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素直になるには勇気が必要

 風の話を聞いて自分の視野の狭さに気付かされた。

人は誰しも秘めている事があり悩んだり、もがいているのは自分だけでは無いと知った。

 それ程までに風の口から発せられた事が俺には衝撃的であり、俺の胸を強烈に刺激した。


「誰にも言うつもりは無かったけど、ハルに話してしまった事に関しては後悔していない本性も見せてしまったしね………冬夜との関係、俺は応援するし知られたくないなら黙っておくよ」


 そう話す風、今までは風と雷は多少の違いは感じていたが、ここまで違うとは思わなかった。

根本的な所は似ている、もちろん双子だから顔立ちは良く似ている。

 前に風が別の人間と言っていたのがストンと胸に落ちた気がした。

例えるならば雷が赤々と燃える炎なら風は青い炎をユラユラと揺らしている感じだろうか。


「ハル、ちゃんと向き合って早く仲直りしなよ受け入れる事も大事だよ。」

 そう話す風に背中を押された気がした。


「風も悔いのないように………」

 そう言うと風は困ったようなはにかんだ笑顔を見せた。

「ハル、俺はもう少しここに居るよ………また明日」

 俺は分かったと答えると、家へと向かい足を進めた。


✽✽✽✽


 みんな、なにかしら悩んだりしているんだなと考えながら歩いていると、いつも冬夜と座って話をしているベンチが目に入ってきた。

 良くみるとベンチには座っている2人の人影が見えた。


 まさか………


 体は正直で、考えるより先に俺の足はスピードをあげベンチへと向かった。


「冬夜!」


 振り向いた冬夜の奥から顔を出したのは………

源さんだった。

なんだ、源さんだったのかと言う安心した気持ちと、なんで源さんがここに居るのかと不思議な気持ちになって思わず、源さんをマジマジと見てしまった。

 そんな俺に気付いた源さんなニヤニヤとした表情を俺に向けて来てイラッとした俺は。


「腰が痛いのに、こんな時間にウロウロしていたら、おばちゃんに怒られるんじゃないの?」

 源さんはハッとすると少し考える素振りを見せながら。

「なんで、その事を知っているんだ?」

そう質問返しをしてきた。


「父さんが帰ってきた。」

源さんは、なるほど………と納得すると、冬夜の耳元で何かを告げると、腰の痛いじじぃは大人しく帰る事にするよと、わざとらしく腰を押さえながら帰っていった。


 この取り残された俺達の、なんとも言えない空気感はどうすれば良いんだろうか。

 暫くの沈黙の後、空気を変えたのは冬夜だった。


「ハル、まだ怒ってる?」

ハの字になっている眉毛とは対象的な強い眼差しに俺は捕らえられてしまい、首を横に振ることしか出来なかった。

 良かった………そう言った冬夜の声で自分でも気付いていなかった肩の力がフワッと抜けたのを感じた。


 俺は、冬夜の肩とギリギリ触れない距離を保って隣に腰を下ろした。

何から話せば良いんだろうと考えているのと!冬夜はが俺の手を繋いできた。


「僕ね、ハルと手を繋ぐの好きなんだ」

 そう話す冬夜は、いつもと変わらない様に見えたけれど耳が朱色に染まっていた。

夕焼けのせいだと言われたら、それまでだけど今の俺の気持ちと同じだと疑わなかった。

「俺も………」

 そう答えると冬夜の手に力が入った気がした。


 トクトクトク


 どっちの音か分からない、繋いだ指先から感じる音が心地よくて無言のまま時間だけが過ぎていった。


「冬夜、朝はごめんな冬夜は悪くないのに俺が勝手に不貞腐れていただけなんだ………」


 そう話すと、冬夜は僕がハルを不安にさせてしまったのかもしれないから、お互い様なのかもしれないねと、にこりと笑顔を見せてくれた。


 何気ない話をしつつどれくらいの時間、手を繋いでいただろうか、夜の帳が下りはじめ名残おしさを感じながらも家に帰る事にした。


 手は繋いだまま、座っていた時とは違い歩くたびに肩と肩が触れ合う距離。

言わずとも分かる、確実に俺と冬夜の距離感が変わったと感じたと同時に全ての熱が顔に集中しているのだは無いかと思うくらいに顔が熱い。


 周りは暗くなってきたし、冬夜に気付かれていないと良いなと思った。



 自分の気持に素直になるのは気恥ずかしい。

それでも言葉にして伝えないと、すれ違ってしまうと改めて感じた。


 そう言えば源さんは去り際に冬夜に何を言ったんだろうか?

聞きたい気持ちは、有るけれど今はこの状況に浸っていたかった。


今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


次回は風とハルの会話の風視点になります。


暫くは更新がゆっくりになりますが、宜しくお願いします。


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