表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/52

思い出の場所にて

 この場所は冬夜の初めて出会った場所だ。

今はまだ、あの時のように向日葵は咲き乱れてはいないけれど、冬夜が覚えていてくれた事が嬉しかった。

 休める場所をと考えた薄紅色のベンチは洋風なデザインで今も綺麗に見えるけれど、向日葵が満開になった時には更に綺麗に見えそうだ。


 ベンチに腰を下ろし、隣をポンポンと叩いて隣にすわるようにうながすも、直立不動のまま動かなかったから、隣に座りなよと声をかけると、何故か失礼しますと他人行儀な言い方をされたと思ったら、その後続く沈黙。


 どれくらいの時間が過ぎただろう、不意に隣からフゥーと息を吐く音が聞こえたと感じたと同時に名前を呼ばれ、声の主の方へと目を向けた。


「ハル、昨日から変な態度を取って本当にごめんね」

 冬夜は真っ直ぐに俺の目を見ながら、そう口を開くと上手く説明できないかもしれないかもしれないけど聞いて欲しいと言った。

 その時、膝の上に置かれた指が小刻みに震えていたのが気になったのも有って、冬夜のたいみんで話して欲しいと急いでないことを伝えた。

 冬夜は小さく息を漏らすと俺の方へと体を向けた。


「ハルが気付いた通り、僕はハルに対して態度を変えてた自覚があるんだ………ごめんね。」

 心の中で、やっぱりそうだったんだと何故だが胸がチクリと痛んだ。

 思い違いではなかった事実に今度は俺の指先が震えている事に気付いて渇いた笑いが洩れてしまった。


 ハルのせいじゃないから、その言葉だけがやけにハッキリと聞こえて、俺は冬夜の方へと体を向けた。

 冬夜は真っ直ぐに俺のことを見ていた、何度も上手く話せないかもしれないと前置きをして、口を開いた。


「僕ね、ハルとここで初めて会った時からハルに憧れていたんだ、太陽のようにキラキラしていて、何処の誰だか分からない僕にも話しかけてくれて皆にも紹介してくれて嬉しかったんだ。」

 笑顔で話す姿を見て本心で話してくれているのが分かる、それなら何故あの様な態度を取ったんだろう?

 そんな事を考えていると、冬夜は話を続けた。


✽✽✽✽✽


 父さんと母さんの居る家へと戻る時、みんなと別れるのが淋しかったのは本当だけれど、それ以上にハルと一緒に居る時に感じていた幸福感を失うことが辛かったんだ………

 家に戻った後は、気力も薄れてしまって、ただただ1日を過ごすだけの生活をしていた時に、みんなからの手紙が届いて、嬉しい気持ちよりも今その場所に僕が居ることが出来ない事が辛くて………悲しくて返事ができなかった、ごめんね。


 冬夜の話を聞いて、俺達が良かれと思って取った行動が結果的に冬夜を苦しめる事になってしまったと知って、自分の幼さに吐き気がした。


 冬夜ごめんな………


 無意識に発せられた言葉に冬夜は大きく目を見開くと俺の両肩を掴むと、皆は悪くないハルも悪くないからと話す冬夜が今まで見たことの無い雰囲気で、それなら良かったと言うのが精一杯だった。

 冬夜は俺の返事を聞くと、あっと小さく声を発した後に痛かったよね、ごめんと言いながら俺の肩から手を話した。


「本当にハル達は悪くないんだ、あまりに気落ちした僕を見て、両親がおばあちゃんの家への引っ越しに動き出してくれて、今ここに居られるんだ」

 そう笑う冬夜を見て何故かあの時、一緒に見た満開の向日葵の花を思いだした。

 あまりにも、じっと見てしまったからか冬夜とバチリと目が合い気恥ずかしさから目をそらしてしまった。


「最近、僕はハルが他の人と仲良くしているだけで胸が騒ぐんだ、この間は雷の事は嫌いじゃないのにハルと仲良くしている姿を見た時に、一瞬だけど雷が居なくなれば良いのにと思っていた、そんな僕は変なんじゃないかと思いながらも色々と考えて分かった事があるんだ。」


 それは何と声を掛けようとしても喉の奥が張り付いたように言葉を発症としても声が出なかった。


「ハル、僕はハルの事が好きなんだ、出会ったあの時からずっと恋愛的な意味合いでハルが好きだよ………」


今回も、最後まで読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ