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非道な実験を受けた俺は高校生活で何気に成り上がる  作者: 聖なる悪の株式会社
1章 学園入学編・1年生編
19/23

19 過去と重ねてしまうもの

かなり遅い投稿ですみません

 古い記憶をたどっていた。

 俺がまだ幼く、あの地獄の生活になるよりももっと前のことだ。

 その日は気分まで沈むような土砂降りの雨だった。

 俺はいつも通り、顔も覚えていない母親が起こしに来るのをただ待っている。この頃はまだ普通に寝ることが出来ていた。部屋にあるシンプルな壁時計がきっかり10時を指したところで、母親が部屋に入って来て俺の肩を優しく叩くと、いつものように朝だよと、聞き慣れた声をかけてくる。

 だが、俺が目を開けると、そこには優しく微笑んだいつもの母親の顔ではなく、少し沈んだような顔があった。まだ小さかった俺にはその顔を見ても何も察することが出来なかった。

 リビングに降りると、食卓に目玉焼きとカリカリに焼かれたトースト、サラダが並べられている。俺はいつも通りの場所に座りいつも通りいただきますと言って、寝ている間にすっかり空いてしまった腹を満たすように夢中で食べた。


 俺の家の隣には、妹のように俺に懐いている子が住んでいた。名前は覚えていないが、たしかあやと呼んでいたと思う。よく、お互いの家に遊びに行ったりして一日中遊び回ったものだ。それは雨の日も例外ではなく、どんなに天気が荒れていても遊んでいた。

 その日は俺があやの家に遊びに行く日で、今日は何して遊ぼうかななんて考えながら傘を引っ掴んで家を出た。

 いつものようにインターホンを鳴らし、優しそうなおじさんの声がスピーカーから流れる。すぐに玄関の鍵が開き、あやと一緒に2階の部屋に行く。遊びに行くことが多かったからか、最早自分の家と同じようになっていた。ままごとやゲーム、色々なことをして遊んだ。

 そろそろ疲れた頃にはすっかり雨が止んで夕日が沈むところだった。

 また明日遊ぼうねと約束して家を出ようとすると、あやは待っててと言って部屋に戻って行った。やがて、あやが戻ってくると1枚の紙が丁寧に折りたたまれてその手に握られているのが見える。その紙を俺に差し出して、

「明日になったらこの手紙を読んでね」

 と言って俺の手に無理やり握らせてきた。

 混乱しつつもそれを受け取り、家を出た。


 夕飯までの間ずっと母親に今日遊んだことから帰りがけに貰った手紙のことまで延々と話し続けたのを覚えている。


 風呂に入ってしばらくすると眠気に襲われ、テレビを見ていたソファの上で寝てしまった。


 次の日、いつもより早く目が覚め、真っ先に手紙を読みに行った。その後のことはよく覚えていない。ただ、その手紙に、もう会えないんだ。ごめんね、といったことが一生懸命な字で書かれていたことだけ覚えている。その後俺がどういう行動をしたのか、何を思ったのか、どれだけ記憶を探ってもその答えだけはいつまでたっても見つからないままだ。

 ただ、いま思えばあの時の母の顔が沈んでいた理由がわかる。当時の俺を責める訳じゃないが、もどかしいと感じてしまう。そんな感情でさえ施設で捨ててきたのだが。

面白ければ星★★★★★頂けるとありがたいです。ついでに感想とかm………………いえ、決して欲しがってるわけでは、な、ないんですよ?

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