の声に目を開くと冬夜は優しい手つきで、ちり紙で俺の鼻を拭っていた、完璧に勘違いしている事に気づくと同時に、まさに言葉通り顔から火が出るようだ。
冬夜は俺の勘違いに気づいたのか、なぜだか嬉しそうな表情でクスクスと笑いながら。
「ハルが意識してくれたのは嬉しいけどガチガチに緊張してるハルの唇を奪うほどの我慢が出来ない子じゃないよ」
そう話す冬夜の瞳に映る自分の顔が、恥ずかしさならなのな酷く情けない顔をしていた。
冬夜は、やっぱり自分で鼻をかんだほうがスッキリするよねと、俺にちり紙を手渡すと機嫌が良さそうに鼻歌を歌っていた。
冬夜の鼻歌を初めて聞いたけれど、話している時の少し鼻にかかったような低めの声とは違い、透き通ったような音色が風鈴のように綺麗な声だと思っていると、ふいに鼻歌が止まり冬夜へと顔を向けると何か良い事を思い付いた様な笑顔を向けていた。
「ハルも一緒に歌おうよ!」
そうキラキラとした目で提案する顔を見ると嫌だとは言えず、2人で校歌を熱唱した。
きっと明日になれば俺達が校歌を熱唱していた事は学校中に知れ渡るのだろうと思うと、なんとも言い難い気分になるけれど、冬夜と一緒に歌った今日の事は忘れる事は無いだろう。
あまりにも大きな声で歌っていたからか少し声が出しづらいと感じた瞬間に咳き込んでしまった。
大丈夫?と声をかけて流れるような所作で俺の背中を優しくさすってくれたおかげで落ち着いてきた。
「日が落ちてくると、やっぱりまだ少し冷えるね……ハルに無理させてごめんね。」
全てが自分の責任みたいな表情を浮かべる冬夜に、自分の中では認めたくなかったけれど、やっぱり風邪ひいたみたいなだけだから俺の体調管理が甘かったと笑顔を向けた。
冬夜は悪化する前に帰ろうと俺の手を引いてベンチから立たせた。
「今日は僕がハルを家まで送るからね。」
そう言われ、冬夜に手を引かれる形で家へと向かう道を歩いた。
繋いでいた手が気付けば指先を絡めたつなぎ方へと変わって、今までより冬夜の体温を感じた。
細長い指に目を奪われながら、繋がったこの指先をこのままずっと解きたくないと感じた。
「冬夜、ありがとう。」
気付いた時には口から言葉が零れ落ちた。
「体調が悪い時はお互い様だよ。」
いつもより、ゆっくりとした歩調で歩く冬夜の背中を見ると驚くほど素直な気持ちの言葉が流れ出た。
「俺を好きになってくれてありがとう……」
冬夜の歩幅が止まり、振り返った顔は物凄く保護欲を掻き立てられるようだった。
「それは……僕がずっと言いたかった事だよ……」
そう言い終わらない内に手を引かれた俺は、冬夜の腕の中にスッポリと収まった。
「僕の気持ちに答えてくれてありがとう、僕のことを好きになってくれて本当に嬉しいよ……」
繋いでない方の腕で抱きしめられ耳元で、そう囁かられて背中の辺りがザワザワとした感覚に陥って、くすぐったいと伝えれば、艶っぽい声色で煽ってるの?と聞かれ逆に俺の方が煽られているのではないかと思わずには居られなかった。
「もう少し、このままで居ても良い?」
そう話す冬夜に頷き繋いでいない手を冬夜の腰へと回した。
「ハル、僕に生きる意味を与えてくれて、ありがとう……」
今の体制で無かったら聞こえないような独り言の様な言葉を口に出した後、冬夜の肩が小刻みに震えていることに気がついた。
もしかして、泣いている……?
話しかけられる状態ではないと即座に判断すると腰に回したいた手を背中へと移動させ冬夜の気持ちが落ち着くまでトントンと優しくリズムを奏でた。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。




