それはただの八つ当たり1Side風
Side風は1話で終わらせるつもりでしたが長くなってしまい次回もSide風となります。
その後、本編に戻りますので宜しくお願いします。
本当は誰にも話すつもりは無かったんだ……
もちろんアイツにも……
あの2人を見ていて、もしかしてと気づいたのは俺も似たような状況だったからかもしれない。
けれど、どう抗っても、俺には成し遂げる事が出来ない事を、何の障害もない2人の状況わ見て苛立ちを覚えた。
✽✽✽✽
ハルな対してイラッとした俺はハルを呼び出した時、ギラギラとした冬夜の視線が俺を捉えていた。
気づかれないように笑顔を作っている様だったが、まったく目が笑っては居なかった。
美人が本気で威嚇すると背筋が凍えるような感覚になるんだなと何故か他人事の様に思えた。
正直、冬夜の気持ちがわからない程に愚鈍ではないし向けられる敵意に似た視線の意味も痛いほど良く分かる。
ハルに対して、どうこうって言う気持ちが更々ないので冬夜の取り越し苦労でしかないのだけれど、きっと冬夜はその事に気づいて無いのだと思った。
ハルの無意識なのか、はたまた天然なのか分からない態度に俺が苛立ち一言、言わないとスッキリ出来なそうだったから呼び出すことにしたんだ。
ビシビシと刺さるような視線を向けてくる男の説得はハルに任せる事にして、俺は雷の元へと向かった。
「風、冬夜の目を見てみろよ大事な玩具を取られそうな子供みたいだよ。」
面白そうに話す雷は子猫を見守る親猫のような表情をしていた、そんな雷を見て確信した。
やっぱり雷も気付いていたんだ。
まぁ冬夜は隠す気は更々無さそうだし、ハルが内緒にしたいと言ったのが目に見える。
「風あんまり引っ掻き回すなよ」
笑いながら話す雷に俺は善処しますと応えると、言い方が笑えると言いながら、なにがそんなに笑えるのか、目尻が下がりきり左の口角だけがクイッと上がっていた。
それじゃ俺は先に帰ってるよと言うと教室を出ていった。
✽✽✽✽
俺はハルに話をしようとだけ告げ答えは聞かずに、冬夜の耳元に口を近づけ言葉を発した。
「そんなに大事だからって、束縛がキツイと逃げられるかもよ……」
俺の言葉を聞いて、目を見開いた姿をみてクスッと堪えていた声が漏れ出てしまった。
そんな俺を見て、腹黒と言ったのは聞かない事にして少し離れた席に座って2人のやり取りを見ていた。
へぇ〜冬夜も、あんな表情するんだと思って見ていると冬夜に睨まれたので最上級の笑顔で返すと物凄く不機嫌そうな顔付になったのが、とても愉快だった。
そうか俺は腹黒だったのかと声にならない声で発してみると何故だか胸にストンと落ちた気がした。
俺と雷は比較対象にされる事が多々有った。
明るくて誰とでも仲良くなれる雷
真面目で、誰とも問題を起こすことのない風
少し問題児な雷
優等生な風
真面目な優等生に見えるのなら、そう装っていた俺は相当優秀なのではないかと思うと同時に、こんな性格を見抜いた冬夜は洞察力には感服する。
正直、他人である冬夜の方が俺と似ている気がする、ただの優男があんな目をするはずは無いだろうし、譲れないものを搔っ攫われない様に目を光らせている姿は共感できる。
冬夜は大事なものを手に入れた……
俺は手に入れる事は無理だろう……
そんな、理不尽な思いからか又は今、教室を出ようとしている冬夜の姿を見送るハルの眼差しにイラついているからか……
荒い足取りでハルに近づくと身体をビクつかせた。
あんな目で冬夜の事を見つめているのに何なんだ!
なんでハルは素直にならないんだ!
そんな事を考えていると無言の間ができてしまった。
若干、涙目になっているハルを見て胸がザワつくのが分かった。
保護欲を掻き立てられるとは、こういう事なのかと妙に納得したが俺が欲しいのはハルではない。
俺はアイツの為に、ちゃんと話をしなければと思った。
ハル、さぁ行こう。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
次回も気になると思って頂けたら評価して貰えると嬉しいです。




