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非道な実験を受けた俺は高校生活で何気に成り上がる  作者: 聖なる悪の株式会社
1章 学園入学編・1年生編
18/23

18 初めての温かみをくれるもの

投稿する部分間違えました、すみません。

「いただきます」

「いただきまーす」


 2人で同時に手を合わせ、紗綾が作った夕飯を口に運んでいく。


 ちなみに、食事作法は施設を出る時の指導で習った。


 メニューは、食堂で分けてもらった米、生姜焼き(キャベツの千切りもついている)、味噌汁だ。

 器具や調味料は部屋に備え付けてあったものや、コンビニで買いだしたものを使っていた。


 流暢に料理の説明ができるのも施設のおかげだろうか。まあ、どちらにしろ、紗綾に料理しながら散々教えこまれたので、ある程度はできるようになった。


 施設ではクスリと水(のようなもの)しか口にしたことがなかったので、これが初めての食事とも言える。

 そんな初めての食事としての一口目を口に入れた瞬間、


「美味い・・・。これが美味いなのか」


 言葉としてしか知らない美味いというものが自然と出てしまうほどに美味かった。

 今、必死にこらえているものの、油断すれば涙が出そうなくらいに美味い。


「良かったぁ。喜んでもらえるか不安だったんだ」


 紗綾は少しだけ目尻に涙を浮かべながらほほえんでいた。

そして、紗綾も1口頬張った。


 そのまま2人ともほとんど無言で夕食を平らげ、皿洗いも済ませた頃に、《Filear》が着信を知らせる。


「今日の予定はもうありません。自由に過ごしてください」


 ここでは自由という言葉をよく聞くな。それほど実力主義なのだろう。俺は自由なんて言葉とは縁遠い生活だったからか、自由に過ごしていいと言われても何をすればいいのか分からない。


 ちなみに、紗綾は風呂に入ると言って部屋に戻って行った。俺は先程紗綾を待っていた時間を利用して入っていたので、今はただ座っているだけだ。


 《Filear》ですることも無く眠くもない。どうしようか考えていると、部屋のチャイムが鳴らされた。


「櫂斗いる?」


 紗綾だった。

 なぜ?と思いながら部屋に入れると、紗綾自らベッドに座った。

 風呂から上がったばかりだからか、全身からシャンプーやらボデイーソープの匂いが立ち込めている。

 よく分からないが胸が疼く感覚に襲われた。

 初めての感覚に少し戸惑っていると、紗綾が不意に口を開いた。


「この後って予定ある?」

「いや、別にないが。それがどうかしたのか?」

「ちょっと外歩きたいなって思って」


 そういう事か。今までならストーカーを恐れて自由に外を出歩くことができなかったのだろう。しかし、俺に打ち明けたことによって安心感のようなものができた。

 字面だけを見ればそこまで深い意味を感じにくくなるが、過去にトラウマがあり、それを克服しようとするのにはかなりの勇気がいる。


 そう考えれば、俺に断る理由なんてなく、


「ああ、、いいぞ」

「良かった」


 この寮には門限も存在せず、深夜に出かけても良いとあった。大方、《Filear》に位置情報の昨日か何かがついているのだろう。


 俺はTシャツと動きやすいズボン(施設から渡された荷物に入っていたもの)と《Filear》を手に取る。紗綾は、元々着替えていたのでいいとの事だった。

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