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非道な実験を受けた俺は高校生活で何気に成り上がる  作者: 聖なる悪の株式会社
1章 学園入学編・1年生編
14/23

14 実力だけじゃわからないもの

 紗綾は暗い表情ではないものの、不安そうな表情で俺を上目遣いで見上げている。俺より身長が10センチほど低いため、自然とそのような状況になったのだが、俺は壁に寄り掛かるようにすることで、視線の高さを合わせるようにする。


 「で、最初はあんまり気にしてなかったが、俺が《Connecter》で部屋の番号教えた時、最初の返事は早かったのに二回目のお前の返信に不自然に時間差があった。微妙な差だからわかりにくかったかもしれないが、明らかに文の内容を考えている時間ではなかった。まず、それが俺に引っかかって、どういう意味か待っている間に考えた」


 紗綾がはっとした顔をして、すぐになんでそんなことに気が付くのだろう、という表情に変わったが、説明するには施設のこともかかわってくるのでスルーしておく。


 「そして2つ目だ。さっきのことで、確信がついた。体育館であの表情になった時の会話から、唯一、あの表情にさせる可能性がある語句は、運命しかない。で、その直後に我慢してるのか聞いたのに、お前はしていない、と答えた。でも、その答えを言うときに、お前は表情を隠しきれてなかった。我慢しているのがすぐに分かった。一応テストがあったから、無駄なことを考えさせないようにあの後の会話を進めたが。そして、ここで話したことが最後の疑問をほどいた。何が原因か。運命って言葉なのか、あのときの一言全体なのか」


 一気に話しすぎたと思い、一呼吸挟むように紗綾が理解するための間をとる。


 「さっきの俺が言ったことも覚えてるか?」

 「え…?」

 「俺も、運命って若干だが強調して言ったんだよ。でも、お前はまったく気にしていなかった。何なら、今みたいに覚えてもいないわけだから。だから、運命って言葉に深い意味はないことが分かった。ってことは、あとは、あの一言全体に意味があったはずだ。それで、大まかにだが、お前が暗い表情をした原因がわかった。まあ、なんであの言葉で暗い表情になったかってのは、さっきのさっきまでわかっていなかったんだが、今のお前の反応を見て細かいことはわからないが、大体わかったと思う」


 紗綾はまた、はっとした顔をした。


 「たぶんだが、あってると思う。お前、過去に人とのかかわりあいの中で、よほど嫌なこと、あるいはトラウマになるほどの何かを経験したんだろ?」

 「あ…」


 ここまでの推測は間違っていないのだととらえていいだろう。


 「ここからは確証もなければ、確かな情報もないから確実じゃないかもしれない。間違っていたら違うって言ってくれていいし、これ以上言われたくないって思ったら、どんな手を使って俺を止めようと、どのように逃げようと、俺は非難したり、逃げるのを妨害するつもりもない。ましてや、まわりに広めたりもしない。ただ、ここだとほかのやつに聞かれるかもしれないが、それでもいいか?」


 念のため、今の間もずっと人が近くにいないか気配を探っていたし、もし聞かれても、記憶を消すツボを知っているから、広まることはないはずだが、紗綾には紗綾の捉え方があるので、彼女の意思を確認する。


 「逃げない、逃げたくない。でも、ほかの人に、聞かれたくない」


 とぎれとぎれのか細い声で、紗綾は自分の意思を示した。


 「分かった。一応この寮の部屋は防音性が高いはずだから大丈夫だと思うが、俺の部屋でいいか?」

 「うん」


 さっきよりもか細い声を出し、同時にうなずいた。

会話シーンが長くてすみません…。

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