バカは風邪をひかないのか?
風と話をして冬夜に素直になった、あの日から気付けば梅雨も明けて気温も高くなってきた。
あの日から、俺の中で変化があり気持ちが固まった事もあり、雷と亜樹ちゃん、こなっちゃんに俺と冬夜の関係を話した。
みんなの見る目が変わったらと不安が無かったと言えば嘘になるけれど、そんな不安になる必要が無いほどに良い意味で、みんなは普通だった。
こなっちゃんだけが、何にも考えてないポヤポヤしてるハルに負けたと思うと悔しいと騒いでいたけれど、そこは亜樹ちゃんが上手くなだめていた。
そんな亜樹ちゃんを見る、こなっちゃんの目が卒業前とは明らかに違って見えた。
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「ハル帰ろうよ」
そう言いながら俺の席まで冬夜が来ると同時に俺の顔を見てくすりと笑いながら、ちり紙を差し出した。
「ハル……鼻水たれてるよ。」
無意識に鼻水をたらして居た事が恥ずかしくなり、ありがとうと、ちり紙を受け取ると鼻を拭った。
「ハル、夏風邪をひいたの?」
冬夜とのやり取りを見ていた風がニヤニヤとしながら横から声を掛けてきた、あの日以来風は俺に対して本性を隠さなくなったのは逆に付き合いやすく感じる。
「風が言いたいことは分かる、夏風邪はバカがひくと言いたいんだろうけど、バカは風邪をひかないって言葉があるんだから俺は普通だ。」
そう自信満々に言い返すと、雷がゲラゲラとお腹を抱えながら、深読みしすぎと笑っていた。
風はしれっとした顔で、ただ心配しただけなのにひどいと言った。
俺は深読みして、空回りしたと思うと馬鹿丸出しで恥ずかしくなってきた。
そんな空気を汲み取ってくれたのか、冬夜が助け舟を出してくれた。
「風がハルに、意地悪な事をするから警戒されるんだよ、自業自得だね。」
言い方は優しいのに、ゾクゾクする様な威圧感を冬夜は放っていたけれど、そんな事は何てことないって表情を浮かべている風も強いと思ったと同時に、雷が風の背中をバシバシと叩きながら。
「風、言われちゃったな」
そう満足そうな顔をしつつ嬉しそうな表情を浮かべていた。
「うるさいな……」
そう言い返す風の顔が、今まで見たことの無い表情をしていて、あんな表情も出来るんだと思うと人を好きになるって凄いなと実感した。
「ハル帰ろうよ……」
そう言いながら俺の手に指を絡めてきた冬夜に頷くと急いで荷物をまとめた。
「僕はハルと2人で帰りたいから、風は頼と2人で帰りなよ」
そう言いながら冬夜は俺の手を引っ張った。
「また明日」
振り向きながら声を掛けると雷はニコニコしながら両手を振っていた、対象的に風は笑顔だけ浮かべていて、双子なのに全然違って見えるようになったのは、あの日のことが有ったからと思うと、あの時きちんと風と話か出来て良かったと思った。
「ハル今、僕以外の事を考えていたでしょ?」
そう問いかける冬夜は本当に人のことを良く見ている。
どうして、そんな事まで分かるんだろうと不思議に思う、もしかしたら冬夜は風の気持ちに気付いているのだろうか?
知ったうえで、別々に帰る提案をしたのならば俺の恋人は策士だなと思った。
「ハル今度は僕のこと考えていたでしょ?」
そう振り返って笑顔を向ける冬夜に俺は、あたりと答えると冬夜は、うわぁ〜と言いながら繋いだ手は離さずにその場にしゃがみこんでしまった。
うつ向いた事で、透き通るような白いうなじがみるみるうちに朱色に染まっていった。
思わず、いま冬夜がどんな表情をしているのか見てみたくなり、冬夜に顔を見せてと声をかけるも……
「今、恥ずかしい顔をしているから嫌だ……」
そう答える冬夜が可愛く思えて、向き合う形でしゃがみ込み繋いだ手を解き両手を冬夜の頬に添わせ、そのまま俺の方へと顔を向けた。
「うわぁ〜真っ赤だ」
無意識に出た言葉に冬夜は、だから嫌だって言ったのにとぼやいた。
そんな姿が可愛くて、思わず抱きしめてしまった。
そんな行動をした自分に驚いたけれど、それ以上に冬夜も驚いているようだった。
この日、格好いいと思ってた冬夜を初めて可愛く思えて俺の中で何かが芽生えた気がした。
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