双子も大変
昨日の今日で、冬夜に会うことに緊張を感じながら学校へと続く道を歩いていると前方に風が歩いているのが目に入ってきた。
少し早歩きで雷の元へと向かい声をかけると、振り向いた顔は目の下に、くっきりと隈が出来ていて疲れているように見えた。
「雷おはよう、風は今日は休み?」
いつも通りを装いながら、そう話しかけると来世は頷いた。
1度、家へと戻った雷は改めて風と卯月さんとの3人で源さんの家へと行ったと教えてくれた。
卯月さんには、雷は来なくても良いと言われたけれど風の姿を見ると行かないとは言えなかったそうだ。
源さんの家に着くと、雷はおばちゃんと別の部屋で話していたらしく詳細は分からないけれど、源さんの特大な雷が落ちたのだけは分かったと言っていた。
風は気落ちしてしまってたから今日はお休みと話す雷は少し寂しそうだった。
ねぇハル、そう言われ口籠る雷に何かあったか尋ねると1つ息を吐き出すと口を開いた。
「父さんが、風に双子なのに風はどうして言うことが聞けないんだって言ってて思わず、俺たちは別の人間だよって言い返してしまった」
風も雷もムードメーカーではあるものの、どちらかと言うと風に比べて雷は大人しく見えたから、その話を聞いて驚いてしまった。
ビックリしたと問いかける雷に俺はうなずいた。
「俺さ、少しだけど風のお兄ちゃんだから」
そう、笑う雷が1人っ子の俺には少しだけ羨ましく見えた。
その後は他愛もない話をしていると、ふいに腕が後ろへと引っ張られ振り向くと、そこには俺の腕を掴んでいる冬夜が居た。
「冬夜きのうは、ありがとう」
そう、雷が話しかけたのに冬夜は返事もせず、何かを言いたげに俺に視線を向けていた。
風が戸惑いながらも、どうしたの?と話かけると俺の腕を掴んでいる手に力が入ったのが分かった。
「………の?」
聞き取れなくて、もう1度言ってと促すと
「2人で一緒に行く約束してたの?」
いつもより低く感情の読み取れない声色に背中に冷たいものが走った。
いつもの雰囲気とあきらかに違って居た。
「冬夜、腕少し痛いかな」
そう話すと、あっと小さな声と同時に俺の腕を掴んでいた手から力が抜けて行くのが分かった。
「ごめんなさい………」
小さく発せられた言葉は俺に対してなのか、雷へなのか分からなかったけれど、冬夜の見たことが無い一面を見た気がしたり
雷の心配そうな顔に気付いた冬夜は、いつもの表情に戻って、改めて雷に謝ってはいたが、なんとなくきまずい空気は学校に着いてからも続いていた。
❇❇❇❇❇
風と雷は顔は似ているけれど性格は似ているとは言えない、少し似ている所はあるけれど普通の兄弟とさほど変わらないのではないか?
双子ってだけで偏見を持たれる事があるのだろうか?
そんな答えの見つからない事を考えていると、雷に声をかけられた。
「ハル、もうすぐお昼だね」
そう言われ時計に目を向けると数字の12に針が重なろうとしていた所だった。
今日は、無意識のうちに時間が過ぎて行ってる、雷の顔を見ると、ん?と小首をかしげていた。
「双子って大変だね………同じ日に生まれただけなのに」
気づいた時には声に出ていてヤバイと思い、慌てて口を押さえて雷を盗み見ると、一瞬驚いた顔をしたが男子としては可愛らしい顔が、みるみると破顔していった。
お腹を抱えてハァハァとした息づかいをしている雷を見て、そこまで変な事は言ってないのにと思っていると。
「普通の兄弟と一種だよ」
そう話す雷は、なんだかスッキリとした面持ちをしていた。
「俺は兄弟が居ないから分からないけど、兄弟ってなんか面白いな羨ましいよ。」
そう言った途端に今度は声を上げて笑い出した風を見て普段なら声を出して笑う事が少ない雷の意外な一面を見た気がした。
そして、そんな姿が風と重なって見えて改めて兄弟って羨ましいなと思った。
「ハルありがとう」
そう雷に言われて、何がと聞いても秘密と言いながらクスクスと笑っている雷の目には涙が滲んでいるように見えた。
雷が涙が出るような面白い事を俺は言ったのだろうか?
そう思いながら視線を黒板へと向けると冬夜と目があった。
そして、あからさまに目を逸らされた。
違和感を感じて、雷に断りを入れて冬夜の元へと足を踏み出したと同時に、凄い勢いで教室を出て行ってしまった。
なんなんだ朝の時といい、今といい、俺はカチンときてしまい急いで冬夜を追いかけた。
「冬夜、ちょっと待って!」
声をかけるが、こちらを振り向くではなく走るスピードを上げた気がした。
自慢じゃないが、俺は運痴だスピードを上げた冬夜に追いつこうと気持ちだけが前に進み自分の足に詰まずいて。
おもいきりコケた………
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いずれはスピンオフで双子の話も書けたらと思ってます。




